小林市立東方中学校

第45回特別研究指定校

研究課題

確かな学力を身に付けた生徒の育成 ~主体的・対話的で深い学びにおけるICTの活用を通して~

2019年度04-07月期(最新活動報告)

最新活動報告
東方中学校における「確かな学力」の定義を明確にし、全職員の共通理解を図る。......

アドバイザーコメント

吉崎静夫先生
本校の研究主題「確かな学力を身に付けた生徒の育成―主体的・対話的で深い学びにおける......

小林市立東方中学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 宮崎県 小林市立東方中学校
アドバイザー 吉崎 静夫 横浜国立大学 客員教授/日本女子大学 名誉教授
研究テーマ 確かな学力を身に付けた生徒の育成 ~主体的・対話的で深い学びにおけるICTの活用を通して~
目的 ICTを活用し、効果的に主体的・対話的で深い学びを生む授業を行う中で、生徒の思考力・判断力・表現力と情報活用能力の育成及び向上を図る。
現状と課題

●現状について

 校内の学習環境に関しては、東方中学校は小林市のICT教育推 進校として、平成29年9月にタブレットPCが22台導入された。また、タブレットPC以外のICT環境(電子黒板、校内無線LAN設備、授業支援ソフトなど)も充実している。このような環境の中、生徒たちは校内のどこにでもタブレットPCを持ち運びながら学習活動を行うことができるようになっており、授業だけでなく、生徒会活動や各種行事の準備・運営などにも活用している。 生徒の学力に関しては、各種調査による生徒の学力を分析すると、全体的に2極化の傾向にあり、特別支援を必要とする生徒が数名いる。 教師の指導力に関しては、「主体的・対話的で深い学び」についての共通理解がまだできておらず、ICTリテラシーについても差がある状況である。

●課題について

 現状を踏まえ、取り組むべき課題は、東方中学校における「確かな学力」と「主体的・対話的で深い学び」の定義を明確にし、全職員の共通理解を図ったうえで、授業改善を行っていくことである。また、これらのことと併せて、「主体的・対話的で深い学びを生む授業・単元構成」を効果的に実践できるようICTの活用を行っていきたい。
学校情報化の現状 校内無線LANが整備されており、タブレットPC22台を用いて、1学級全員が授業を行うことができる。
取り組み内容
  • ①東方中学校における「確かな学力」の定義を明確にし、全職員の共通理解を図る。
  • ②東方中学校における「主体的・対話的で深い学び」の定義を明確にし、全職員の共通理解を図る。
  • ③東方中学校における「確かな学力」の定義と「主体的・対話的で深い学び」の定義を基に、各種学力調査の結果を分析したり、アンケート調査を行ったりして、生徒の実態を把握する。
  • ④東方中学校における「主体的・対話的で深い学び」の定義を基に、各教科における「主体的・対話的で深い学び」を生む授業構成や単元構成を構築する。
  • ⑤各教科等における「主体的・対話的で深い学び」を生む授業を効果的に行うために、ICT機器や環境、各種ソフトウエアやコンテンツをどのように活用できるか整理する。
  • ⑥教師のICTリテラシーを高めるための研修会を計画的に実施する。
  • ⑦①~⑥の取組を踏まえながら、全職員で授業改善に取り組めるよう計画的に授業研究会を行う。
  • ⑧研究実践の成果や課題を他校に紹介・伝達できるよう、授業公開を行う。
成果目標
  • ①東方中学校における「確かな学力」の定義を基に生徒の学力を向上させる。
  • ②東方中学校における「確かな学力」の定義を基に、各教科における主体的・対話的で深い学びを生む授業や単元構成を構築し、各教科の授業改善や教師の指導力向上を図る。
  • ③各教科の主体的対話的で深い学びを生む授業や単元の学習を効果的に行うためのICTの活用法を整理し、各教科の授業改善のポイントを明確にする。
  • ④各教科、特別活動、各種行事、生徒会活動等における情報活用能力指導の体系表を構築し、系統的、計画的な指導を実践し、生徒の情報活用能力を向上させる。
  • ⑤教師のICTリテラシーを向上させる。
  • ⑥校内授業研究会を数多く行い、各教師の授業力を向上させる。
  • ⑦教育委員会と連携して授業公開を行ったり、ホームページで研究実践を紹介したりすることで、研究の成果や課題を他校に紹介・伝達する。
助成金の使途 タブレットPC・専用ペン、タブレットPC用キーボード兼カバー、授業支援ソフト、旅費、印刷費他
研究代表者 山口 博英
研究指定期間 2019年度~2020年度
学校HP https://cms.miyazaki-c.ed.jp/4406/htdocs/
公開研究会の予定 2019年度は、11月に小林市教育委員会と連携して、授業研究会を実施する予定である。2020年度は県内・県外に広く呼びかけて、12月に公開研究会を実施する予定である。

本期間(4月~7月)の取り組み内容

  • ① 東方中学校における「確かな学力」の定義を明確にし、全職員の共通理解を図る。
  • ② 東方中学校における「主体的・対話的で深い学び」の定義を明確にし、全職員の共通理解を図る。
  • ③ 東方中学校における「確かな学力」の定義と「主体的・対話的で深い学び」の定義をもとに、各種学力調査の結果を分析し、全職員で生徒の実態について共通理解を図る。
  • ④ 東方中学校における情報活用能力チェックリストを作成し、全生徒のアンケート調査を行い、生徒の実態を調査・分析する。
  • ⑤ ①~④を踏まえて、授業等における研究実践と検証を行う。

アドバイザーの助言と助言への対応

助言① 研究の方向性や考え方を共通理解しやすいように、なるべく図式化した方がよい。

対応① 研究推進委員会を中心に、東方中学校における「確かな学力」、「主体的・対話的で深い学び」の定義図と研究の全体構想図を作成した。

助言② 研究副題にある「主体的・対話的で深い学び」について、昨年度までの研究で全体的なものができているので、それを土台にして、各教科の特性をふまえた、各教科における「主体的・対話的で深い学び」を生む授業における工夫・改善を行っていく必要がある。

対応② 研究推進委員会で原案を作成し、夏季休業中に、各教科の先生方で各教科の特性をふまえた、各教科における「主体的・対話的で深い学び」を生む授業構成(案)をつくり、全体で検討していく。

助言③ 本校の研究では、ICTを効果的に活用して、「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」を中核とした「確かな学力」の向上を目指しているが、ICTといったデジタルに特化した研究を行うのではなく、アナログ(板書やノートを整理したまとめたり、紙の辞書を引いて調べたりすることなど。)とデジタルのすみ分けを全職員で共通理解して研究を進めることが大切である。

対応③ 夏季休業中の校内研修で、研究目的を再確認し、アナログとデジタルのメリットを生かした研究を実践していく。

助言④ 「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」を向上させるためには、地道な知識・技能の定着の積み重ねを行っていくことが大切である。

対応④ 全教科を通して、基本的な知識・技能の定着を図る工夫を積み重ねていく。

本期間の裏話

 パナソニック教育財団の研究助成を受けることができ、さらに特別研究指定校に選ばれたことで、さらなる研究実践を行うことができるようになったことがとてもありがたいです。

 本校はこれまでも宮崎県小林市の研究推進校として、ICTを活用した教育の研究を行っていたので、今までの研究実践をレベルアップした形で取り組んでいけばよいのではと考えています。

 しかし、本校は小規模校なので各先生方の職務も多く、どうすれば先生方が多忙感を感じず、ICTを効果的に活用した授業等の研究実践が行えるか、また、小学校と連携しながら、発達段階を考慮した取組を行うことができるのか悩んでいます。

 そのような中、パナソニック教育財団の事務局の皆様やアドバイザーの吉崎先生から、適切活具体的な指示や指導、助言や励ましのお言葉をいただき、全職員同じ方向性のもとで研究を進めていく意欲が高まってきています。

本期間の成果

① 東方中学校における「確かな学力」の定義を明確にし、図式化することで、全職員の共通理解を図ることができた。

② 東方中学校における「主体的・対話的で深い学び」の定義を明確にし、図式化することで、全職員の共通理解を図ることができた。

③ 東方中学校における「確かな学力」と「主体的・対話的で深い学び」の定義をもとに、研究の全体構想図を図式化することで、全職員の共通理解を図ることができた。

④ 東方中学校における「確かな学力」の定義と「主体的・対話的で深い学び」の定義をもとに、各種学力調査の結果を分析し、生徒の実態を把握することができた。

⑤ 東方中学校における情報活用能力チェックリストを作成し、全生徒を対象にしたアンケート調査を行い、生徒の実態を調査することができた。

今後の課題

  • ① 本校の職員が同じ方向で研究実践を行うことができるよう、研究主任としてリーダーシップを発揮し、校長、教頭、教務主任、各研究班長と連携をとりながら、研究を推進していくことが重要である。
  • ② 本校職員の負担感が増えないよう、生徒の実態を把握して、研究実践内容を絞り込み、焦点化していく必要がある。
  • ③ 教育委員会や教育事務所と連携をとりながら、本校の研究実践を他校に波及させていく機会を設定していく必要がある。
  • ④ 本校職員の資質や能力を高めるために、助成金を有効に活用して計画的に先進校や各種セミナー等に出向してもらい、学んできたことを全職員にフィードバックしていく機会を設ける必要がある。

今後の計画

  • ① 本校における情報活用能力体系表を作成し、各教科や各種行事、活動の中での指導の分担や内容を明確にする。
  • ② 本校における「主体的・対話的で深い学び」の定義をもとに、各教科における「主体的・対話的で深い学び」を生む授業構成や単元構成を構築し実践を行う。
  • ③ 各教科等における「主体的・対話的で深い学び」を生む授業を効果的に行うために、ICT機器や環境、各種ソフトウエアやコンテンツをどのように活用できるか整理する。
  • ④ 教師のICTリテラシーを高めるための研修会を計画的に実施する。

気付き・学び

○ 「学力向上」というと各種学力調査の点数を上げることにとらわれがちだが、生徒が将来にわたって生きる力となってはたらく「確かな学力」という観点で考えると、「思考力・判断力・表現力」やその土台となる知識・技能の関係、情報活用能力の内容や資質・能力の必要性について、研究を通して把握できたことは大きかった。

成果目標

  1. ① 東方中学校における「確かな学力」の定義をもとに、各教科における主体的・対話的で深い学びを生む授業や単元構成を構築し、各教科の授業改善や教師の指導力向上を図る。
  2. ② 各教科の主体的対話的で深い学びを生む授業や単元の学習を効果的に行うためのICTの活用法を整理し、各教科の授業改善のポイントを明確にする。
  3. ③ 各教科、特別活動、各種行事、生徒会活動等における情報活用能力指導の体系表を構築し、系統的、計画的な指導を通して、生徒の情報活用能力を向上させる。
  4. ④ 各教師のICTリテラシーを向上させる。
  5. ⑤ 校内授業研究会を数多く行い、各教師の授業力向上を図る。
  6. ⑥ 教育委員会と連携して授業公開を行ったり、ホームページで研究実践を紹介したりすることで、研究の成果や課題を他校に紹介・伝達する。
アドバイザーコメント
田村 順一 先生
横浜国立大学客員教授/日本女子大学
名誉教授 吉崎 静夫 先生

(1)本研究の意義

 本校の研究主題「確かな学力を身に付けた生徒の育成―主体的・対話的で深い学びにおけるICTの活用を通して―」は、まさに次期学習指導要領がめざす教育そのものです。そこでは、確かな学力として、「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」といった資質・能力が取り上げられています。そして、それらの資質・能力を育成するための教育方法(授業の方法)として、「主体的・対話的で深い学び」と「ICTの活用」が取り上げられています。

 本研究を通して実現しようとする教育実践は、まさにわが国の学校がめざすものであり、その研究成果が他の学校の教育実践に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

(2)研究の成果

 本研究が本格的にスタートしてまだ4ヶ月間にすぎないのに、次のような大きな成果が生まれています。

  • ①「確かな学力」の定義を明確にし、さらに図式化を図っています。そこでは、「確かな学力」が「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」の2つの側面から定義されています。さらに、「思考力・判断力・表現力」の土台となる基礎的な学力がAとBに分けて考えられています。とてもよく考えられていると思います。
  • ②「主体的・対話的で深い学び」が明確に定義され、図式化されています。そこでは、「主体的・対話的で深い学び」が、「自分の考えをもつこと」「自分の考えを広げ、深めること」「自分の考えをこれまでの考えと関連づけ、構造化すること」のように、「自分の考え」を中核として定義づけられています。とてもわかりやすい定義であると思います。
  • ③①と②の定義をふまえて、研究の全体構造図が明確に表現されています。この構造図は、本校の教職員の共通理解を促すとともに、他校の教職員が新しい教育実践を考える際の参考にもなると思います。
  • ④「思考力・判断力・表現力」と「情報活用能力」についての生徒の実態を把握する方法(評価法)を考えていることです。このことは、本研究の成果を確認し、本研究をよりよいものにするために大切なことです。

(3)今後の課題

 これからやるべきことは、教職員の負担を十分に考慮しながら、研究の全体構造図に示された教育実践を1つ1つ着実に積み重ねていくことです。そして、生徒の実態にもとづきながら、それらの教育実践の改善を図ることです。大いに期待しています。