武雄市立武内小学校

第44回特別研究指定校

研究課題

協働的に問題を解決する力の向上をめざす学習指導の研究
~共感力・対話力・深化力の向上をめざして~

2018年度04-07月期(最新活動報告)

最新活動報告
本校は今年度から左の図のような研究内容で研修を進めている。本期間中は......

アドバイザーコメント

アドバイザーコメント
武内小学校は,第42回と第43回の一般助成校を経て,第44回特別研究指定校として採択されました。

武雄市立武内小学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 佐賀県 武雄市立武内小学校
アドバイザー 新地 辰朗 宮崎大学 教授
研究テーマ 協働的に問題を解決する力の向上を目指す学習指導の研究
~共感力・対話力・深化力の向上をめざして~
目的 ICT機器を活用し、話し合い、学び合って、協調的・創造的に問題解決ができる児童を育てる。
現状と課題
  • 個の力と集団の力を結びつける友だちタイムの充実を目指してきたので、話し合って課題を解決していこうとする力は向上した。
  • しかし、協働的な学びが「活動ありき」の話し合い活動で終わっているのではないかという反省も出された。
  • 県全国学習状況調査の結果からも、自分の考えをノートにかくことへの抵抗感が平均よりも高い。
  • 段階的に思考を深めるために、話し合い活動やペア活動に入る前に根拠となる情報をもたせるなどの情報活用能力の育成に視点をおきながら協働的に問題を解決していく能力の向上につなげていきたい。
学校情報化の現状 児童一人一台のタブレット端末
全教室に電子黒板 無線ランの整備
取り組み内容
  • 協働的な学び及び思考・判断・表現力を深めるための児童生徒に育むべき情報活用能力をアナログ(紙媒体やホワイトボード)とデジタル機器(タブレット・電子黒板)の両面から定義付けを行う。また、その目的や方法、内容について明確にするとともに、ICT利活用との関連づけについてイメージする。
  • 初年度は教科の言葉を使った「めあて」に照応した「まとめ」をほぼ全員が書けるように意識して、授業を組み立てていく。
  • 「友だちタイム」を充実させるために、アナログ(ノート・ホワイト黒板記入)とデジタル機器(タブレット・電子黒板)を組み合わせた授業実践を行い、教師の授業力を高める。
  • 「ICTスキルタイム」を設定し、タブレット入力の時間を短縮するためのタブレットペンやキーボード操作に慣れさせる。
成果目標
  • 協働的な学び及び思考力・判断力・表現力を深めるための児童生徒に育むべき情報活用能力の定義付けを行うことで、職員が授業をとおして育むべき力が明確になる。
  • 「友だちタイム」を充実させるために、思考の往還場面において、アナログ(ノート・ホワイト黒板記入)とデジタル機器(タブレット・電子黒板)を組み合わせた授業実践を行うことで協働的に問題を解決する力が高まる。
  • ICT機器の有用性に気付かせることで活用に対しての教師の抵抗感をやわらげ、授業改善につなげる。
  • 「ICTスキルタイム」を設定し、タブレットペンやキーボード操作に慣れさせることで情報入力時間を削減し、協働的学びの時間を確保する。
助成金の使途 電子ペン、パソコン用キーボード、タブレット学習用ソフト、ビデオカメラ、デジタルカメラ、講師旅費、先進校視察
研究代表者 橋本 澄子
研究指定期間 平成30年度~31年度
学校HP http://cms.saga-ed.jp/hp/takeuchi-e/
公開研究会の予定
  • 6月30日 官民一体型学校公開
  • 1月27日 学校公開

本期間(4月~7月)の取り組み内容

本期間の取り組み内容

本校は今年度から左の図のような研究内容で研修を進めている。本期間中は、ICT研修や理論研究を4,5月に行い、6月30日、官民一体型学校の授業公開だったので、全クラス、ICT利活用授業を行った。県外や遠くは東京からも参観いただき、研究協議では、ICT利活用や子どもたちの協働的学びについて貴重なご意見をいただいた。

◇ICT研修

 本校は、長期休業中にICT研修を行っている。今年度は市内の教育支援システムが変わることで、4月20日(金)にスタディーノート10の使い方の研修を行った。協働的学びにつながる基本的な操作の仕方などについて研修を深めた。

◇アドバイザー来校・提案授業

 4月18日に、宮崎大学大学院の新地先生とパナソニックの金村氏に御来校いただいた。指導教諭の橋本が提案授業6年生社会科「大昔のくらし」を行い、今年度の研究の大まかな授業の流れを全職員で確認することができた。この授業ではミライシードのムーブノートアプリを使い、縄文時代は豊かだったのか、貧しかったのかのどちらかを選び、理由をかきこませたあと、全体で討議した。全員の考えを共有することで考えを広げたり、深めたりすることができた。そのあと、新地先生と金村氏にこれからの特別指定校としての取り組み内容や、研究の方向性についてご指導いただいた。

◇理論研究 5月

理論研究 5月
理論研究 5月

 今年度から、協働的学びの充実に向け「個の集団をつなげる教師の働きかけ」「個と集団をつなげるICT利活用」「特設タイムによる個の力の向上」を手立てとしていく。そこで、上記の「ICT利活用の目的・場面」「協働的な問題解決の姿レベル」を全職員で考え、共通理解し、授業づくりに取り組むことを確認した。

◇官民一体型公開授業

 6月30日に213名(教職員・保護者・地域の方)の参加者をお迎えし、公開授業を行った。1時間目に2,4,6年生の公開授業、2時間目に1,3,5年生の公開授業・研究協議を行い、宮崎大学大学院教授 新地辰朗先生に「AI時代に向け、育むべき情報活用能力とは ~主体的・対話的で深い学びを通して~」をテーマに講話をしていただいた。

〈授業の様子〉

【1年1組 生活科「だいすき なつ」 綿島 満子 教諭】
 1年生は生活科「だいすき なつ」の授業を公開した。夏らしい砂場での遊び方のアイディアを持ち寄り、グループで作る遊び場を話し合い、ホワイトボードにかいてみんなに知らせた。本当に夏らしさが工夫されているか全体で話し合うことができた。参観者の方からは、「導入で砂遊びの動画を見せたことは、授業への楽しみやわくわく感をもたせることにつながっていた。」と感想をいただいた。

  • 電子黒板で砂遊びの動画視聴

    電子黒板で砂遊びの動画視聴

  • 子どもたちの「夏と言えば○○」

    子どもたちの「夏と言えば○○」

  • 考えをホワイトボードで発表中

    考えをホワイトボードで発表中

【2年1組 道徳科「小さないのちを考える」 千々岩 宏幸 教諭】
 2年生は道徳科「小さないのちを考える」の授業を公開した。展開の場面では、生きものを飼うかどうかについての理由をタブレットのタッチアナライザー機能を用い、話し合いを通してそれぞれの考えにどんな変容があったのか、どのように考えが深まったのか気付かせることができた。参観者の方からは「タッチアナライザーを使って、意見をグラフ化して見せるのは大変良かった」と感想をいただいた。

  • 事前アンケートの結果を提示

    事前アンケートの結果を提示

  • タッチアナライザーで考えを選択

    タッチアナライザーで考えを選択

  • タッチアナライザーの結果を共有

    タッチアナライザーの結果を共有

【3年1組 理科「ゴムや風で物を動かそう」 牟田 和子 教諭】
 3年生は理科「ゴムや風で物を動かそう」の授業を公開した。ゴムを伸ばしたときの実験結果をバイシンクを使って集約しまとめる中で、新たな問題を見付け、もう一度みんなで考えることができた。参観者からは「タブレット操作にも慣れていて、それ以上に意欲的に実験に取り組んでいる姿がよかった」と感想をいただいた。

  • どれくらい進み方が変わるのか実験

    どれくらい進み方が変わるのか実験

  • 結果から言えることをタブレットへ記入

    結果から言えることを
    タブレットへ記入

  • 電子黒板で各グループの考えを発表

    電子黒板で各グループの考えを発表

【4年1組 算数科スマイル学習 「垂直・平行と四角形」 峯 慎一郎 教諭】
 4年生は算数科「垂直・平行と四角形」の授業を公開した。ペアで作成した四角形を説明するとともに、タブレットを使って電子黒板に送り、全体で説明したり、質問したりしながら、図形についての理解を深めることができた。参観者からは「子どもたちの理解を助けるために分かりすいプレゼンを用意されていたのがよかった」と感想をいただいた。

  • 作った四角形を意欲的に発表

    作った四角形を意欲的に発表

  • 電子黒板で作った四角形を紹介

    電子黒板で作った四角形を紹介

  • 紹介された四角形が何か話し合い

    紹介された四角形が何か話し合い

【5年1組 算数科スマイル学習「式と計算」 T1川久保涼子教諭 T2立石航教諭】
 5年生は算数科「式と計算」の授業を公開した。子どもたちは家でのスマイル学習で、いちごが並んでいる図から、どんな数え方があるか、図や式を使って数パターンを考えてきていた。児童の考えからひき算を使った式をタブレットに電子黒板から再配付しグループで熱心に考えることができた。参観者からは「スマイル学習で予習して授業に臨むことで、45分で協働学習の場が有効に使われていた」と感想をいただいた。

  • 話し合ったことをタブレットに記入

    話し合ったことをタブレットに記入

  • 自分たちの考えを全体に説明

    自分たちの考えを全体に説明

  • 担任が新たな考えを引き出す

    担任が新たな考えを引き出す

【6年1組 理科スマイル学習「体のつくりとはたらき」 山口 史教諭 】
 6年生は理科「体のつくりとはたらき」の授業を公開した。子どもたちはスマイル動画で食べ物は口→胃→小腸へ運ばれることを学習し、食べ物が体の中でどのように変化するかを考えた。さらに実験方法を動画で視聴させることでスムーズな実験となった。参観者からは「事前のスマイルとICTがうまく活用され、タブレットを囲みながら話し合い、深まりが見られた。」と感想をいただいた。

  • 動画視聴後のスムーズな実験

    動画視聴後のスムーズな実験

  • 予想を入力し電子黒板に送る

    予想を入力し電子黒板に送る

  • 各グループから送られた予想と比較

    各グループから送られた予想と比較

〈研究協議・講話〉

 ①本校の取り組み及び校内研究の説明 ②質疑応答 ③協議 ④講話の順で進めた。研究協議では「それぞれのICT利活用は授業のめあて達成につながっていたか」を中心に話し合われた。全体的な意見としては、本校の児童は一人一台ずつタブレットをもっているので、ICT機器の操作にも慣れ、上手に使えているので授業のめあて達成につながっているということだった。講話では新地辰朗先生に「AI時代に向け、育むべき情報活用能力とは ~主体的・対話的で深い学びを通して~」をテーマに近未来の最先端のお話や校内研究に関わる内容など分かりやすくお話をしていただいた。

  • 全体協議

    全体協議

  • 新地先生の講話

    新地先生の講話

  • 講話を聞く参観者

    講話を聞く参観者

アドバイザーの助言と助言への対応

 本校アドバイザーの宮崎大学大学院教授である新地辰朗先生から本年度の取り組みにおいて、次の3点、助言をいただいた。

  • ①「協働的な問題解決の姿レベル」から児童用のアンケートを作り、子どもたちに今自分がどのレベルにいるのか認識させることは、次のステップを目指そうという意識付けになる。
  • ②「ふり返り」が学びの深化につながっていくので、「ふり返りのポイント」など学年に応じて考えておくことも必要である。
  • ③他者に向けた発信など情報活用能力の育成のためにも、目的をもたせた上で、もっとタブレットを自由に使わせてみるのもよい。

 今後は、「協働的な問題解決の姿レベル」の見直しや学年に応じたふり返りのポイント作成、また学習のツールとしてのタブレット活用を推し進めていく。

本期間の裏話

 5月に武雄市の光回線拡張工事があり、子どもたちのタブレットをすべて初期化しないといけなくなった。6月30日の公開授業をひかえていた本校職員はその話を聞き、みんな冷や汗・・・ほとんどのクラスがタブレット使用を考えていたからだ。いつ工事が終わるのか?タブレットが初期化されたあとのインストールが間に合うのか?間に合ったとしても低学年は慣れさせていないと難しいし・・・などなど。毎年、公開授業をおこなっている本校ですが、こんなにハラハラする公開授業はありませんでした。ギリギリICT設備が間に合った状況にもかかわらず、職員そして子どもたちはよく頑張ったなと思います。ピンチをチャンスに変えた公開授業でした。

本期間の成果

 教師が日々の指導の中で、協働的な学びを意識して、授業に位置づけていることです。授業におけるICTまたはホワイトボードなどのアナログを学年や授業の内容に合わせて、うまく活用できるようになってきました。また、子どもたちの学びの深化につながる「ふり返り」の意義を理解することで、1年生であっても少しずつ書けるようになってきました。

今後の課題

 協働的解決場面で、自分の考えをもてず、友だちの意見を聞くだけの子がいるので、自分の考えを構築できる「かくスキル」を身に付けられるようにしなければならない。また、子どもたちが本気で解決したいと思えるような課題設定について研究を深める必要がある。

今後の計画

  • 7/26(木)  ICT職員研修(スタディーノート10)
  • 9/5(水)   4年生研究授業(宮城県議会議員視察)
  • 10/17(水) 5年生研究授業(新地先生、パナソニック教育財団来校)
  • 10/31(水) 6年生研究授業
  • 11/14(水) 3年生研究授業
  • 11/20(火) 武雄市教育委員会訪問
  • 11/28(水) 1年生研究授業
  • 12/5(水)  2年生研究授業(新地先生、パナソニック教育財団来校)

気付き・学び

 グループで協働学習を行う時の合い言葉として「寄せ合い、見せ合い、話し合い」が定着していけば、主体的に話し合う児童が増えると考える。大人の私たちも同じであるが、児童は、学びのインプットは得意だが、自分の考えをアウトプットする「かく」活動は、日常的に授業に取り入れることで、苦手意識が解消されていくのではないかと思う。プログラミング思考までには至らないが論理的に考え、課題を順序立てて解決できる児童を育成していくことを目指していきたい。

成果目標

  • ・子どもたちが、ワクワクするような学習課題を設定し、学習意欲を高める。
  • ・タブレットでの入力時間を縮めるためにICTスキルタイムにおいて、タッチペンの使い方(低学年)やキーボード入力(中・高学年)の練習時間を確保し、現段階よりも入力時間を縮める。
アドバイザーコメント
新地 辰朗 先生
宮崎大学 大学院教育学研究科 教授 新地 辰朗 先生

 武内小学校は,第42回と第43回の一般助成校を経て,第44回特別研究指定校として採択されました。特に,第42回一般助成校の研究成果報告書は,佳作として表彰されるなど,教職員が一体となった研究推進体制が確立されているだけでなく,研究内容・活動の創意工夫や研究成果をわかりやすくまとめることのできる学校として期待されます。

 実際に,授業検討会に参加させていただくと,研究主任など中心的な教師による構想や意見に留まることなく,研究主題に沿って,全ての参加者から児童の実態を踏まえた意欲的な意見が表明される姿が見られます。さらに,研究の歩みと成果を整理した研究収録が,毎年度,作成されています。

 特別研究指定校としての今回の研究では,”協働的な問題解決に関わる力”について,「共感力」,「対話力」,そして「深化力」の3観点から,達成段階毎に児童の姿を整理することからスタートされました。これまでの,教師によるICT活用の工夫,個と集団をつなげる手立てに関わる研究を礎にしながら,学習内容の習得はもちろん,学ぶ力を高める学習指導についての追究に進むことになります。

 当面は,学校で作成された”ICT利活用の目的・場面(参考:学校による活動報告書中の表)”や”協働的な問題解決の姿・レベル(同)”をもとに,子どもたちの反応や変容を把握・評価する方法について検討を深める必要があるように思います。子どもの変容を把握しながらの,学習指導方法に関わる実践研究は,教師の専門性を生かしながら望ましい学習過程の実現を目指す他校にとって,参考になるものと思われます。

 また,中期的には,”協働的な問題解決の姿・レベル”に対する,授業終盤で求める”ふり返り”の位置付け,”協働的な問題解決に関わる力”の資質・能力としての捉え方の整理が期待されるように思います。