長岡市立関原中学校

第47回特別研究指定校

研究課題

自己の生き方を追求し,よりよい社会を創ろうとする能動的学習者の育成
~知・徳・体を総合的に育むICTを活用したキャリア教育の実践を通して~

2021年度04-07月期(最新活動報告)

最新活動報告
キャリア教育の目的の一つとして,「もう一人の自分」の育成することの重要性......

アドバイザーコメント

吉崎 静夫 先生
本期間は、新たな「研究構想図」の作成、校内ICT環境整備、ICTを活用したキャリア教育......

長岡市立関原中学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 新潟県 長岡市立関原中学校
アドバイザー 吉崎 静夫 日本女子大学 名誉教授
研究テーマ 自己の生き方を追求し,よりよい社会を創ろうとする能動的学習者の育成
~知・徳・体を総合的に育むICTを活用したキャリア教育の実践を通して~
目的 ICTを活用して,これまで「知」に重点が置かれ,バラバラに育成されてきた「知」「徳」「体」を,キャリア教育(生活や社会,生き方)でつなぎ,すべての教育活動で6つの基礎的・汎用的能力を活用しながら総合的に育むことを目的とする。
現状と課題

生徒は明るく,素直で,授業態度も落ち着いている。しかし,学習の目的や将来の目標を見いだすことができず,受動的な態度の生徒が少なくない。学校区は,1小学校1中学校で,小中連携して「知」「徳」「体」の部会ごとに研修を深めている。しかし,各部会ごとの活動が行事化され,「知」「徳」「体」を校内で,総合的に育む仕組みがない。

学校情報化の現状 GIGAスクール構想により,ようやく ICT機器等が整備されつつある。教職員のICT活用に対する意欲も高く,期待も大きい。しかし,「学校情報化」の内容や学校のレベルを初めて知った状態である。生徒も,教職員も,他地域の先進校の取組や環境等の情報を得ることで,学校や地域の特徴を生かし,地域の学校情報化推進校としての役割を果たしたい。
取り組み内容 「知」:指導過程[導入,展開1(個の学び),展開(学び合い),まとめ]におけるICTを活用した授業改善
「徳」:ICT を活用した「学びのポートフォリオ」を活かした「キャリア・パスポート」の作成とその活用
「体」:ICT を活用した「自己理解シート」と「生活記録シート」の作成とその活用
成果目標
  • ○キャリア教育の基礎的・汎用的能力を育むICTを活用した授業改善
  • ○学びのポートフォリオおよびキャリア・パスポートのデジタル化
  • ○自己理解シート・生活記録シートのアプリ化
助成金の使途 Google Chromebook Acer、ブラザーA3プリンター、プリンターインク、研究リーフレット印刷費、WiFiレンタル他
研究代表者 田中 哲也
研究指定期間 2021年度~2022年度
学校HP https://www.kome100.ne.jp/sekihara-jhs/
公開研究会の予定 公開研究会:令和4年11月、日本キャリア教育学会:令和4年11月

本期間(4月~7月)の取り組み内容

  1. 1 研究内容の再検討
  2. 2 校内ICT環境整備
  3. 3 ICTを活用したキャリア教育の授業実践

アドバイザーの助言と助言への対応

  • ・キャリア教育の目的の一つとして,「もう一人の自分」の育成することの重要性,必要性についての助言を受け,研究目的および研究方法の再検討を行った。
  • ・研究主題の「能動的学習者」とは何かという指摘を受け,目指す生徒像を設定し,その具体化を図った。
  • ・「学びのポートフォリオ」の現実的な実施についてアドバイスをいただき,研究方法に具体的取り入れた。

本期間の裏話

  • ・研究内容が「知」「徳」「体」と広範囲にわたっており,それぞれが個別の取組として捉えられ,焦点が絞れない状況であったが,アドバイザーの先生方のアドバイスによって,焦点化され,研究の方向が明確になると同時に,職員の共通理解を図ることができた。
  • ・本研究に対する職員のモチベーションを上げるため,まずはICT機器の整備を行った。普通教室内にテレビ,書画カメラ,PCを常設し,「いつでも」,「だれでも」,「どこでも」I活用できるようにICT環境を整えた。
  • ・研究としてではなく,偶然にも東京の企業や海外の施設とつながる機会をいただき,ICT機器を活用したオンライン授業を実施した。生徒,職員ともに授業の成果を実感するとともに,ICT機器の活用について新たな知見を得,今後の授業を考えるきっかけとなった。

本期間の成果

1 研究内容の再検討を受け,新たに「研究構想図」を作成し,研究の方向を明確にするとともに,職員の共通理解を図ることができた(図1)。

2 GIGAスクール構想により以前に比べ格段にICT機器が整備されたが実際に活用するとなると不都合や不便さを感じる場面があった。そこで,その不都合な点や不便な点を一つ一つ解消するために,以下の校内のICT環境整備を行った(図2,図3)。

  • ・普通教室に,大型モニタ(テレビ),書画カメラ,PC,LANケーブルを常設した。
  • ・特別教室,体育館でWi-Fiを使用できるようにアクセスポイントを設置した。
  • ・特別教室,体育館に,大型モニタ(テレビ)とChromecast,無線LANアクセスポイントを設置した。
  • ・すべての学級にオンライン授業やオンライン授業参観で使用する広角WEBカメラとカメラスタンドを整備した。

図1 校内研究構想図

図2 教室内に常設された大型モニタ

図3 広角WEBカメラによるオンライン授業

3 ICTを活用したキャリア教育の授業実践

(1) 保健体育 ※学習指導案(図12)

図4 トレーニングの検索

図5 自己の課題とトレーニングプランの組立

(2) 英語 ※学習指導案(図13)

図6 将来の夢の紹介プレゼンテーション

図7 発表に合わせた機器操作の様子

(3) 理科 「Science職業講話」

図8 アメリカNOAAとのオンライン授業

図9 ドイツ南極基地とのオンライン授業

(4) 総合的な学習の時間 「オンライン職業講話」

図10 生徒から講師への質問の様子

図11 質問に答える講師

図12 保健体育学習指導案

図13 英語学習指導案

今後の課題

  • ・「学びのポートフォリオ」「キャリア・パスポート」「自己理解シート」「生活理解シート」の具体化とそれらを活用した授業を構想する。
  • ・日常的にICTを活用したキャリア教育の授業改善を図っていく。

今後の計画

  • ・8月20日(金)アドバイザー訪問 「知・徳・体の各部会からの提案と協議」
  • ・11月26日(金)アドバイザー訪問 「ICTを活用したキャリア教育の公開授業」
  • ・1月下旬    アドバイザー訪問 「学びのポートフォリオ,キャリア・パスポート,自己理解シート,生活記録シートを活用した公開授業」

気付き・学び

  • ・ICTの活用で,県内外の職業人や海外の機関とつながることに抵抗感が少なくなった。
  • ・地域を中核とした学校教育を,ICTを活用しグローバルな視点で教育活動を見直すことで,新たな教育活動の創造につながることを実感した。

成果目標

  • ・基礎的・汎用的能力を育み,教科のねらいを達成するICTを活用した「授業改善」
  • ・教科の学びと生き方をつなぎ,学習意欲の向上を図る「学びのポートフォリオ」の作成
  • ・学習活動の事実と考察により自己肯定感を育む「キャリア・パスポート」の作成
  • ・自己理解を促し,自己調整能力を育成する「自己理解シート」「生活理解シート」の作成
アドバイザーコメント
吉崎 静夫 先生
日本女子大学
名誉教授 吉崎 静夫 先生
  

 本期間は、新たな「研究構想図」の作成、校内ICT環境整備、ICTを活用したキャリア教育の授業実践が行われたことに特長がある。

●成果

(1)キャリア教育の視点の一つとして、「もう一人の自分を育成すること」の必要性を考慮することによって、研究目的がより明確になった。具体的には、「もう一人の自分」の視点から、これまでの学びや自己の行動を振り返り、自分のよさや課題に気づき、課題を解決しようとする意欲と態度を育むことをめざすということである。

そして、本校の特長は、自分のよさや課題に気づくための手がかりとして、ICTを活用した「学びのポートフォリオ」「キャリア・パスポート」「自己理解シート」「生活理解シート」を開発しようとしていることにある。

(2)普通教室に大型モニタ(テレビ)、書画カメラ、PC、LANケーブルの常設、さらに特別教室や体育館でWi-Fiを使用できるようにするためのアクセスポイントの設置など、校内のICT環境整備が一段と進んだことによって、一人一台端末を活用した授業がスムーズに展開できるようになった。

(3)保健体育、英語、理科、総合的な学習などで、ICTを活用したキャリア教育の授業実践が行われた。特に、アメリカNOAAやドイツ南極基地とのオンライン授業は注目に値する。

●今後の課題と期待

(1)生徒が「自己内対話(もう一人の自分との対話)」を通じて、自らの学びや行動を振り返り、自分のよさや課題に気づくことできるためには、どのようなデジタル・データ(「学びのポートフォリオ」「キャリア・パスポート」「自己理解シート」「生活理解シート」)が有効なのかを実践を通して検討してほしい。

(2)「もう一人の自分」には、「三人称的視点(自分の姿や成長を第三者の視点から、客観的に冷静に見つめるもう一人の自分)」と「二人称的視点(自分に寄り添い、励まし、ときには本音を引き出してくれるもう一人の自分)」が求められる。キャリア教育を通じて、「もう一人の自分」の三人称的視点と二人称的視点がどのように機能するのかを実践を通して検討してほしい。

(3)生きがい教育(キャリア教育)のためには、教育心理学者で東大名誉教授の市川伸一先生が提唱しているように、「なりたい自己(the self that I want to be)」と「なれる自己(the self that I am able to be)」を広げていくことが大切である。そして、ICTを活用したキャリア教育の実践を通して、「なりたい自己」と「なれる自己」の重なりを生徒に気づかせてほしい。