学校法人聖ヨゼフ学園 日星高等学校

第47回特別研究指定校

研究課題

SDGs未来都市舞鶴市を通して地方創生を考える
~ICTで人と繋がる。社会と繋がる。教科が繋がる。誰一人取り残さない教育をめざして~

2021年度04-07月期(最新活動報告)

最新活動報告
(1)特別研究指定校第1回会議 日時:4月26日(月) 16時から17時30分(zoom)......

アドバイザーコメント

小柳 和喜雄 先生
「聖ヨゼフ学園日星高等学校」は、西舞鶴駅からゆっくり歩いて20分、車なら......

学校法人聖ヨゼフ学園 日星高等学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 京都府 学校法人聖ヨゼフ学園 日星高等学校
アドバイザー 小柳 和喜雄 関西大学 教授
研究テーマ SDGs未来都市舞鶴市を通して地方創生を考える
~ICTで人と繋がる。社会と繋がる。教科が繋がる。誰一人取り残さない教育をめざして~
目的 SDGsの考え方を軸に①地域社会の資源や財産を確認し、自ら地域の問題や課題に取り組む。 ②教科横断的授業を行うことにより単なる知識を得る授業でなく得た知識活用できる「資質・能力」を養う。これにより地域で活躍できる人材を育成し、協力していただいている地方行政、地元企業と相互利益をもたらし地方創生を目指すカリキュラムを作成する。
現状と課題

現状:舞鶴市がSDGs未来都市に選ばれ、市や地域社会のリソースを生徒の学びに生かす大きな機会を得た。その中で、1年生の「総合的な探究の時間」において市役所や若手起業家と連携した地域探究活動が始まった。

課題:普通科総合コースには自己肯定感が低く学習に対して受け身な生徒が多い。中学段階の基礎学力が定着していない生徒や、学ぶ意味や学ぶ楽しさを知らない生徒も少なくない。そのため、学習の対象を身近な地域や現実社会の問題とすることにより学習意欲を高め、地域の人々とつながることで地域社会への関心をもち、地域貢献や社会貢献への意識を高められると考えた。

学校情報化の現状 昨年度、コロナ禍における全国一斉休校にあたり、全校でオンラインでの授業を行うことにより、学校の情報化が著しく進歩した。
取り組み内容
  • 「総合的な探究の時間」の授業プランを作成し実践する。 1年生はグループ研究 2年生は個人研究
    1年生・2年生 市役所や若手起業家の協力を得て、地域のよさや課題の発見、改善策の提案
    3年生 2030年の社会を予測した卒業論文の制作
  • SDGsを軸に3年間の「教科横断プログラム」の作成
    教科横断コーディネーターを中心にSDGsを軸に、生徒が深い学びが提供できるプログラムを作成する。
成果目標

2022年新学習指導要領実施に伴い、①地域の行政や民間と連携した「総合的な探究の時間」と②教科横断的授業を取り入れたカリキュラムマネジメントの確立を行う。
これにより生徒の自己肯定感、地域愛を育て、都市一局集中ではなく地域に根差す人材を育成する。

  • ① 生徒がSDGsについて学び、世界の中で自分たちが果たすべき役割について理解する。
  • ② SDGsを地域と関連させて舞鶴市がより良くなるためにはどうしたら良いかを考える。
  • ③ ICT機器を活用して、自分の考えを公の場でプレゼンテーションできる。
助成金の使途 iPad、短焦点プロジェクター、他校視察旅費、講師謝礼、研究冊子制作他
研究代表者 吉岡 達也
研究指定期間 2021年度~2022年度
学校HP https://www.nisseihs.ed.jp
公開研究会の予定 SDGs探究AWARDSへの参加

本期間(4月~7月)の取り組み内容

1 会議等

(1)特別研究指定校第1回会議 日時:4月26日(月) 16時から17時30分(zoom)
  •  助成金贈呈式及びスタートアップセミナー 5月28日(金)13時30分から17時30分
  •  4月26日、zoomによる会議を行った。参加者は、本校教員7名、担当アドバイザーである関西大学 小柳教授、パナソニック教育財団事務局である。財団から助成に関する説明をいただき、本校の2年間にわたるSDGsと地域連携を軸にした「総合的な探究の時間」のカリキュラム、「教科横断的授業」のカリキュラムの運用について説明した。小柳教授からは入口、出口を明確にすることや、評価の時期、方法を検討するようにアドバイスを受けた。事務局から全校体制・全教員で継続的に取り組むことと本研究の成果・プロセスを広く公開することが確認され決意を新たにした。また、5月28日のスタートアップセミナーにおいては日本女子大学 吉崎名誉教授、明治大学 岸准教授からもアドバイスをいただき、本研究のために多くの方に協力をいただいていることを再確認した。
  • (2)特別研究指定校第2回会議 日時:6月2日(水) 16時から17時(zoom)

     参加者は本校教員6名、関西大学 小柳教授、パナソニック教育財団である。主にアドバイザー訪問指導の日程調整を行なった。7月15日(木)5時間目、2年生「総合的な探究の時間」(インターンシップ事前指導)授業、6時間目、本校のICT環境、普段の授業の様子を見学していただくことになった。

    (3)特別研究指定校第3回会議 日時:7月15日(木) 14時10分から15時

     参加者は本校教員7名、関西大学 小柳教授、パナソニック教育財団(zoom)である。

    小柳教授と初めての対面での会議となった。アドバイザー、財団これまでの活動を報告した。

    小柳教授からは今年のゴールである報告会を実りあるものにするために、

    • ・インターンシップを行いながら生徒が成果物の素材を集められなければならない。そのために、9月のインターンシップ実施までに生徒にどんな成果物を作り、どのような対象に伝えるのかイメージを持たせる指導を行うこと。
    • ・インターンシップを通して自分がどう変わったのかを前後で生徒自身が分かる指標を作った方が良い。
    • ・それぞれのタスク「日星ゼミ」「SDGs・V市役所」「進路学習」、「インターンシップ」「課題研究」「進路学習」がどう交差するのか繋がりを意識しなければいけない。

    などのアドバイスをいただいた。

    2 総合的な探究の時間

    (1)1年生
    ①「総合的な探究の時間」の概要

     年間を通して26時間で計画を立てた。内容は日星ゼミと称して4時間のプログラムをA・B・Cの三講座。SDGs・バーチャル市役所(以後V市役所とする)と称して、12時間のプログラム。残り二時間はV市役所の取り組みの報告集会とする。学年3クラスをさらに二つに分け、合計6チーム(1−1①②、1−2①②、1−3①②)を作り、ローテンションを組んで、誰もがすべてのプログラムに参加できるようにした。(V市役所は3チーム合同にして12時間のプログラム。)

    ②「日星ゼミ」

     Aは「地域課題の発見」「地域愛の育成」「イノベーション力の養成」をねらいに、「一般社団法人KOKIN」と連携したゼミで、生徒が地域に出て、リノベーションされた建造物に触れ、まちづくりを考えるものである。

     B「映画から学ぶ」、C「資格にチャレンジ(漢検編)」は、本校教員が担当した。

    ③「SDGs・V市役所」の概要

    1学期:SDGsについて学び、SDGsの視点を取り入れることがまちづくりにどのように役に立つのかを考える。まちにおける市役所の役割を学ぶ。

    2学期:市役所各課より舞鶴市の課題を提案され、SDGsの視点を持ちながらアンケートや文献調査、インターネット調査、フィールドワークなどを通して課題の解決方法を考える。

    3学期:自分たちの提案をスライドにまとめプレゼンテーションをする。

    ④「日星ゼミ」(KOKINとの共同プログラム)(対象:1年3組 28名)(全4時間)

    1−3①チーム 4月27日(火)〜5月18日(火)

    1−3②チーム 6月8日(火)〜6月22日(火)

    1時間目 地元活性化のために働いている大人から舞鶴の良さを学んだ。

    2,3時間目 フィールドワーク(リノベーションされた建造物等を見学)

    4時間目 紹介ポスターを作成した。(Metamoji Classroom使用)

    日星ゼミでのフィールドワークの様子

    ⑤「SDGs・V市役所」(対象:1年生1組〜3組 78名)(全4時間)

    SDGs・V 市役所

    1−1② 1−2② 1−3② 4月27日(火)〜5月18日(火)

    1−1① 1−2① 1−3① 6月8日〜6月22日(火)

    1時間目 SDGsと地方創生の関係を知る。

    2,3時間目 SDGs de 地方創生カードゲーム実施。

    4時間目 市役所の役割を知り、地域が抱える問題を考える。

    ⑥「V市役所担当課リクエストアンケート実施」

    (対象:1年生1組〜3組 78名)7月13日(火)

     生徒に2学期に行われるV市役所でどの課に課題を出してもらいたいかをリクエストを聞いた。(Classi使用)

    (2)2年生
    ①「インターンシッププログラムの概要」(地域で活躍する大人から地域課題を学ぶ)

     地元で活躍している事業主に講演をしていただき、「働く意味」や「働く喜び」について考える。「仕事とは誰かの役に立つこと」「社会はみんなの仕事で成り立っている」ことを知った上でインターンシップを行い、働く喜びを実感し、社会の一員として役立っていることが自己肯定感に繋がることを知る。

    ②「インターンシッププログラム」(対象:2年1組〜3組 91名)

    1時間目 インターンシップオリエンテーション 4月15日(木)

     インターンシップに向けての導入を行なった。

    2時間目 キャリア講演会 5月13日(木)

     講演者 株式会社 ローカルフラッグ(濱田様) 株式会社ツクヨミラシン(駒井様)

    3,4時間目 キャリア講演会 事業所選択 5月20日(木)

     講演者 有限会社畿久鶴(久下様) 株式会社京栄電工(安原様) インフォニック株式会社(望月様)

     2週にわたり地元企業に講演をしていただいた。60年以上地元を支えた企業、学生で企業した方や、飲食業、これから地元に参入するIT企業、など他業種の方に仕事の内容や働きがいなど生の声を聞いた。

    キャリア講演会の様子

    5時間目 インターンシップ事前指導、注意事項 6月17日(木)

     ビジネスマナーや働く意味についての講義を受けた。

    3 第1回アドバイザー訪問指導

    6時間目 各事業所に分かれてのインターンシップ事前指導 7月15日(木)

     関西大学 小柳教授に来校していただき、パナソニック教育財団事務局にはzoomで参加していただいた。

     2学期から12事業所でインターンシップを行う。事業所ごとに分かれ各事業所からインタビューしたことやインタンシップの内容を生徒に伝えた。

     「働く」とはについて考えた。働くとは、人と繋がること、人のためになることをすること。それによって自己肯定感や自己の存在意義を確認できるということについて考えた。

    インターンシップ事前指導の様子

    4 評価

    (1)総合的な探究の時間振り返りアンケート実施

    (対象:1年生1組〜3組 78名)7月13日(火)

    SDGsに対して地元舞鶴に対して1学期間でどのように意識が変化したかアンケート調査を行なった。(Classi使用)

    アドバイザーの助言と助言への対応

     「総合的な探究の時間」と「教科横断型授業」2本の柱を進めていく上でカリキュラム開発・運用・評価を無理無く効果的に進めていく必要がある。

     入口(準備をきちんとすること)と出口(最終的に伝えたいことは何か)を明確にしなければいけない。

     この教育実戦によって身に付いた力の確認方法をどの時期にどのような方法で行うのが良いかを考えることが大切であるというアドバイスをいただいた。

     入口については、市役所、地元企業、地元大学である福知山公立大学共に好意的であり、「総合的な探究の時間」が軌道に乗り始めた。出口については生徒の地元舞鶴に対する思いや地元に貢献したいという気持ちの変化を追う。生徒たちに付けさせたい力として、問題解決能力や情報収集能力、創造力、学びに向かう力が挙げられた。

     評価の方法として、学期ごとの生徒へのアンケート、生徒の成果物で評価することは決まった。

    本期間の裏話

     事業所にインターンシップの協力要請をした時に最初は難色を示される事業所が多いのではないかと思っていたが、地域の未来の担い手を育てるプログラムだと賛同していただける協力的な事業所もあり嬉しく思った。また、教職員の中でも本研究において興味・関心を持っていただき、協力的であり、来年度の新学習指導要領実施に向けて一足早く学校が動きだしている感覚がある。

    本期間の成果

    • ・1年時、2年時「総合的な探究の時間」のプログラムの詳細を確定できた。
    • ・新学習指導要領実施に向けての準備ができた。

    今後の課題

    • ・教科横断型授業のための教員研修
    • ・観点別評価を踏まえた教科横断型授業でつけたい力の見える化。
    • ・効果的な成果物の選定と提出時期の検討
    • ・生徒の問題解決能力、情報収集能力、想像力の伸びをどうやって測るのかの検討

    今後の計画

    • ・1年生 市役所協力のもとバーチャル市役所の実施
    • ・2年生 インターンシップ実施
    • ・近隣小中学校教員対象のI C T活用公開授業の実施

    成果目標

    • ・SDGsを舞鶴と関連させて舞鶴市がより良くなるためにはどうしたら良いかを考える。
    • ・ICT機器を活用して、自分の考えを公の場でプレゼンテーションできる。
    アドバイザーコメント
    小柳 和喜雄 先生
    関西大学
    教授 小柳 和喜雄 先生

    1.研究テーマ・取り組みについて

     「聖ヨゼフ学園日星高等学校」は、西舞鶴駅からゆっくり歩いて20分、車なら5分とかからない緑豊かな市街地にある高等学校である。2019年に創立90周年を向かえ、その歴史と文化(教育目標:人と共に生き、人のために役立つ、心豊かな人に)もさることながら、第一印象として、1人1人を大切にし、時代を切り開いていく校風(自尊:かけがえのない存在、生命である自分や他者を大切にする心。自知:私たちの使命や可能性を見いだしこれを伸ばす喜び。自制:より高い目標に向かって自分を創り社会に出て行く勇気)を感じさせてくれる学校であった。

     1人1人の興味関心、生徒の探究的な学びを大切にしている姿が印象的であり、少人数で活発にICT等も駆使しながら話し合っている姿が心に残った。そしてその学習活動を支える教職員の資料準備、話しやすい雰囲気作りや問いかけなど、心地よい学習環境を築く配慮が感じられた。

     ICTに関しては、1人1台環境が整備されており無線LANで校内どこからでもインターネットにアクセスできる状況であった。本研究テーマの基盤となる「総合的な探究の時間」を、教職員チーム、学外関係者とともに実践研究を進め、その推進のコア(探究学習、進路学習等)となる時間を設定し、学習の成果の発表と交流を位置づけ、生徒および参加者の対話的・主体的な学びを豊かなものにしようとしている姿が見られた。

     本校の話によれば、これから2年の研究期間に、積極的に様々な場で成果の発表を行うとともに、SDGsと地域連携を軸にした「総合的な探究の時間」と教科横断型の学習を推進し、1)問題解決能力の育成、2)自己がどう社会と関わっていくのか、社会にとって役立つことができるのかの基礎的理解、3)産学官が繋がって地域を作っていることを知り、自分が地域に何ができるのか、に貢献できる3年間の「総合的な探究の時間」カリキュラムを開発していきたいとのことであった。

    2.本期間の取り組み

     4月26日、最初の会議を、zoomを用いて行い、2020年度入学生から始めている「総合的な探究の時間」の内容や現在の進捗状況を伺った。そして、5月28日の助成金贈呈式及びスタートアップセミナー時に研究目的や計画についてより詳細に伺い、6月2日にこれからの進め方に関する日程調整を中心とするzoomを行った。緊急事態宣言が解除されたこともあり、7月15日に学校を訪問する機会を得た。その際、5時間目に2年生「総合的な探究の時間」(インターンシップ事前指導)授業と6時間目に学校のICT環境や通常の授業の様子を見学させていただく機会を得た。そして、放課後に、研究推進チームの先生方と意見交換や今後に向けての打ち合わせを行った。

     写真にあるように、教科の授業で目的に応じてICT(パソコン、タブレット、スマートフォン)が日常使いで活用され、生徒たちは、学習活動に応じて、メディア選択をし、情報活用能力を生かした学習が展開されていた。1人で考える機会、生徒同士で話す機会が、あるリズムを持つ流れで組み立てられているようにも感じられた。ICTなどを生かす学習のルールが授業で生かされているのが感じられた。

    3.今後の期待

     聖ヨゼフ学園日星高等学校の取り組みは、他の学校にはなかなかまだ見られないSDGsと地域連携を軸にした「総合的な探究の時間」のカリキュラム開発への挑戦とそれを効果的に運用していく方法や具体的な手続き、そしてその理論的裏付けを明らかにしようとされている。この「総合的な探究の時間」のカリキュラムは複雑な構造(後々学校からも報告があると思われる)を持ち、そこに参画し協力をしてくれる地域の人々や市役所、教育機関などが多い。しかしそこには、新しい取り組みに向けて、作り出していく雰囲気が感じられた。

     これを継続的に進め、それらを学校全体の財産としていくためには、実践に関わる生徒、教職員、関係者の声などを大切に受けとめ、成果の評価をしつつ、その成果を導いた各取り組みの評価を丁寧にしながら、目指している姿に近づいていって欲しい。