長岡京市立長岡中学校

第43回特別研究指定校

研究課題

タブレットをはじめとするICT機器を活用した「わかる」授業の創造
~深い学びを追及した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり~

2018年度1-3月期(最新活動報告)

最新活動報告
昨年末に公開授業研究会の指導案を作成し、浅井先生に......

アドバイザーコメント

教科・領域ごとに議論を進めることができた。教材研究は進んだが......

長岡京市立長岡中学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 京都府 長岡京市立長岡中学校
アドバイザー 浅井 和行 京都教育大学副学長
研究テーマ タブレットをはじめとするICT機器を活用した「わかる」授業の創造
~深い学びを追及した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり~
目的 「わかる」「できる」「協働」「深い学び」「対話的な学び」「ユニバーサルデザイン」をキーワードとした授業改善
現状と課題

(現状)

  • 子ども達はグループ学習で思考が深まることを楽しいと感じている。(授業アンケートより)
  • 理解を深めるために授業でグループ学習に取り組む展開は多くの教科で取り入れられ効果も上がっている。

(課題)

  • タブレットの基本的な使い方について子ども達に指導する機会が得られていない。
  • 教師がタブレットを使って授業をするイメージが作りにくい。
  • タブレットの教員機が一台しかないためタブレットを使った授業の準備を複数の教員が同時にすることができない。また、教師に一人一台貸与されているパソコンとタブレットの互換性が低く、授業準備がスムーズに進まない。
学校情報化の現状 教師のICT活用はある程度進んでいるが、生徒の活用に課題がある。
取り組み内容
  • アドバイザーによる講義
  • ICT機器の活用研修
  • ICTを用いたグループ活動の授業実践
  • 校内授業研修の実施
  • 公開授業の実施
  • 事後研究会の実施
  • 教育委員会および地域小中学校と連携し研究を共有する。
  • 生徒への授業アンケート
  • 研究発表会の実施
成果目標
  • 教員がICTを活用したグループ活動を計画実施できる。
  • 生徒がICTを活用してグループで協働して課題解決することで自己有用感を高める。
  • 生徒がICTを活用したグループ活動を通して、他者の考えやその良さに気付き思考を深めるきっかけにできる。
助成金の使途 タブレットPC、プロジェクター、視察旅費、謝金、事例集作成
研究代表者 森山 結城
研究指定期間 平成29年度~30年度
学校HP http://www.edu.city.nagaokakyo.kyoto.jp/nagaoka-j/
公開研究会の予定
  • 平成30年1月25日 中間発表会
  • 平成31年1月    2年間のまとめ発表会

研究課題と成果目標

研究課題 タブレットをはじめとするICT機器を活用した「わかる」授業の創造
~深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり~
成果目標

①本校の生徒につけたい力を教職員全員で明確にし、共通理解する。

②タブレットPCを授業に取り入れてみる。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

[本期間(4~7月)の取り組み内容]

①について
・教職員研修の実施
【5月】

【7月】

参加した授業(学年)複数回答あり
参加した講習会場
参加による学び

②について

  • 国語科での実践
  • 国語科で校内公開授業
  • 総合的な学習の時間でプレゼンテーション撮影
  • 保健体育科での実践
  • 部活動での活用
参加した授業(学年)複数回答あり
参加した講習会場
参加による学び
アドバイザーの助言と助言への対応

《助言》

  • 学校内で生徒につけたい力を共有しそれに対してICTをどう活用するかという視点を持つこと。
  • 市教育委員会との連携

《対応》

  • 教職員アンケートから校内研修会を持ち、生徒観の共有、つけたい力の共通認識をはかった。
  • 市教育委員会にヒアリングを要請し、現状の報告と今後のICT環境についてディスカッションした。

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

・嬉しかったこと
校内研修会に全教職員が積極的に参加できた。年齢やキャリアを問わず発言できる雰囲気や、まずはやってみようという前向きな空気感が確認でき有意義な時間となった。
タブレットPCを授業に取り入れることに対し生徒が前向きで、使わない日は「先生、今日はタブレットないの?」という声を聞くことができた。普段は授業に参加することが難しい生徒も、グループでタブレットPCを使って考えることで参加できた。

・苦心談
本校で元々から活用している、ノートPCやデジタル教科書、大型モニターやプレゼンテーションソフトを活用した授業について、今以上の成果を求める活用方法が見つかっていない。
 新しく試験的に導入されているタブレットPCの活用がポイントとなると思われたが、様々な問題が発生した。タブレットPCの台数が少ないため、授業担当者が複数の場合、単元そのものをずらさないと使うことができず調整に苦慮している。
また、使ってみることでタブレットPCそのものの弱点が見えてきて「もっとこうしたい」「もう少しこうだったらもっと使えるのに」が増えてきている。今後市教育委員会とも協議し改善していかなければならない。

成果

 ICT活用で成果が出る部分と、今まで通り黒板・ノート・ホワイトボードがスムーズな部分が見えてきたように思う。タブレットPCについてはいくつかの実践がされ、交流から「自分の授業でも使ってみよう」という積極的な意見や「もう少しこんな点を改善しては・・・」といったアイデアが出され、2学期の実践に向けての方向性についても各教科で話し合う機会が持てた。
 生徒達はタブレットPCを使うことで目新しくもあり、楽しんで使っている。学期末に行っている教科担当教員への授業評価では、「よくわかった」「おもしろく学べた」との記述も見られ、まずは学習への意欲関心を高めることができた。
 また、保健体育の高跳びの授業でフォームを撮影する実践では、「自分のフォームを客観的に見たり、考えたりしてここをこうすればいいのでは、こんな所をもっと伸ばせば、さらに記録が出るのではと探求していくのも一つの楽しさを感じるところかなと思います。」という感想が見られ、効果が実感できた。

今後の課題

  • つけたい力を明確にした授業展開
  • ICTを利用した協働学習の検討
  • タブレットPCの環境整備

今後の計画

10月23日に公開授業、事後研修会を予定

気付き・学び

教職員が、よりICTを活用しようとする意欲を高めるためにICT機器(タブレットを含む)を常備した特別教室の整備が有効ではないか。

アドバイザーコメント
京都教育大学 副学長 大学院連合教職実践研究科長 教授 浅井 和行 先生

 学校教育活動でお忙しい中、4ヶ月間の取り組みご苦労様でした。

 本校の研究の特徴は、先端研究としての成果を目指すだけでなく、どの学校でも取り組めるメディア教育実践のアイデアを紹介しようとするところです。5月の研修会では、タブレットPCを活用した授業が提案され、その後「ICTを活用した授業」についての紹介があり、教職員間で議論が行われました。また、7月の研修会では、5月の研修内容を受けて、子どもたちにどんな力をつけようとするのか、校内の各教科・領域や活動の中でどんなことを実践していくのか、また実践したのかについて議論が行われました。次回の報告からは、行われた研修会の具体的な内容もご紹介いただけるとよりわかりやすいと思います。

 

 本校の取り組みは、「深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり」を通して、『タブレットをはじめとするICT機器を活用した「わかる」授業の創造』を目指すものです。しかし、研究の取り組みを始めるにあたって、この4ヶ月間でそのスタート地点に立つための準備を行う必要がありました。タブレットPCについての取り組みの記述が中心になってはいますが、本研究はあくまでも『ICT機器を活用した「わかる」授業の創造』を目指すものであり、そのための「グループ活動の仕掛けづくり」を検討するものです。これからの取り組みの中で、様々なメディアを活用して、グループ活動の仕掛けが行われ、子どもたちのために「わかる」授業が展開されることを期待しています。

 

 タブレットPCそのものの弱点が見えてきたということですので、具体的に議論されたことをご紹介いただければ、私も一緒に考えさせていただけますし、この活動報告を読まれた方からも、学校に対して、これまで全国で行われてきた工夫やアイデア、そして様々なアドバイスをお知らせいただけるのではないかと思います。また、助成金を活用し、タブレットPC自体の購入もご検討いただければと思います。

 

 なお、私自身も大学院の要件で京都府教育委員会学校教育課、乙訓教育局局長、長岡京市教育長にお会いした折、本校の取り組みの経過をご報告しました。皆さんがたいそう期待しておられたことを申し添えます。

 

本期間(8月~12月)の取り組み内容

  • 1.アドバイス訪問時に授業を公開
    3年生で6授業を公開
    《英語科》
    英語科
    道案内の授業で教科担当がALTとともに学校外で撮影した動画(嵯峨嵐山観光案内)を使用。実際に普段使っている最寄り駅での映像に、生徒の関心をよりもたせることができた。また、ALTが本校に勤務していないときも、ネイティブの発音に触れ、親しみの持てる内容で学べる実践となった。
    《保健体育科》
  • 保健体育科1
    保健体育科2
    保健体育科3
  •  ソフトボールの授業(雨天のため体育館にて実施)
    ボールをミートするために動画を撮影し、グループで各自のフォームを分析。
    分析結果を全体に交流し、より良いフォーム等を考えるのに効果的であった。
    動画の鏡的利用と焦点を絞った振り返りにより、学習が深まった。

    《国語科》

    国語科
    和歌の鑑賞文とイメージ画をグループ内でビブリータイマーを用いて交流。ビブリオバトルで培ったプレゼンテーション力と、聞く側の協力でスムーズな交流タイムになった。この後、グループ代表が実物投影機を使って鑑賞文を全体に発表した。
  • 《社会科》

    社会科1
    社会科2

    三権分立の仕組みを学習後、「内閣は衆議院を解散する場合と総辞職する場合のどちらに利点があるか」をグループで考える実践。グループディスカッションの途中経過を撮影してモニターに提示することで全体の議論を活性化させた。

    事後研修では、教科部会を持った。校種をこえて、他校からの先生方も交え、授業に対する質問・意見だけでなく、生徒の学ぶ姿勢や学び方のスタイル、ICT活用の場面や成果課題に対しても各教科時間いっぱいを使って活発な議論ができた。他校の先生方からは以下のようなコメントをいただいている。
    小学校(1校から)
    ▼英語は、聞いたり話したりの活動が多く、自分が受けてきた授業とは、イメージが違いました。
    高等学校(3校から)
    ▼教室では実物を見ることが難しいものをできるだけ動きを伴った形で見せるということに意味があると感じた。
    ▼星の動きのように変化に要する時間が長く時空間的に教室で見ることが困難であるものではICTを活用することによって、静止画像の連続を見せるよりも、動画として見せることによって、よりリアルな星の動きを生徒の学習に結びつけることの助けになると感じた。
    ▼隣の席の生徒同士でのペアワークもワークシート等をICT機器で共有することで教室全体の学びに、さらにはより深い対話に繋がるのではないだろうか。
    ▼2人1組で配置された座席は生徒間のコミュニケーションを容易にし、教員の発問に対し、自然と考えを出し合いながら答えを導く姿が見られ、より能動的な姿勢につながっていると感じた。
    ▼数学の時間では、すごく教師と生徒の言葉のキャッチボールがなされていると思いました。
    ▼生徒の解答をタブレットで撮影して、前の電子黒板で共有するという手法をみて、これこそがICTの有効な使用法だと感じた。
    ▼保健体育科のソフトボールの授業を見学させて頂きましたが、指示が的確で、何を目的として学習するのかが明確でした。
    ▼さらにタブレットを使い自らの身体の動きを把握することで改善するポイントを言葉で教えられるよりも早く確実に理解することができていたように思いました。
    ▼中学生が学習に対して積極的で楽しんでいる姿が印象的でした。
    ▼ICT活用を短時間で、メリハリをつけて学習活動を行えると実感しました。また、本文や生徒の作品を写すことで、効果的に共有することができると感じた。生徒たちがグループ活動に慣れており、活発なやとりがあるとあるのも印象的だった。
    ▼中学1年生は好奇心が強く、手を挙げたり、発言したり、授業に積極的に参加していた。
    ▼各授業で、グループ学習や競わせる、教え合わせる、発表させるなどの工夫がなされていた。
    ▼生徒が興味を持ち、主体的に授業に参加できるように様々な工夫をされているのがわかりました。
    ▼ICTとICT以外の学び方を併用することが大切だとわかりました。

  • 2.多くの教員が他校の実践に触れる
    • ・8/1 パナソニック財団指定中間報告会視察10名の視察団で参加
    • ・8/21 校内研修会: 講演 マイクロソフト社 エバンジェリスト 西脇資哲氏
    • ・研究発表・公開授業等、一人一回を目標に参加
    • ・全日本教育工学研究協議会全国大会に参加
  • 3.本校での実践を整理
    • ・研究推進プロジェクトチーム発足
      定期的にプロジェクトチーム会議を行い、教科でのICT活用の交流をはじめた。プロジェクトで紹介した実践を校内研修でも紹介し全体共有の場を設けている。
  • 《数学科で公開授業》

  • 数学科で公開授業1
    数学科で公開授業2
    数学科で公開授業3

    プレゼンテーションソフトのハイパーリンクを利用した実践。リンク先にあるヒント集を使って証明を導き出すことで、生徒の主体的な学びを実現するとともに、生徒同士が協働しながら時間いっぱいまで熱心に学習する姿が見られた。

    • 《国語科 市内教務主任研修で公開授業》

    • 国語科 市内教務主任研修で公開授業
      国語科 市内教務主任研修で公開授業2
      国語科 市内教務主任研修で公開授業3

      平家物語の群読の際、タブレットPCを使って作ったスライドをあわせて発表を行った。

      国語科 市内教務主任研修で公開授業4
      国語科 市内教務主任研修で公開授業5
      国語科 市内教務主任研修で公開授業6
      写真のコピーやトリミングを使って気軽にスライドが作れることが有効であった。また、スライドを作るに当たって、生徒同士の「この矢の角度おかしくない?」「色ってこれで合ってる?」などやりとりが多く見られ、協同的な学びで情景の読みを深めることができた。また、いつもは開かない大きな図版資料を参考にするなど主体的に調べる場面も多く見られ、理解を深めた。
    • 《社会科で公開授業》

      • ① 株式会社の運営をイメージするために、タブレットPCにExcelファイル配布して5年間会社を運営するという実践を行った。Excelの活用により、計算にかける時間が省け会社運営の仕方に集中して取り組めた。計算ソフトがあることでPC頼りの活動になるかと思われたが、準備していた紙の表で考えながら入力する形での活用が中心となった。興味深かった。
      社会科で公開授業1
      社会科で公開授業2
      社会科で公開授業3
    • ② 長岡京市の選挙管理委員会と社会科のコラボレーションで主権者教育模擬投票を行った。活動の深まりを目指して大型モニターとホワイトボードを適所で活用した。ホワイトボードでグループの考えをまとめ、全体でのまとめをすることで深まりを持たせることができた。
    • 社会科で公開授業4
      社会科で公開授業5
      社会科で公開授業6
      • 《保健体育科での実践》

        • マットの授業で4人に1台、タブレットで技の練習を撮影
          • ・練習の流れを切らずに撮影するための活用方法
            • 例)①グループ内の4人分を連続して撮影し、スローで再生
               ②1人の撮影者が3人を撮影し、再生している間に自分の練習
               ③人の撮影者が、1人の動きを撮影する。
          • 【動画のメリット】
            • ・動きを具体的に理解することができる。
            • ・技のポイントの確認や振り返りをし、一人一人の課題を明確にする。
            • ・教え合いが活発になり、学び合いが深まる。
          • 【学習場面から】
            • ・特に指定をしなくても、生徒は練習と技の確認を繰り返していく。
            • ・撮影をしながら適宜アドバイスも生まれる。
            • ・次は「この技の、この部分」とポイントを絞って運動し、できたかどうか確認ができる。

          プロジェクト会議で交流された内容について、校内研修でも発表し全教職員で共有することができた。

          1月の中間報告のヒントとして活用できるよう、教科部会でも話し合っている。

  • 4.アンケートを整備
    11月末から全ての生徒に対するアンケートを実施することができた。
    これから細かく分析していく予定である。

アドバイザーの助言と助言への対応

《助言》

  • ・ICTがあるから使うという姿勢ではなく、ねらいをはっきりさせどんな力をつけたいかつきつめて活用を考えていくとよい。
  • ・日常的にグループ活動が行われていることが本校の強みとなる。グループ活動にICTをうまく組み合わせた授業で考えが深まる、理解が深まるような実践を目指していくとよい。

《対応》

  • ・推進チームを中心に、奇をてらった何かをするのではなく、今やっていることを振り返り、どんな力をつけさせるために実践なのかを考える。子どもが「腑に落ちた」と思える方向でICTを活用することを大切に研究を進めていく。

本期間の裏話

  • ・2学期は行事が立て続けにあり、研究と行事の両立に苦心した。そんな中でも先生方は研究授業に向けて着々と準備を進めてくれた。「何のためにICTを利用するのか、本当に必要なのか」といった点について各教科で議論が多くもたれ、様々な実践が発表された。そのことがまた次の実践や議論につながり、研究が活性化した。
  • ・推進チームが発足したことで現場の様々な思いやニーズが交流され、具体的な課題が共有されるとともに、解決に向けての具体的な動きも生まれた。研究への動きが太くなり、広がっていくきっかけとなった。
  • ・1月の発表に向けての動きの中で、若手英語教員から直接相談を受けた。相談の中で私にはわかりにくい点があったので、その点について詳しいベテランの数学教員が細かく説明すると、「イメージがわいてきました」という、うれしいつぶやきを聞くことができた。その方向で授業を進めるべく奮闘している。一つの研究で職員室の教科や、年齢を超えた話し合いが生まれ、教師同士がつながっていく実感があり非常にうれしい場面だった。また、「森山先生、IOTていうのがあるらしいねんけど知ってる?」「知らん知らん、なんなんやろそれ?」という会話に近所に坐っていた先生が「それ知ってますよ・・・」と教えてくれる。職員室内に何気ない会話のつながり・まじめな雑談が増えたと感じている。
  • ・生徒アンケートに「ICTを使ったグループ活動をしたことで理解が深まった。」というコメントが見られた。生徒の具体的な言葉として表れたことは大変うれしかった。

本期間の成果

  • ・研究推進チームが動き始めた。
  • ・校内研修会・教科部会だけでなく、職員室のあちこちで話し合いが生まれた。
  • ・教科、年齢を超えた教師のつながりが新しい実践を生み出しつつある。
  • ・たくさんの授業を公開し、お互いの授業を参観し合えた。
  • ・生徒からICTを利用した授業が楽しい、よくわかるという感想が聞けた。

今後の課題

「ICTを活用する」視点についてはずいぶん整理されてきているが、グループ活動での活用(協同的な学び)や主体的な学びについて、できる実践とそうでない実践が存在している。

今後の計画

1月25日 中間発表
来年度
1学期 アドバイス訪問
夏休み 中間発表
2学期 アドバイス訪問
3学期 研究発表

成果目標

  • 1.アドバイス訪問時に授業を公開する。
  • 2.多くの教員が他校の実践に触れる。
  • 3.本校での実践を整理する。
  • 4.アンケートを整備する。
アドバイザーコメント
京都教育大学 副学長 大学院連合教職実践研究科長 教授 浅井 和行 先生

 研究課題の「タブレットをはじめとするICT機器を活用した『わかる』授業の創造」に向けての取り組みは順調に進んでいます。また、各教科での検討もしっかり行われています。ただ、サブテーマの~深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり~に向けての焦点を絞りきるのはなかなか難しいようです。

 財団が夏休みに行われた中間報告会には10人の教員が参加しておられて、私自身驚きました。助成金を単にメディア機器を購入するのに使用するのではなく、教員の力量形成に力を傾けておられるのが本校の特徴です。

 また、研究推進プロジェクトチームが発足したことも大きいと思います。教員個人の研究から学校全体の研究になりつつあります。

 今後は、現在の取り組みを進めつつ、サブテーマについての検討も進めていただきたいと思います。グループ活動の仕掛けをどのように行うかを検討することが、生徒たちの深い学びにつながります。

本期間(1月~3月)の取り組み内容

①授業公開

 1、2年生で10授業を公開し、他校から60名近くの参加があった。
(予定していた10授業中1授業はインフルエンザ流行のため中止)

家庭科1年生
《家庭科1年生》「まつり縫い」の説明で拡大した現物と同時に手元を拡大したタブレットPCの作業動画を使い説明した。また指導中、上手な生徒の作業動画を大型モニターに提示し縫うときのポイントや意識していることを発表させた。作業を繰り返し見ることができることや、上手くできた生徒が紹介されることで自己肯定感が上がるなど効果的であった。
英語科1年生
《英語科1年生》授業で使用するワークシートをプロジェクターを使って黒板に投影し、そこにチョークで解答解説を書き込みながら授業を進めた。手元のワークシートと全く同じものが黒板に投影されることで、今、している作業が明確になり指示が減ると同時に、机間指導や支援が必要な生徒への指導時間を増やすことができた。また、強い光源のプロジェクターを使用すれば、写真や動画なども黒板に投影できることがわかり、指導のバリエーションが広がった。
国語科1年生
《国語科1年生》文学作品の読み取りの授業での、プロジェクターで本文を黒板に投影し討論の際の生徒の発言をその都度書き込んでいった。作品のどこを根拠として発言しているのかが明確になり、全体で共有することができた。また、データに記録が残っていくので次時に復習するときにも活用でき効果的だった。
数学科1年生
《数学科1年生》4人1組のグループに1台ずつのタブレットPCを持たせ、立方体の断面図を考えさせた。大型モニターに投影したアニメーションと、手元にあるタブレットPCに配布される図、具体物としても立体模型を駆使し、グループで答えを導き出した。2Dではとらえにくい空間図形が3Dで提示されること、グループで話し合いながら思考することで考えが深まった。
社会科2年生
《社会科2年生》地理分野のパフォーマンス課題として秋田県大館市と長岡京市が姉妹都市になった際お互いを高め合う施策を考えさせた。大館市出身の授業者が故郷で撮影したインタビュー動画を編集して提示することで、長岡京市とは大きく違う秋田県の魅力や課題を多面的にとらえさせることができた。同時に生徒は自分の居住地である長岡京市について調査分析をし、つなぎ合わせることで来年度の公民的分野につながる実践となった。

《数学科2年生》二等辺三角形・正三角形・直角三角形になる条件を見つける授業でICT機器を活用してヒントを得ながら思考し学習を進める実践を行った。プロジェクターで黒板に様々な場合を投影し個別で考えることから始まり、次の課題についてグループで考えた。ヒントのプレゼンテーションを見ることのできるPCを教室内に設置し、自由にヒントを見ながら考えをまとめグループの代表が発表をした。生徒の意志で自由に探索し主体的に学習を進めることができる実践となった。

英語科2年生
《英語科2年生》聞き手に伝わるプレゼンテーションをすることを目標とし、タブレットPCで動画を撮影しながら練習を行った。事前にAETによるプレゼンテーションを撮影しておき、全体で視聴し評価の基準を確認させた。その後4人のグループで役割分担をし、それぞれのプレゼンテーションを撮影し客観的に見ながら改善点を話し合った。自分のプレゼンテーションをその場で確認し改善できるタブレットPCならではの良さが生かされる実践になった。

《数学科2年生》折り紙を使って面積が最大となる正三角形の折り方を考え、後に正三角形ができる理由を考えた。プロジェクターを使って黒板にスライドを投影することで、チョークで書き込みながら説明ができた。生徒の手元の作業を実物投影機を使ってモニターに映し出しながら説明できるなど、身近な機器の良さを最大限に使いながら、思考し発表できる実践となった。

数学科2年生
数学科2年生
国語科2年生
《国語科2年生》絵画の評論文に出てきた「一点透視図法」について理解するため、グループに一台持たせたデジタルカメラで消失点のある写真を撮影してきて、その意図や効果を説明させる授業を展開した。画家のねらった効果と意図を理解し、表現するために消失点を効果的に利用したことを読み取り、同じ効果のある写真を時間内に撮影することで言葉による抽象的な説明が実感の伴うものに変化した。また、グループで読むことで読解の難しい生徒にも中身を理解でき、勘違いしていたグループも自分たちの間違いに気付くことができる実践となった。

《事後研修》

 本校の事前会議で「授業者と参観者が近い距離で実践について話し合えるような事後研がしたい。」「成果と課題を明らかにし改善策を考えられるような事後研が必要だ。」「誰かのまとめを受け身で聞くのではなく、参加し議論できる事後研にならないか」といった意見が多く、今回はグループ討議型の事後研修を行った。あらかじめ参観者には成果・課題・疑問を付箋に記入しておいてもらい、それをもとに授業者が2人1組でブースを担当し、同じ教科から司会者・記録者を決め、参観者と共に授業を振り返った。時間の都合上短時間の討議になったが、論議は非常に白熱し、まだまだ話し足りないムードでグループ討議を閉じることとなった。外部の先生方の意見を聞くことができ良い機会になると共に、参加型の研修になり外部の先生方達からもおおむね講評であった。この討議を踏まえて校内では教科部会を持ち、今年のまとめと来年度への展望を持つ機会とすることができた。

 

②本校の研究を発信

 研究発表について市内の中学校の教職員が参加し、共に協議し合う場面をつくることができたことは大きな成果である。また、参加者には研究紀要・指導案集も配布することができた。

 

③ICTの活用、グループ活動に関する生徒アンケート

 全国学力・学習状況調査と同じ項目でアンケートを作成し3年生を中心に今年度の変化を見取った。以下がその結果を示すグラフである。

事後研修
事後研修
事後研修
事後研修
事後研修
事後研修

 11月のアンケートでは多くの項目で4月の値を上回っている。今年度、学校全体でICTの研究を中心に据えて対話的で主体的な学びに取り組んできたことの成果といえる。

 

④1年目の研究のまとめ

 研究紀要と中間発表用のスライドに今年度の研究をまとめることができた。

 

研究紀要より抜粋

 グループ活動に対して肯定的な本校の生徒達だがグループ活動について「グループ活動は嫌い」「話すのは苦手」「発表はいやだ」というような記述も見られる。討論、話し合い活動、群読の創作、班活動の発表、ワールドカフェ、ビブリオバトル、ニュースバトル、グループ作業など様々な実践の中で様々な思いを持つ生徒がいるのは当然である。しかしそれを理由にグループ活動は意味がないと考えるべきではない。たとえ積極的に発言したり参加できたりしなくても、その場にいて他人の意見を聞いていること、他者の考えに触れること、周囲の気づきを知ることがその生徒の中で世界を広げ理解を深めている。「わからない」ことは「不快」であるが「わかった」実感を持つことはどの生徒にとっても「快」である。「発言するのはいやだけど、他の人の意見を聞いてなるほどと思った」などの記述が見られるように、グループ活動が「快」を生み出す一つの要因として生徒にも受け入れられていると考えて良いのではないか。

 

 また、教員間に研究を通して対話が多く生まれたのも大きな成果といえる。
職員室でも様々な会話が生まれた。
「やっぱり授業を考えるっておもしろいですね。」
「こんなんするんですよ、見に来てください。」
「使ってみたいんやけどだれかしってる?」「知ってる、知ってる」
「そんなことできるんや、世界が広がりました。」「1回見においでよ」(プロジェクト会議でICT活用を交流した後の会話)
「見に行けなかったんですけど、どうでした?」「すっごいおもしろかったよ。生徒がこんな風に言って・・・・」(授業後の職員室)
「なんか楽しかった、腑に落ちた。考え議論する道徳ってこれなのかなぁ。」(道徳の指導案を検討しているときの会話)

 

 今までの本校に教員間の会話がなかったわけではない。むしろ、従来から年齢を超えて教科を超えて会話の多い職員室である。今年、研究をきっかけにさらに会話が増えたことが実感できる。今、ベテランから若手への技能技術の伝承は教育界では大きな課題だ。研究をきっかけとして教員同士のコミュニケーションもより円滑となり、そのことで授業の質も上がってきたように思う。課題はまだまだあるが、この前向きなトーンは来年度につながっていくことを確信している。

アドバイザーの助言と助言への対応

《助言》

アンケートの分析により子どもたちの変容を評価していく。
対話の中身、対話の前後でどう変化するかを見取る必要がある。
ICTを活用したグループ活動を軸に考えていく方向性を持つ。

 

《対応》

 アンケートを採り、集計し変容を確かめるところまではできた。今後在校生の変化を追跡する必要である。
 対話の前後の変化については、振り返りの記入などから見取ることはできた。しかし、対話の中身や、何が要因で変化していくのかなどの分析が来年度の課題となる。
ICTを広くとらえ日常的に活用することや、自分の得意な分野に付け足していくという発想は持てたが、グループ活動という視点ではまだまだ研究が必要である。

本期間の裏話

 本校にはタブレットPCは合計20台しかない。中間発表に当たり、どの授業でも最新の機器が使える状況はない。そこでICT機器を広くとらえ、プロジェクター、実物投影機、デジタルカメラ、ノートパソコンなどあるもの全てを生徒の理解が深まる目的で利用してみる実践となった。その結果一番人気だった機器はプロジェクターで現在もプロジェクターは授業で調整が必要なほど活用されている。どの学校にもある機器をどう使うか。無いからできない、タブレットPCを使わなければならないのか、といった呪縛から逃れることができた中間発表会となった。

本期間の成果

  • ・中間発表会に向けて教職員が同じ方向性で研究を進めることができた。
  • ・指導案の型について検討し、独自の型を作ることができた。
  • ・中間発表会に向けて教職員が同じ方向性で研究を進めることができた。

今後の課題

  • ○グループ活動を通して課題設定・課題解決力を付ける指導の在り方を追求する。
  • ○グループ活動の評価とねらいの達成をどのように見取るかを検討する。
  • ○グループ活動にICTを有効に活用する実践を追求する。

今後の計画

1学期 アドバイス訪問
夏休み 中間発表
    校内研修 指導案検討会
2学期 授業参観週間 全教職員一授業公開
3学期 研究発表
再来年度
夏休み 発表

1年間を振り返って、成果・感想・次年度への思い

 1年間を振り返ったとき、今年度の成果として大きく3点あげられる。
①前述の通り、教職員同士が語り合えたことは最大の成果である。仕事への充実感の向上、授業する楽しさの実感、授業作りを通しての教職員のチームワークの高まりなど、語り合うことが良い影響を生み出し、職員室が明るくなったように感じられる。
②今年度前半は研究自体が「タブレットPCが導入されたので使わなければならない」「発表だから使わないといけない」というとらえ方になり、拒否感や苦手感、不必要感、環境が整っておらず使いにくい、などICT機器ありきの姿勢が色濃かった。
 しかし、夏の報告会の参加、プロジェクト会議、各教科でのICT活用交流、各方面への視察とその報告などを重ね、ICT機器ありきでないというスタートにたつことができた。また、それを踏まえて活用してみて結果を検証することを繰り返すことができた。この検証の中で、仕掛け作りの創意工夫を各教科あるいは教科を超えて議論でき、発表し合うことで工夫事例が多く生み出せた。特に中間発表会では、どの学校でも今すぐできる実践事例を多く生み出すことができた。
③こういった成果が子どもたちの感想にも現れている。グループ活動、ICTの活用は楽しい、考えを深められたとの声が多く見られた。また、子どもたちは討論や話し合いはは楽しいと言う。かつてなら家庭で討論が存在したり、大人の意見に触れることも多かったのだろうと思う。しかし核家庭化が進み、共働き家庭も増え大人と子どものまじめな会話は困難な状況となっている。子どもたちの「話したい」「聞きたい」「知りたい」「わかりたい」という要求に答える学習形態、リアルな体験をグループ活動は担っているのではないかと考える。
 AIが発達して世界は激変するといわれているが、話し合い、気付き、深めより高い境地にみんなで着地していくことは人間にしかできない、なくならないと言われている。ICTとグループ活動を組み合わせていく発想は世の中を生き抜いていくヒントを子どもたちに与えることにもつながるのではないか。
 今年度の研究の成果は様々な場面で「その成果」を「実感」できているところにある。その中で来年度は、「活用した、便利だった、おもしろかった」ではいけないという話が教職員の中から出てきた。現場の声と実感を大切にしながら、ICTを活用したグループ活動とその成果の見取りについて焦点化していくことが来年度の課題であると考えている。

成果目標

  • ①中間発表時に授業を公開する。
  • ②発表及び事後研修会で地域の学校へ本校の研究を発信していく。
  • ③ICTの活用、グループ活動に関する生徒アンケートを分析する。
  • ④1年目の研究のまとめをする。
アドバイザーコメント
京都教育大学 副学長 大学院連合教職実践研究科長 教授 浅井 和行 先生

 本校の研究テーマは、下記の通りである。
『タブレットをはじめとするICT機器を活用した「わかる」授業の創造
~深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり~』
 当初は、教科指導におけるICTの活用が中心であったが、少しずつグループ活動の仕掛けづくりに焦点が当たるようになってきた。
 《数学科1年生》の授業でも、
「4人1組のグループに1台ずつのタブレットPCを持たせ、立方体の断面図を考えさせた。大型モニターに投影したアニメーションと、手元にあるタブレットPCに配布される図、具体物としても立体模型を駆使し、グループで答えを導き出した。2Dではとらえにくい空間図形が3Dで提示されること、グループで話し合いながら思考することで考えが深まった。」のように焦点化がなされるようになってきている。
 また、《英語科2年生》の授業でも、
「聞き手に伝わるプレゼンテーションをすることを目標とし、タブレットPCで動画を撮影しながら練習を行った。事前にAETによるプレゼンテーションを撮影しておき、全体で視聴し評価の基準を確認させた。その後4人のグループで役割分担をし、それぞれのプレゼンテーションを撮影し客観的に見ながら改善点を話し合った。自分のプレゼンテーションをその場で確認し改善できるタブレットPCならではの良さが生かされる実践になった。」というように、グループ活動の仕掛けづくりができつつあることがうかがえる。

 本校の研究発表会の事後研では、グループ討議が行われた。一般的な、校長の挨拶、研究主任の報告、講演、質疑応答という形ではなく、少人数の話し合いであったため、すべての参加者が、話し合いに参加できたようであった。

2年間の研究計画の初年度としては、教職員のICTとの親和性も出てきたように思う。「深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり」から「わかる授業」につなげていっていただきたい。

本期間(4月~7月)の取り組み内容

①新体制の発足について

 今年本校に来られた先生方を交え、昨年の実践を振り返り今年度の方向性を確かめる校内研修を行った。また、プロジェクト会議も新たなメンバーが加わり発足した。研究部通信も発行しプロジェクト会議の内容の共有、今後の方向性の確認、日程のお知らせなどに活用して、全校体制での研究推進体制を組むことができた。

 

②アドバイス訪問時に授業を公開し、学校全体で記録を取る。について

アドバイス訪問時に授業を公開し、学校全体で記録を取る。について
アドバイス訪問時に授業を公開し、学校全体で記録を取る。について

美術科一年生の授業を公開し、全職員で参観した。参観者は担当グループについて右のような記録用紙(わかる、できる、協働、深い学び、対話的な学び、ユニバーサルデザインの6つの視点が書かれている)を持ち、生徒の全発言や全行動の記録を取った。また、事後研修で活用するためタブレットPCでグループ活動を撮影し動画の記録も残した。

美術科一年生の授業を公開し、全職員で参観した。
美術科一年生の授業を公開し、全職員で参観した。
美術科一年生の授業を公開し、全職員で参観した。
美術科一年生の授業を公開し、全職員で参観した。
美術科一年生の授業を公開し、全職員で参観した。

 公開した「色の学習」は、従来はポスターカラーによる個別の彩色作業が中心となり、周りと見比べることが難しかった。グループ活動を取り入れ話し合いながら様々な感じ方を共有し、色の性質をより深く理解することをねらいとして実践が行われた。グループに一台のタブレットPCを持たせ、Excelシートを配付。話し合いながらシートのマスを「暖かい、寒い」色に塗り分け、どうしてそうしたのかという理由をホワイトボードに記入し全体交流する。ポスターカラーの使い方の指導や、塗り方の指導がなく、ICTを活用することで色の変更も簡単にできる。根拠を話し合う時間も十分にとれ、グループでの話し合いを全体で共有することもできた。作業をし、交流してから「暖色・寒色」という言葉に触れ、その由来を紹介し、実際のデザインや生活場面を紹介することで色の学びが深まったと考えられる。

 

事後研修ではこの記録用紙と動画をグループごとに分析し、ねらいを達成するためにこのグループ活動が有効であったのかを検証した。

  • ・ICTを活用することで塗り直しが気軽で、やり直しが可能なことで発言を増やせる。
  • ・実際に塗る活動が入ると「知識を与える時間」しかとれず考えるチャンスがなくなる。考えるチャンスがあることで深い学びにつながる
  • ・みんなでタブレットPCを囲み、作業している生徒だけでなく、全ての生徒が発言する様子が見受けられた。これが仕掛けの力なのかもしれない。
  • ・ICT機器を使うことで実際に塗るのとは違い手元に何も残らないのは残念だ。
  • ・7人に一台のタブレットPCは少ないと感じた。(本校のタブレットPCは全部で10台)

などたくさんの意見が出された。生徒の発言は興味深いものが多く、発言し聞き合うことで色の性質に対する学びが深まったと言えるのではないかという意見が多く出された。またICT機器を活用したからこそできた授業であることも確認された。

 

授業者からは「色の性質を理解する学習でグループ活動を取り入れたのは初めてである。素直な意見がたくさん聞けるおもしろさがあった。ポスターカラーを使うと作業させている感が高くそれだけで一時間かかるが、タブレットPCを使うことで10分で答えが出る。生徒も楽しんでおり、一方的になりやすい授業がそうでなくなるのが実感できた。普段なら“知識→彩色”の順で進むのが、“色→知識”にできたのは成果である。」という発言があった。

 

今回、生徒の活動を克明に記録し、そのつぶやきについて動画を見ながら話し合う事後研修をすることで、教師にも新たな気づきが多く見られたように思う。グループ活動をすることやその仕掛けを綿密に考えていくことの有効性が見られた実践と成った。

 

③ICTを活用したグループ活動の実践事例を「型」としてまとめる。

ICTを活用したグループ活動の実践事例を「型」としてまとめる。
ICTを活用したグループ活動の実践事例を「型」としてまとめる。

 6月のプロジェクト会議でこれまでの実践を分類しグループ活動の仕掛けを以下の4つの「型」としてまとめた。

 

A、教師が問題提起としてICT機器を活用した動画などを提供し、生徒がグループ活動で問題解決をする。
B、生徒がグループ活動に機器を使いながら、問題解決をする。
C、生徒がグループでICT機器を活用して作品を完成させることで学びを深める。
D、生徒がグループ活動の結果をICT機器を活用して発表・交流する。

 

この型を使って9月に授業参観週間を実施する。授業参観週間では、教師もチームで指導案を作りチームで授業を準備することで2月の本発表につなげていく。夏休みには校内研修で指導案検討会を予定している。

 

④ICTの活用グループ活動に関する生徒アンケートを実施する。

各学年で実施した。11月に再度同じアンケートを採り、比較することを考えている。

アドバイザーの助言と助言への対応

・グループ活動の仕掛けを学校として型に分ける。

プロジェクト会議で昨年の実践をもとに型を作ってみた。9月からこの型を軸に実践を重ね検討していく。

・生徒達の対話の中身、対話の前後の変化をとらえる。

美術の授業の参観で行った。一度の参観で全てがとらえられたとは言えないが、教師側にたくさんの気づきがあり、グループ活動、ICTの活用の有効性が確認された。

本期間の裏話

  • 新しい先生方を迎え、新しい体制でスタートしたが予想以上にスムーズに昨年の体制が引き継がれたように思う。1学期は行事も多く、研究を大きく推進させることができたとは言い難いが、今後の軸と成る「グループ活動の仕掛けの型」ができたのは大きな成果である。型の整理により、授業の計画がより明確になりはじめてでもイメージしやすくなった。
  • 9月、2月に公開授業を実施するにあたり、教師もチームで作業することを決めた。機器の数が足りないための苦肉の策であったが、学校全員が参加し、一人の負担にしない、なおかつ、前の実践が後の実践に生かされ、今後もつながっていく可能性が見えてきている。実際どうなっていくのかは不安な面もあるが、まずは9月に向けて見通しが持てたことが全体的な安心感につながっているように感じる。

本期間の成果

  • ・新しいメンバーでの組織が発足した。
  • ・「グループ活動の仕掛けの型」ができた。
  • ・9月の授業参観週間に向けての見通しが持てている。

今後の課題

  • ○グループ活動にICT機器を有効に活用する実践を追求する。
  • ○グループ活動を通して課題設定・課題解決力を付ける指導の在り方を追求する。
  • ○グループ活動の評価とねらいの達成の評価を適切に行えるようにする

今後の計画

夏休み 中間発表
    校内研修 指導案検討会
9月3日~9月7日 授業参観週間 国語1社会1数学2理科1英語2授業を公開
          実技教科、保健体育科は別日程で実施予定
3学期 研究発表

成果目標

  • ①新体制の発足
  • ②アドバイス訪問時に授業を公開し、学校全体で記録を取る。
  • ③ICTを活用したグループ活動の実践事例を「型」としてまとめる。
  • ④ICTの活用、グループ活動に関する生徒アンケートを実施する。
アドバイザーコメント
京都教育大学 副学長 大学院連合教職実践研究科長 教授 浅井 和行 先生

○本校の研究テーマ・取り組みの意味付け・解説

 私は研究に取り組むにあたって、研究の大テーマである『タブレットをはじめとするICT機器を活用した「わかる」授業の創造』はおおよそ達成できてきているので、サブテーマである~深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり~に力を注いではどうかというお話しをしてきました。

○本期間の取り組み・成果の評価

・授業を公開し学校全体で記録をとる
 全教職員が一人ひとりの生徒を観察する視点が定着してきました。成果と課題を正確に把握するための良い方法であると考えられます。タブレットPCとホワイトボードを特性によって使い分けるということもできていました。事後研では、動画による授業記録をもとに議論が行われ、話し合いの仕掛けとしての評価が行われました。
・グループ活動の仕掛けを「型」としてまとめる
 グループ活動の4つの型を見いだすことができました。他の学校でも使ってもらえるものにするためには、研究期間の終わるまでに、4つの型の中身を磨いていただきたいと思います。単に帰納的に事例をまとめるのではなく、演繹的にテーマへ迫っていただきたいと考えています。
・会話と対話
 会話と対話の違いは、考え方の違う相手とじっくり話し合う中で、自分の考えが変わるほど深い話し合いができるものを対話と呼ぶのだと思います。そういう意味では、長岡中学校の話し合いは、単なる情報交換ではなく、相手の話によって自分の考えも変わるような質の高いものになりつつあるのではないかと思います。

○今後の課題・期待

 研究の成果が教師中心なので、今後は、生徒の変容を中心にまとめていただければと思います。つまり、教師の力量形成が図られる中、行われた取組で生徒がどう変容したかを見つめていただきたいと思います。

○他校の参考になる助言

 長岡中学校が採用されている、全国学力学習状況調査の項目で、学校の研究内容と同じ質問をしている項目を活用し、その変化を狭い周期で測って、変容を探るというのは良い方法だと思います。長岡中学校の成果は今のところ右肩上がりになっています。パナソニック教育財団では、研究を継続している期間だけ研究の成果が出るのではなく、研究期間が終わって管理職や研究主任の先生が異動された後も同じような状況が続くようにすることが大切だと考えています。そのためには、どのような工夫が必要でしょうか。みなさんと一緒に考えていきたいと思っています。

本期間(8月~12月)の取り組み内容

①授業参観週間の実施

9月第一週に授業参観週間を実施した。やり方としては、

  1. 各教科一授業を目安に授業者を決め、教科を中心とするグループで指導案を検討する。
  2. 参観週間は一人二授業以上を参観し、授業者に対して成果・課題・改善点を伝える。
  3. 生徒に対して簡易なアンケートを行い、事後研修に活用する。
  4. 二年間の研究の中で全職員一研究授業を達成できるようにする。

行事の取組と日程が重なるため以下の工夫をした。

  1. 指導案の検討はグループで行い、アドバイス訪問でコメントをいただき改善する。
  2. 授業の時間割については拡大して職員室に掲示し、参観できる時間がわかるようにした。
  3. 事後研が難しいため、参観者は授業後に授業者の机に成果・課題・改善点を記入した付箋を貼って知らせる形を取った。
  4. 授業の感想等は共有フォルダのExcelファイルに自由に記入できる形とした。

各教科の実践とまとめ

《国語》

行間を読むために映像を作る活動。イラスト→脚本→映像撮影→編集の作業過程で、主体的協働的な場面が多く見られた。「みんなで作った」「みんなで考えた」という記述も多数。講義型の授業よりも行間を読むことに有効。作品に対する理解が深まった。ICTを活用することでライブで発表するのと違い、何度も見直して改善できる、本番に失敗する事が少ない、などのメリットがあった。

《社会》

半透明のフィルムに情報を印刷し、OHCを使ってレイヤーを作りながら地域の特徴を考える授業。主体的協働的な活動と成り、95%以上が肯定的にとらえている。教師側で作り過ぎた部分もあるので、ワークシートの作り方や課題の提示の仕方などもっと工夫できる部分はあった。

《数学》

二つの実践が行われた。

PCルームでの実践。自分のペースで主体的に学習を進めることができたが、次時具体物から抽象化されたときに理解できていなかった。そこをつなぐ所に工夫が必要である。

タブレットPCを使った実践。必要な要素を選んで立式する実践だったが、タブレットPCを使うタイミング、ワークシート、板書などを併用するタイミング等工夫が必要であった。振り返りの方法にも工夫の余地がある。記述での振り返りは「よくわかった」と書けばそれ以上のことはわかりえない。レポートにするなど違う形での振り返りも工夫していく必要がある。

《英語》

二つの実践が行われた。

一年生 数をたずねる問題を作り、撮影して交流する授業。全体で共有すること関心意欲を高めるという意味では効果があったが、それ以上の効果は望めない形で、ICTを活用する意義は見いだせていない。

三年生 広島を紹介するスライドショーに英文を録音し交流する授業。発音等の振り返りができる、動画を交流して表現を共有できるなど活用する意義がある実践だった。

授業実践を重ねる中で英語科としては「深まり」とは何を指すのかという議論が起こっている。これに対して、それを議論することに意味があるのではないかという指摘があった。

《体育》

全教員が、ICTを活用する実践を行った。

 技を撮影し、見本と見比べる。客観的に自分を見るという形が跳び箱、マットの授業で有効だった。この実践では、はじめは撮影をせずにグループ内で互いに見合い、指摘し合う時間を持った。指摘しあって練習を重ねてから撮影した自分の姿を見ることで、言われたことと実際の姿が一致し、納得がいく。コミュニケーションの高まりという点でも有効な実践となった。

 プロジェクターを使ってスクリーンに正しい動作の動画を流し続ける実践では、常に正しい動作を確認することができ、興味関心にも高まりが見られ有効だった。

 ダンスの授業ではダンスの画像を流し、自分もまねをする形で授業を進めておりこれも有効である。

《成果》
  • ・グループでの作業に使うことで対話的協働的な学習が生まれる。
  • ・撮影することで客観的に自分を把握できる。
  • ・何度もやり直したり、作り直したりすることで学びが深まる。
  • ・発表するまでにリハーサルをできる。(一発勝負の失敗がない)
《課題》
  • ・ただICT機器を使うだけでは興味関心があがることしか期待できない。
  • ・板書、ワークシートなどとうまく組み合わせていかないと手元に何も残らない。
  • ・使うタイミングや、使い方についてねらいを持って検討することがとても大切である。
  • ・行事との兼ね合いや台風の影響で時間割変更が多くあり参加率は低く、授業者に対するアドバイスも少なかった。
  • ・チームで準備を進めたが、やはり授業者の負担が多かった。
  • ・時間割の関係上、参観ができにくかったのでまとめが難しかった。
 

以下に国語科の実践の詳細を紹介する。

盆土産 三浦哲郎

 昭和30年代の東北地方が舞台と思われる文学作品。

 現代を生きる子どもたちに、出稼ぎ、夜行列車、炉端、分校、電化製品のない生活、大きなエビを見たことがない、えびフライを食べたことも見たこともない子どもなど想像を絶する設定で、一読した感想は「暗い話だった」「何が言いたいのかよくわからない」といった物がほとんどとなってしまう。

 設定から説明し始め、歴史的な背景(東京オリンピックに向けてインフラ整備が急ピッチで進められている、現金がないと生活できない時代の到来など)東北地方の暮らしの説明、東京と東北の距離感などからはいっていかないとなかなか理解できない作品である。生徒の感覚として「えびフライも食べたことがないほど貧しいなんてかわいそうすぎる」「母親がいないからご飯を作らないといけなくて大変」「お父さんと別れて暮らすのがかわいそう」といった風に「かわいそう」「貧しい」「気の毒」といったマイナス要素が目立つようである。従来、全員で読む、状況を確認する、絵に描いてみる、続きを考えてみる、父親のとった休みの数を考えてみるなど様々な手法で「家族の暖かさ」「家族の絆」「家族の団らん」等を読み取らせる工夫をしてきた。言葉上は「団欒」や「絆」について書かれていることに気付くのだが、この作品のおもしろさに迫ることはなかなか難しく、授業者の感覚としても最終的にこちらでまとめてしまう事が多く、「教え込んだ」「伝達した」感覚で終わってしまうことが多かった。

映像化する

 この作品について「映画みたいだよね」「エンドロールはバスを追いかけて走る少年と、窓から離れられない父親の映像やな」など、教師間で雑談していたことが今回の映像化のヒントである。iPadが導入されグループに一台の機器を与えることができる。また、とった映像をImovieを使って簡単に編集することができる事が授業に踏み切る大きなきっかけとなった。

 仕掛けとして次のような段階を踏んで授業を進めた。

①範読、初読の感想の記入 生徒の持っている感覚を確認した。「何が言いたかったのかわからない」「えびフライを食べたくなった」と言った感想がほとんどであった。この学習の最後には生活班で映画を作ることを伝達した。

②人物相関図を作る 登場人物を整理し、どこに住んでいるのかどういう関係なのか、何歳なのかなどの情報を整理した。

③第一場面をこちらで4コマの絵にして台詞を考えさせる まず第一場面に出てきた人や物、起こった事件を整理した。その後、少年が釣りに出かける場面(A)、速達が着いた場面(B)、速達を読んで少年、姉、祖母が考えている場面(C)、河鹿の声を聞きながらつりをしている場面(D)の絵を描いたワークシートを配付し、台詞を考えさせた。「台詞だけでないと駄目?」という質問があったので「どういうこと?」と問うと「動きとか」と生徒側から出てきたので動きも含めることとした。考えた台詞や動きについて全員に黒板に記入させ共有した。

 Bについて「とっちゃ死んだのか?!」「事故か?」といった台詞だけでなく、「郵便でーす」の声に対して「誰か出て、今手が離せないから(姉)」「えー俺が行くの?(少年)」などの台詞や、速達と知って三人が目を合わせて黙り込む、祖母が意を決してそっと速達を開ける、中を見て三人が口々に「なーんだ」「人騒がせな」などと言うといった細かい様子があげられた。Cについても具体的な台詞だけでなく「えびフライって・・・エビのフライだけな(姉)」といいながら部屋を立ち去る、祖母は聞こえていないふりをするなどがあげられ、授業者がそれをつないで演技してやると、大変満足した様子で「そういう風に作ればいいのやな」と腑に落ちた様子であった。Aの場面についてはあまり世界が広がらず、難しい様子だったので、必要なかったかもしれないと考えている。

④第二場面を読む 第一場面と同じように出てきた人、物、起こった事件を整理する。グループで一文交代読みをさせた後、各自教科書にラインを引かせ、一人一つずつ述べる形で整理した。帰ってきたときの父の様子、ドライアイスをはじめて見た家族の反応、喜作とのやりとり等を押さえながら心情を考えた。その後、えびフライを調理し食卓を囲む場面の本文のみを印刷したものと、前時と同じレイアウトのワークシートを配付した。まず個人で本文シートの行間に心情や動き、加えたい台詞などを書き込ませた。その後グループで書き込みを共有し、映像化を意識して描きたい場面を絵にしてその下に台詞を書く作業をした。

⑤第三場面で④と同じ授業をした。ピックアップした本文はバス停に向かって親子が歩いている部面から最後までとした。

⑥グループで映像化する場面を決め、役者、カメラマン、監督など役割分担をし、脚本を完成させた。国語の授業での活動なので「素晴らしい映像」「上手な演技」を求めているのではなく「読み取ったことをいかに表現するのか」「何にこだわってこの台詞を使うのか」と言うことが大切であると確認した。この時点では脚本家を他人に押しつけ「おれは役者するから(今はなんもしない)」という姿勢の生徒もいた。

⑦⑧撮影、編集 撮影にあたって「映画を美しく作ることを目的としていない、何を読み取ってこの表現をするのかを評価する」と言うことを伝えた。実質1.5授業時間が撮影、0.5授業時間が編集時間となった。編集時間は全員が関わることが難しくなるので、並行する作業として自分の班の映像について「どんな意図でどの場面を制作したのか」「見所はどこか」を説明するためワークシートでまとめさせた。編集自体は非常に簡単で、撮影したカットをつなぎ合わせる作業をし、台詞が聞こえにくいと言うことでアフレコしていた。編集中に足りない場面をつけたしたり、演技や台詞に疑問を感じたら相談して撮り直したりしている姿が見られた。

⑨発表会 撮影した動画と⑦⑧で作らせた「自分の班のみどころ」とを発表させた。はじめは動画を上映してからみどころを説明していたが、3班目から先にみどころを伝えた方が効果的だと気付きその後の班は全て先にみどころを説明した。そうすることで見てほしいところを見てもらえること、自分たちの意図を踏まえてみてもらえるということが効果的であると感じたようだ。2場面を紹介した班は1班、3場面を紹介した班が4班という結果だった。みどころとして2場面を紹介した班は「家族の温かい食事のシーンだが、お父さんの寂しそうな声が家族に伝えてはいない明日の出発の寂しさを表している。そこを伝えたくてこのシーンにした。」第3場面を紹介した班は、「上手に分かれられないこの親子の心情を表したくて、無言で歩くだけのシーンを作った」「父の乗ったバスが去っていくところでバスに向かって走っていき『さいならー』と別れを告げるシーンを足した。ここに親子の絆を一番強く感じたからです」などの発言が見られた。実際に上映された動画は、動画としての質は低かった。しかしそこに込められた思考は発表によって交流され、さらに読みを深める結果となった。

この授業についてあえて動画を作る必要はないのかもしれないという疑念は常に持っていた。時間がかかること、機器の操作を指導しなければならないことなどもあり、紙芝居やその場での演技、朗読でも目的は達成できたかもしれない。しかし子どもたちの感想の中にはを活用した効果がはっきりと記述されていた。また、ねらいとしていた「行間に着目し、登場人物の心情を読み取る。また、本文を根拠としてセリフを考えたり、登場人物の温かさや優しさに注目して絵コンテの再考をすることにより、この作品の主題である家族の絆の深さやぬくもりについて考え、主体的な読みにつなげる。」も達成できたととらえられる記述が多く見られる。

iPadを使って映像を作ることでいつもよりよく考えたり分かったりしたこと(抜粋)

「映像を作る事で教科書で読み取る以外にも登場人物の心情やおもしろいセリフなどを考えてより深い部分について学ぶことができてよかった。・・・今回は内容の続きも班で考えることができたのでいつもより話のおもしろさなどがわかりました。もっといろんな場面を工夫して映像化してみたいです。」

「はじめに読んだときにはよくわからなかったけれど、(映像化することで)えびフライを食べているとき父親は次の日の夜列車に乗らなければならないことを知っていたけれど、子どもたちに言い出せなかった心情が分かってきてよかった。」

「いつもなら文を読んでいるだけだが、今回は誰がどう考えているかを想像したりもして、それを演技しなければならないのでとても理解が深まった。」

「物語に書いていないことも考えることができた。」

「いつもは出来上がっている物をわかりやすく発表したり、先生がまとめたりということだったけれど、今回は自分たちがわかりやすい原稿を作ったり、わかりやすい視点で撮ったりと、聞き手に対してわかりやすい工夫をしなければならないと分かった。」

「教科書で読むだけだったら一面しか分からないけど、映像だとカメラアングルを変えないといけないから、いろいろな面から見れてすごく興味が湧いた。今回は教科書の内容にプラスして自分たちで考えたのを付け加えたけど、なかなか難しかった。でもただ単に読むだけでは伝わらないようなことが伝わってきた。映像でも普通に演じるだけじゃ筆者の伝えたいことは伝わらないから、気持を言葉に入れていくのがとても難しかった。でも言いたいことは伝わったと思った。」

「映像を作るにはお話のなかには書かれていない詳しい心情や状況を考えないとできなくて、いつもはそこまで考えない、登場人物一人一人の心情や動きまで考えたのでそこの場面についてお話から想像できることも含めて理解することができました。いつもより出てくる人物一人一人がどんなことをしてそのときにどんな反応をしてそれをどんな風に他の人は考えていたのか細かいところまで考えられたので普通に読むだけだと考えていなかったことまで分かったのでよかったです。」

「編集ができるから今は誰の場面なのか何を伝えるべきなのか考えながら撮影することができるところがよいところかなあと思いました。教科書に載っている場面や人の気持ちなどを考えながらどのような結末になるかを考えながらできたと思いました。他の班の映画を見ながら自分も考えることができました。」

「今回盆土産の映像をつくってみて、僕は普段意識しないような所を考えることができました。父の悲しそうな仕草をさりげなく入れたり。少年の父が帰ることの悲しみなどを表現することです。映像を作ったことで父の家族への愛情がとても伝わってきたし、家族の絆の強さもわかりました。」

「盆土産」の感想(抜粋)

「はじめはえびフライという言葉が強くてあまり内容が理解できなかったけど、少年の気持ちを知ることでおもしろいなと思いました」

「はじめはこの話は何を伝えたいかが分からなかったけど、こういう授業をすることで父の愛情深さや家族の初めて食べるえびフライのシーンでどういった気持だったのかがよく分かった」

「最初はこの物語は暗いなと思っていたけど、授業とかビデオを撮っていくうちにそんなに暗くはないなと思いました。少年の心の中の気持とかを考えるのはすごくおもしろかったし、父親との別れ際では物語には書いていない部分をみんなで考えることができてよりいっそう深まったと思います。」

「一番はじめに読んだときは作者がこの物語で何を伝えたいのかが分からなかったけれど、映画を作ってみたり他の班の映画を見たりすることで少年と父と家族の絆がよく伝わりました。」

「最初はこの話を聞いてただの別れ話かとおもってしまったけど。読んでいくと同時に別れのつらさとかもよく分かった。最初は方言を聞いて何を言っているかあまり分からなかったけどだんだんわかってくるようになった。いろんな疑問が湧いてきたけどだんだん分かってきた」

「最初に読んだときは暗いな、よく分からないという感想しか持てなかったけど、何度か読んでいくうちに登場人物の感情などがよくわかって家族の絆が伝わる温かい話だなと思いました。方言など自分には分からない言葉もあったけど、それを読んでいって詳しい意味やそこに隠された感情を読み取っていくのがおもしろかったです。」

「はじめはよくわからんくて暗いなって思ってたけど、自分たちで調べて考えたら「そうゆうことか」とか納得できることがあったし、難しい物語やけど作品にして良かったと思う」

「最初読んだときは正直長いし、難しい言葉がたくさんあって父が少年たちから別れるんだぐらいしか思っていませんでした。今は父の優しさが分かってよかったです」

(成果)

映像化する過程で文章を読む以上の深い登場人物の心情をとらえたり、想像ができ、作品の理解も深まっていることがわかる。

実際、定期考査においても詳しく解説したり板書を残したりしていないにもかかわらず、正答率が高く、本文をよく理解していることが伺えた。

(課題)

時間がかかりすぎることである。この点を解決するには場面を一つに絞ること、脚本を作る時間を短縮すること、映像を作る時間をもっと短くすることも可能だと考える。

アドバイザーの助言と助言への対応

  • ・授業参観週間に先だって、指導案検討会に参加していただき、各教科でアドバイスをいただいた。アドバイスを受けて、指導案を改善し授業参観週間に臨んだ。

本期間の裏話

  • ・通常の授業をしながら、行事もしている中での授業参観週間はかなり難しく、授業者の負担も多い取り組みとなってしまった。全職員が一度は研究授業を行う、全職員が研究に関わる事という目標は達成でき、忙しい中でも先生方が前向きに真剣に参加してくださった事は非常にありがたいと感じている。また、チームで検討するスタイルができたことも大きな成果と言える。授業にあたったから大変、という状況でなくみんなで授業を練り上げていくことで、ベテランの技術が受け継がれていく助けになったのではないかと思う。
  • ・小説を映像化する授業で思った以上の結果が出た。ICTから遠い位置にあるような印象にある国語科で、「盆土産」という小説はおもしろいという感想が出る授業ができたことは大変喜ばしく思っている。ICT機器をただ使うだけでなく、興味関心を引くための材料として利用するのでもなく、ねらいを達成していくための仕掛けとして使う実践だったと自負している。時間がかかりすぎるという課題はあるものの、次につながる実践が生まれた。

本期間の成果

  • ・全教職員が研究授業に関わるという目標が達成できた。
  • ・有効な実践の型が見つかった。
  • ・最終発表に向けて生徒アンケートを取ることができた。
  • ・指導案の型についてプロジェクト会議で検討できた。
  • ・全日本教育工学研究協議会全国大会で発表できた。

今後の課題

  • ○グループ活動にICT機器を有効に活用する実践を追求する。
  • ○グループ活動を通して課題設定・課題解決力を付ける指導の在り方を追求する。
  • ○グループ活動の評価とねらいの達成の評価を適切に行えるようにする。

今後の計画

  • 2/1 公開授業研究会
  • 2年間のまとめの作成

成果目標

  • ① 授業参観週間の実施
    •  ・グループでの授業実践
    •  ・指導案検討会
    •  ・事後のまとめ
  • ② ICTの活用、グループ活動に関する生徒アンケートを実施する。
  • ③ 2月の発表の準備をする。
アドバイザーコメント
京都教育大学 副学長 大学院連合教職実践研究科長 教授 浅井 和行 先生

○本期間の取り組み・成果の評価

 夏休みに授業参観週間にむけての指導案検討会に参加することができました。ほとんどの教職員と教科などのグループごとに議論できたので、全体ではできない細かい点について話し合うことができました。

 ICTをグループでの議論にうまく活用できたようです。体育の授業では、技を撮影し、見本と見比べるなど、客観的に自分を見るという形が跳び箱、マットの授業で有効だったようです。やはり、撮影した自分の姿を見ることで、言われたことと実際の姿が一致し納得がいったのでしょう。

 国語科の映像化の実践も興味深いものでした。人は映像を制作してみて理解出来ることが多く、次のプロの作品を見た時にもいろいろなものが見えるようになると言われています。1.5授業時間が撮影、0.5授業時間が編集時間と報告されていますが、一般的には編集の方が議論が必要になるので、編集時間をもう少し取らないと難しかったのではないでしょうか。この実践の場合は、映像を制作すること自体が深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動になっていると思われますし、「いつもなら文を読んでいるだけだが、今回は誰がどう考えているかを想像したりもして、それを演技しなければならないのでとても理解が深まった。」という教師のねらい通りの反応も得られています。研究主任の、「ICT機器をただ使うだけでなく、興味関心を引くための材料として利用するのでもなく、ねらいを達成していくための仕掛けとして使う実践だったと自負している。時間がかかりすぎるという課題はあるものの、次につながる実践が生まれた。」というコメントが印象的でした。

○今後の課題・期待

 今回は、教師だけではなく、生徒の変容もまとめていただきました。『タブレットをはじめとするICT機器を活用した「わかる」授業の創造』はかなり達成できてきていますし、サブテーマである~深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり~も仕上げの段階に差し掛かっています。どんな教師の仕掛けづくりが功を奏し、どこに効いているかを例をあげながら紹介していただけると研究のまとめになると思います。  

○他校の参考になる助言

 一人に1台ダプレットPCが用意できればそれにこしたことはありませんが、グループに1台でもできることがたくさんあることを本校の実践は教えてくださっていると思います。

本期間(1月~3月)の取り組み内容

①指導案検討会の実施

 昨年末に公開授業研究会の指導案を作成し、浅井先生に送付し、1/7校内研修に浅井先生を交えて指導案検討会を実施した。各教科ごとの検討会となったが、授業の型が定着してきたこともあってか、どの指導案も以前に比べてねらいやICTの使い方が明確になり短時間で検討できた。検討会では教科で活発な議論がなされ、先生方から指摘や新しいアイデアの提示もされた。浅井先生のアドバイスを受けて改善をし公開授業研究会に臨むこととなった。

②指導案検討会を受けて授業の練り直し

 指導案検討会を受けてもう一度、このねらいを達成するために本当にICTが必要なのか、この活動がねらいを達成するために必要なのかを、到達すべき生徒の姿を具体的に設定しながら練り直しがされた。改善された指導案をもとに使用機器の調整・借用、使用教室の調整、教師の配置、当日起こりえるトラブルへの備えなど、細かな準備調整を行い公開授業研究会に臨む形となった。

③公開授業研究会の実施

 今回の公開授業研究会は行政の指定を受けず本校独自の取組としたため参加者が少ないことが懸念されたが、全国から70名以上の参加者があった。
 ①研究発表
 ②公開授業
 ③公開授業ごとに事後協議
 ④浅井先生の指導講評
で行った。

公開授業の概要は以下の通りである。

《1年 英語科Lesson9 Four Seasons(過去形)》
 導入で3年生の生徒が英語で修学旅行の思い出を語る動画を見せる。それを参考に1年生の思い出である校外学習の写真を見ながらその写真にあった英文をグループで考えさせた。写真にあわせてタブレットPCに英文を録音し後日交流する。過去形を用いて過去を表現することをねらいとした仕掛けである。今回の授業ではT2が廊下で待機して英作文が出来上がったグループの録音を担当した。後日他のグループが作った英文を聞くことができ、録音なので繰り返し聞くこともできる仕掛けである。

《1年 社会科 地理的分野 第3章世界の諸地域 6節オセアニア州 4強まるアジアとの結びつき》
 「世界の諸地域」の総まとめとして、様々な観点(オセアニア州の気候、地理、文化等)の資料を掲載したスライドを4人グループで持たせたノートPCに配付し、世界にオセアニアをどう発信していくかを考えさせる。資料を選択し発信するアイデアを全体に発表させることでオセアニア州の他地域との結びつきがヨーロッパ州からアジア州に移行してきた過程を知る仕掛けである。授業の後半ではグループの考えを交流する機会も持ち世界の諸地域の理解を深めることができた。
 ICTを活用することで見たい資料をたくさんの示すことができる。膨大な情報から必要な情報を選択し活用する現代的な課題にも対応することができる優れた仕掛けであった。時間いっぱい飽きることなく意欲的に調べ、多様な視点を生むことができた。

《1年 国語科 「少年の日の思い出」》
 「ちょう集め」が好きな主人公が「ちょう」が好きなエーミールとの関わりの中で少年から大人へ変化するという主題を読み取らせる前段として、主人公がエーミールのちょうを盗む心情が野外でちょうを採集する心情と同じであることを読み取らせるため、ちょうを盗む場面をグループで動作化させ読み取りの助けとする。タブレットPCで撮影し振り返るというしかけで、客観的に動作を振り返り読みを深めた。
 展翅板に留められたちょうとタブレットPCをグループにひとつずつ与え、教科書を読みながら「ピンを取る動作はもっとゆっくりだ」「紙をめくって斑点を見たらため息をつくだろう」「ちょうを手に入れて部屋から出るときは達成感いっぱいの笑顔になっているのではないか」など話し合いながら撮影に臨んでいた。本来ならば何度も見直し撮影し直しながらより読みを深めていくのだが、時間の関係でそれができなかったことが残念である。後日、撮影した動画を「こんな意図で、ここを工夫して撮影した」というコメントをつけて交流しグループの読みを全体共有する機会を持つことができた。

《1年 音楽科 「創作」「合唱」》
 「創作」作曲を通して音楽の簡単な法則や曲の仕組みを理解させる。旋律の抜けている音を考え、あてはまる音を入力しPCのソフトで演奏することで最もふさわしい音を見つける。はじめの音と最後の音をどうするかなど音楽の仕組みにつないでいく。
 「合唱」パートでの歌唱を録音し、それを聴き返すことで成果や改善点を発見しよりよい合唱を仕上げていく仕掛けである。
 「創作」ではモニターで視覚的にとらえながら、聴覚でとらえることでイメージしやすく、譜面になれ音符が読めるようになるという効果もある。「合唱」では録音することで聴きながら楽譜を追うことができ聴く、習慣が身につくだけでなく、対話する機会もできることで効果的な活用であった。

《2年 保健体育科 球技 サッカー》
 サッカーにおけるキック動作(インサイド)を正しくできるようにするため、iPadに正しいキック動作を投影し、自分のキック動作と比較してグループで共有し正しいキックができるようにする仕掛けである。最終的に試合の中の適切な場面で使うことがねらいである。
 サッカー経験者が少ない集団で、正しい動作を示したり言葉で伝えたりすることが難しい中、正しい動作の動画と撮影した自らの動作とを比較し、対話しながら解決していくことができた。部活動の技術指導にも応用できる使い方である。

《2年 保健体育科 ダンス》
 ダンス発表会に向けて自分たちの動きや隊形を客観的に見る。タブレットPCで撮影した動画をプロジェクターで投影し、グループで確認する。鏡的利用の利点として、動きをそろえる、隊形を確認するなどが早い段階からできるため作品のクオリティーが上がるだけでなく、グループ活動もスムーズに進む。振付の確認や変更についての前回の動画と今回の動画を比較することができ、生徒同士で声をかけながらすることができ有効であった。また、全てのグループが常時投影して確認できる環境を作ったため、機器を共有することで生じる待ち時間を無くすことができた。投影された映像を見ながら練習することで顔を上げて発表できるという思わぬ成果も得られた実践であった。

《2年 数学科 平行と合同》
 「星形五角形の先端の角度の和が180°になる理由」を考えさせる際、グループに一台のノートPCを配付し、親機からアニメーションを利用したスライドのヒントを配付しながら考えさせる。既習事項を利用しながら課題を解決することで、図形の性質の確認と理解に有効な仕掛けである。また、グループで解決することで教え合いながら主体的に解決することができる。タブレットPCとラミネートされたアナログのヒントを生徒が教え合いの中でうまく活用しながら活発な話し合いができていた。何通りものやり方が考えられることが深い学びにつながる実践である。

《2年 理科 電流と磁界》
 グループで自作モーターを作り、より速く動作するよう改善する。配付したタブレットPCに改善前と改善後の動画を撮り、発表時に動画を流しながら、何を工夫し、何にこだわったのかを発表させる。電流と磁界の学習で得た知識を確認し、活用するための仕掛けである。
 生徒はグループで考え、話し合いながら解決するプロセスの中で作業を進めることができた。機器のトラブルもあったが、それにも生徒が臨機応援に対応し、全体に学びを伝えることができた。

④事後研修の実施

 事後研修は授業直後に授業会場で事後協議という形で行った。そうすることで使った機器や環境について共有しながら議論できると考えたからである。

参観者に付箋紙を配り、左のように成果、課題、改善点を記入していただき、色画用紙に貼付していただいたものを活用しながら
 ①授業者からのコメント
 ②掲示資料を使って質疑応答
 ③掲示資料を使って成果についてのコメント&議論
 ④掲示資料を使って課題についてのコメント&議論
という形で行った。
 「本当に活用する必要はあるのか」「ICTを使うことで時間がかかりすぎているのではないか」など厳しいコメントをいただいた実践もあったが、今後の糧となる良い研修であったと考えている。
 また、公開授業研究会後、全体の事後研修が実施できなかったため、二年間の研究のまとめを記入していただいている。
 ①研究授業の型
 ②研究授業の単元
 ③ねらいの達成 については5段階で数字の入力(1が低く5が高い)
 ④②の授業の成果
 ⑤②の授業の課題改善点
 ⑥二年間のICTの活用状況 5段階で数字の入力(1が低く5が高い)
 ⑦研究授業以外での実践 成果例
 ⑧研究授業以外の実践 課題例
 ⑨「型」についての所感
 ⑩その他
 「公開授業だから考えてやった」で終わっていては研究の意味がない。授業者が授業を振り返り、次の実践にいかに生かしていくか、どのようにブラッシュアップするかという姿勢を持つことが研究の本当の意味だと考えている。本校教員が「研究授業だからといっていつもと違うことをする必要は無いと思う」と言っていた。目の前の子ども達がわかったといえるように日々考え作っていくのが私たちの使命である。そういう意識が全体に浸透していけば、数年後にこの研究の真価が現れるのではないかと考えている。

⑤研究紀要、研究のまとめの作成

 研究の記録として、二年間の経緯・二年間の実践事例・生徒のアンケートデータ・生徒の記述のまとめ・成果・課題等を21ページにわたる冊子にまとめた。また、指導案集も作成し、これまでの指導案の改善の流れについても記述した。これをもとにスライドにまとめたもので全体会での研究発表を行った。
 研究の記録の他、研究部通信を昨年度24号、今年度は25号(3/11現在)発行した。視察の報告、研究推進プロジェクトの報告、機器の使い方のアイデア等、研修が持ちにくい場合にも共有する助けとなった。

アドバイザーの助言と助言への対応

 年明けに指導案検討会に参加していただいた。各教科でアドバイスをいただき、アドバイスを受けて指導案を改善し、公開授業研究会に臨むことができた。8~12月の活動報告で「サブテーマである~深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくり~も仕上げの段階に差し掛かっています。どんな教師の仕掛けづくりが功を奏し、どこに効いているかを例をあげながら紹介していただけると研究のまとめになると思います。」というコメントをいただき、指導案作成の段階から、ICTをグループ活動にどう活用するか、どんなねらいを持つか、については特にこだわっていけたと感じている。

本期間の裏話

 公開授業研究会は本校の研究の二年間の集大成となったと感じている。昨年度の中間発表ではまだ固まっていなかった授業の方向性がこの一年間で確実なものになり、細かな改善はあるものの、大きな方向転換はしなくて良い形になった。職員全体に研究についての意識が伝わったことを実感できてうれしかったことである。

本期間の成果

  • ・公開授業研究会を開催し、全国から多くの先生方に参加していただくことができた。
  • ・二年間の研究を冊子にまとめることができた。
  • ・生徒アンケートをまとめることができた。
  • ・生徒の声についても紹介することができた。
  • ・教師が型や様々な機器を、ねらいに合わせて活用できるようになった。

2年間の成果

本校ではICT活用の目的が
 ①授業にICT機器を「使えばよい」ではなく、ねらいを達成するために「必要だから使う」。
 ②「会話」ではなく、お互いの考えを交わすことで、考えが深まっていくような「対話を促す仕掛けづくり」のために使う。
 ③「ICT機器だからこそ、ねらいが実現できる工夫」を考える、「何でもICT」で解決しようとするのではなく、「ICT機器の特性を理解して場面に応じて使う」
という形に明確に定まった。
 グループ活動を中心に据えたことで得られた成果、ICTだったからこそ得られた成果があったと考えている。

今後の課題

  • ・ICTを活用したグループ活動の型の継承
  • ・教科で指導案を練る形の継承
  • ・年に数回の研究授業の継続
  • ・機器の管理の継続

2年間を振り返って、自己評価・感想(気付き・学び)など

 二年前初めてタブレットPCを見た私たちが、浅井先生のアドバイスをゆっくり咀嚼し、議論しあい、互いの実践を評価したり批判したりしながらこのような形にたどり着くことができた。

 ICTは便利グッズではない。誰かが与えてくれた便利な機器や、誰かが残してくれた授業をそのまま使えば、何となくその日の授業は成り立つ。しかし、授業者の「ねらい」が明確に存在しないときそこに深い学びは生まれない。生徒の「わからなさ」から始まり、その「わからなさ」をどう解決するのか、どのような状態になってほしくて授業をするのかという点を外してはいけない。ICT機器は便利に使うためだけにあるのではない。

 本校の実践例はどの学校でもできるものだと思う。パナソニック教育財団のHPにも活用していただければと思いたくさんの実践を紹介してきた。できれば、ただ使うのではなく、どうして使うのか、何のために使うのか、このやり方で先生は生徒に何を教えたいのかを考えて使っていただきたいというのが私たちの願いだ。

 ロボットやAIが様々なことを担ってくれる世の中を生きていくであろう子ども達は、ロボットやAIにできないことを求められる大人になることが予想されている。他と協力し合い、考え、問題を発見し、解決する作業をICTを用いてすることに、この研究は少しはつながったのではないかと思っている。

 ICTの研究指定ではあったが、環境は変わることなく、本校には相変わらずタブレットPCは20台しかない。しかし、限られた環境で知恵を絞り合い、共有し合い、生徒が腑に落ちたといえるよう語り合ったからこそ成果があった。納得いくまで語り合い、考えて授業を練り上げていく教師のこの姿勢も私は何よりの成果であり、財産であると考えている。

 機器をたくさん導入するよりも、教職員をあちこちに研修に出していただき、人材を育てることに尽力してくださった校長先生が育ててくださったものと感謝しています。

 最後になりましたが、二年間適切なアドバイスをくださった浅井先生、パナソニック教育財団のみなさまに感謝申し上げます。

アドバイザーコメント
京都教育大学 副学長 大学院連合教職実践研究科長 教授 浅井 和行 先生

○本期間の取り組み・成果の評価

(1) 指導案検討会の実施

 教科・領域ごとに議論を進めることができた。教材研究は進んだが、真の同僚性を築くためには、少し葛藤が起こってもそれに耐えられる人間関係を構築することが重要になる。

(2) 指導案検討会を受けて授業の練り直し

 授業のねらいを達成するために本当にICTが必要なのかどうかについて、厳しい議論を行うことができた。ICTを活用しない方が、「わかる」授業が構築でき、深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動の仕掛けづくりができるのであれば、怖がらずICTを活用しないチャレンジを行うことができた。

(3) 公開授業研究会の実施

 1年英語科の授業では、より自然に英語に触れ合うことができた。
 1年社会科の授業では、豊富な資料でオセアニア州の人の立場になって考えることができた。
 1年国語科の授業では、実際の撮影や振り返りまでたどり着けなかったグループもあったが、動作化を構想することができた。
 1年音楽科の授業では、大型モニタを活用しスモールステップで取り組むことで、生徒一人一人の学習を保証することができた。
 2年保健体育科のサッカーの授業では、スキルを学ぶと同時に、ボールが当たった生徒のところに駆けつけて声をかけるなど、これまで取り組んできたグループ活動の成果が見られた。
 2年保健体育科のダンスの授業におけるダンスの振り返りにおけるICTの活用は圧巻であった。体育館全体でグループごとの踊りが繰り広げられ、振り返り時には、ダンスについての深い学びを追求した考えを練り上げるためのグループ活動が行われていた。
 2年数学科の授業では、教師の自作教材を活用した図形についての議論が行われた。
 2年理科の授業では、タブレットPCで自作モーターをより速く動作するようにするための改善前と改善後の動画を撮り、グループで振り返ることができた。

(4) 事後研修の実施

 事後研修では授業直後に授業会場で事後協議を行った。議論の柱を設定し、授業で使った機器や環境を共有しながら授業の内容について議論することができた。

(5) 研究紀要、研究のまとめの作成

 この学校の取り組みの特徴は、研究部通信にある。教科の壁の出来やすい中学校で、特別研究指定1年目は24号、特別研究指定2年目は25号(3/11現在)発行されている。研究の開始時には少人数の教員による頑張りが目立ったが、2年間たってみて感じることは、教職員が前向けに取り組むことの素晴らしさである。

○今後の課題・期待

 本校ではICT活用の目的を
①授業にICT機器を「使えばよい」ではなく、ねらいを達成するために「必要だから使う」。
②「会話」ではなく、お互いの考えを交わすことで、考えが深まっていくような「対話を促す仕掛けづくり」のために使う。
③「ICT機器だからこそ、ねらいが実現できる工夫」を考える、「何でもICT」で解決しようとするのではなく、「ICT機器の特性を理解して場面に応じて使う」
という形に明確に定まった。
と活動報告書に書かれていた。このことは2年間の取り組みの中で、実感を伴って得られていったものであると考えられる。
 この取り組みがこの学校の文化に根付き、管理職や研究主任が変わっても、末長く実践されることを願っている。