川崎市立川崎高等学校附属中学校

第43回特別研究指定校

研究課題

未来をLEADする人材育成のためのカリキュラムマネジメント

2017年度04-07月期(最新活動報告)

育成すべき三つの能力の到達目標について検討が足りず、目標設定に至ったとは言えない状態で......

川崎市立川崎高等学校附属中学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 神奈川県 川崎市立川崎高等学校附属中学校
アドバイザー 木原 俊行 大阪教育大学教授
研究テーマ 未来をLEADする人材育成のためのカリキュラムマネジメント
目的 未来をLEADする人材である生徒たちに必要な能力を育成するため、教科横断的な視点をもってカリキュラム・マネジメントを行う
現状と課題
  • 前年度まで「主体的・探究的に学び合う集団の育成~学習を支える言語活動の質の向上と効果的なICT活用~」をテーマに共同研究を行い、各教科等における学び合いの形式やICT活用の場面について、実践を重ねてきたがその数としては多いとは言えず、学習効果を裏付ける客観的データや評価に関しては不十分である。
  • 生徒の実態として与えられた課題に向かう力はあるが、自ら問題を見つけようとしたり、更に学習を深めたり、粘り強く取り組もうとしたりする意識が十分あるとはまだいえない。
  • 数学に課題のある生徒が多い。(特に計算)
  • 開校から「未来をLEADする人材を育成する」と謳っているがその具体の姿や学年に応じてどのような能力をどのように育成していくかが曖昧なため、明確にする必要がある。
学校情報化の現状 ICT環境が整っており、活用もある程度できているが、系統だった指導に課題がある。
取り組み内容 「未来をLEADする人」に必要な三つの能力を「問題解決能力」「ICT活用能力」「ダイバーシティ・コミュニケーション能力」とし、これら三つの能力の育成に関わる研究チームをつくり、組織的に研究を進める。

「問題解決能力研究部」(問題解決能力、探究する力を育成)

  • 自ら課題を見つけ、主体的に思考、判断、表現する力を育成できる授業づくりを総合的な学習の時間を中心に各教科等で重点単元を設定して取り組む。

「ICT活用能力研究部」(情報活用能力育成)

  • 生徒のICT活用する情報活用能力を育成する。

ダイバーシティ・コミュニケーション能力研究部」(多様性を認め、人と関わる力を育成)

  • 人権感覚を豊かにし、多様性を認め、人と関わり合える力をつけるためにはどのような活動や学習を設定するとよいかを検討し、実施する。
※三つの能力の各学年での到達目標を検討し、それに基づいたカリキュラム・マネジメントを教科横断的な視点で行う。「主体的・対話的で深い学び」のための指導と評価の工夫を図る。また、カリキュラム評価を充実させる。
成果目標 「未来をLEADする人」の具体を「主体的に思考し、情報および情報手段を自ら選択・活用し、人との関わりを大切にしながら他者の思いや考えを受けとめて行動できる人」とし、そのために必要となる三つの能力の各学年の到達目標に迫っているという自覚をもつことができ、また行動につなげることができる。(能力が高まったという自覚がある)

  • 各能力の達成目標に対し、教員の目から見たルーブリック評価
  • 年度初め、年度末に実施する意識調査や生徒の活動中の様子、表現された学習成果物等の考察
  • 生徒の実態に合わせてカリキュラムの不断の見直しを図り、到達目標達成につなげる
助成金の使途 研究紀要印刷、電源保管庫、デジタル教材
研究代表者 和泉田 政德
研究指定期間 平成29年度~30年度
学校HP http://www.kaw-s.ed.jp/jh-school/
校内研究会と公開研究会の予定

校内研究会の予定

  • 平成29年度 5回
  • 平成30年度 5回

公開研究会、学会発表等の予定

  • 平成29年度 中間発表会 LEAD学習発表会他(学校公開日に合わせる)
  • 平成30年11月にJAET全国大会で2年間の成果を発表

研究課題と成果目標

研究課題 未来をLEADする人材育成のためのカリキュラム・マネジメント
成果目標
  • 「主体的・対話的で深い学び」を成立・充実させ、三つの能力(「問題解決能力」「ICT活用能力」「ダイバーシティ・コミュニケーション能力」)を育成するためのカリキュラム・マネジメントへの基本的な考え方への共通理解を図り、各教科等におけるカリキュラム・マネジメントを構想する。
  • 「未来をLEADする人」に必要な三つの能力育成に向けて、各学年等における到達目標を検討する。
  • 生徒のICT活用能力の現状を調査する。

本期間(4月~7月)の取り組み内容

  • ・5月よりICT活用能力研究部および技術科の取り組みとして、1年生を対象とし、生徒のICTスキルの向上をねらいとしたタイピング練習を朝のe-ラーニングと技術科の帯の時間を使って実施した(現在も継続中)。
  • ・6月5日(月)に「未来をLEADする人」に必要な三つの能力の育成に向けて、各学年における到達目標を研究部ごとに検討した。
6月5日の各研究部における研究会議の検討内容

    問題解決能力研究部

    総合的な学習の時間を軸として考えた問題解決能力に関する各学年の到達目標(案)

中1到達目標 体験を重視して学び方を学び、自分の考えを発表することができる
中2到達目標 体験したことを基にして、自分と社会との結びつきについて考えたことを発表することができる
中3到達目標 体験したことを生かし、自ら考えたことを広く発信することができる

(「総合的な学習の時間」の各学年のテーマは1年「農業」「2年職業・商店街」3年「国際都市川崎」)

  •   研究部の中で、生徒の発達段階とLEADの内容を踏まえて仮の到達目標を考えてみたが、本校は中高一貫校で、ステージ制(中1,2がステージ1、中3,高1がステージ2、高2,3がステージ3)をとっているため、ステージごとの目標とした方がよいのではないかという意見も出た。今後、高校側との話し合いや研究部会をもち、最終的な到達目標を決定させていく。

ICT活用能力研究部

キーワードとして「打つ・つくる・発表する」(ステージごとの重点目標)

  • 打つ(自分の考えをICT機器を使って表現できる)
  • つくる(プレゼンソフトなどを活用して見やすく、わかりやすくまとめる)
  • 発表する(まとめたものを使って発表することができる。人に思いを伝えることができる)
  •  この中に情報モラル教育が入っていないので、ステージ1(中1,2)で指導する。

「情報活用能力の課題」でいうと

  • 2. キーボードでの文字入力
  • 5. 表やグラフの比較による分析
  • 6. 適切なグラフの作成(図や写真の加工や図やグラフの比較をさせて関連性をみる)
  •   以上の課題能力育成を中心にステージごとにスパイラルで行う。しかしステージごとの具体的な達成目標の決定までには至らなかったので今後さらに検討する。

ダイバーシティ・コミュニケーション能力研究部

  • ・ 積極的に他者と関わり合うことができる
  • ・ 他者との関わり合いを重視し、自らの考えを他者に伝えることができる
  • ・ 自らの考えをわかりやすく他者に伝えることができる
  • ・ 他者の思いや考えを受けて、自らの考えをわかりやすく伝えることができる
  • ・ 他者の思いや考えを受けて、自らの考えをわかりやすい言葉でわかるように伝えることができる
  • ・ 他者の考えを認め自らの考えを伝えることができる
  •   上記のような能力の育成を中学校から高校(各ステージ)へのスパイラルで行う。しかし、学年、ステージ等における具体的な到達目標の決定までには至らなかったので、今後さらに検討する。そこでは発達段階に応じた受信と発信のレベルに即した到達目標となるよう検討する。
  • 6月に全校生徒を対象としたタイピング技術調査を実施した。また、オンラインによる「コンピューターやタブレットに関する調査」を実施した。

「コンピューターやタブレットに関する調査」設問の一部

オンラインによる「コンピューターやタブレットに関する調査」の様子

  • 6月19日(月)にパナソニック教育財団・川崎市総合教育センター情報視聴覚センターよりアドバイザーを招き、午前中通常授業を参観していただき、午後から校内授業研究会および研究協議を行った。その後パナソニック教育財団の本校アドバイザーである木原先生に「カリキュラム・マネジメントの基本的な考え方」をテーマにご講演いただき、カリキュラム・マネジメントの進め方について研修した。

2年国語「附属中の魅力を6年生に
伝えよう」(ICTを活用したプレゼン
テーション)

授業研究会(問題解決能力・ダイバー
シティ・コミュニケーション能力)3年社会「私
たちがつくるこれからの社会」(対
立から合意へ)

本校アドバイザー木原先生による講
演会演題「カリキュラム・マネジメ
ントの基本的な考え方」

  • 7月20日(木)の研究会議で6月の校内研修会で学んだ「カリキュラム・マネジメントの基本的な考え」に基づき、各教科等におけるカリキュラムの見直しの図り方について再度共通理解を図った。そして各教科等や学年間、総合的な学習の時間との関連を確認したうえで、自分が担当する教科等のカリキュラムの見直しを8月に行う校内研修会までに行うこととした。また、今後の授業研究会の予定を確認した。

校内研修会で提示した「総合的な学習の時間」を軸とした、三つの能力育成に関わる2年国語のカリキュラム・ マネジメントの例 (黄=問題解決能力、青=ICT活用能力、緑=ダイバーシティ・コミュニケーション能力)

アドバイザーの助言と助言への対応

授業研究会後の研究協議における助言指導

  • 今回の研究に即した統一指導案の形式を確立する方向で。
  • 単元名のネーミング等は、生徒が共感しやすいかたちにするとよい。
  • あれこれと考えを巡らせる主体的な学びができていたが授業時間が45分と短く、合っていない感じがした。重点単元の共通理解を図り、カリキュラム・マネジメントするとよい。

助言への対応

  • 新しい指導案では教科として身につけさせたい力だけでなく、三つの力(「問題解決能力」、「ICT活用能力」、「ダイバーシティ・コミュニケーション能力」)に関わる目標と、その評価を入れるとともに、指導観も入れた形式とする。
  • 単元名のネーミングをはじめ、内容についても生徒の実態把握をもとに行っていく。そのためにも生徒との日頃の交流を大切にし、生徒の実態把握に努める。また、指導案検討も含め、第三者の目を取り入れて授業つくりを行っていく。
  • 学校事情により、45分時程を変えることはできないため、「知識・技能」に関する内容は反転授業で行うなどの方法も視野に入れて授業を構想する。または2時間続きの授業にするなどのカリキュラム・マネジメントを行って対応する。

講演会におけるアドバイザーの助言

  • カリキュラム・マネジメントを行う上で「教科横断的」という視点とともに、新学習指導要領の流れに沿って「主体的・対話的で深い学び」と「三つの資質・能力の育成」を外してはいけない。それプラス本校が育成すべきと考える三つの能力(「問題解決能力」「ICT活用能力」「ダイバーシティ・コミュニケーション能力」)の育成をいかに各教科等で行っていくかを具体的に考える必要がある。そのためにやるべきことは四つある
  • ①各教科等における三つの能力育成に関わる重点単元の設定(そのための他の単元との時間調整も含む)
  • ②教科や学年等をまたいだ授業の構想
  • ③三つの能力の現状と課題を明らかにするためにデータを取って分析
  • ④カリキュラムを発展させるためのサポーターや資料の発掘・検討

助言への対応

  • 重点単元の設定については教科ごとに学年の行事や総合的な学習の時間とのつながりを見出しながら検討する(①②④)
  • 三つの能力の現状と課題を明らかにしていくために、生徒へのアンケートを実施、分析する。(③)

本期間の裏話(うれしかったこと、苦心談など)

うれしかったこと

  • アドバイザーの木原先生にカリキュラム・マネジメントの基本的な考え方について非常にわかりやすいご指導をいただき、今後の研究への見通しを具体的にもつことができたこと。

苦心談・反省点

  • 研究を推進していくための研究会議の設定が難しく、検討すべきことを検討しきれずに本期間が終わってしまったこと。また、生徒のICT活用能力の調査は行ったが、分析が完全には終わらなかった。

本期間の成果

  • 校内授業研究会(社会科)と校内研修会を通して、カリキュラム・マネジメントを行う上で必要となる視点のもち方や含むべき要素について職員全体で共通理解を図ることができた。また、各教科等におけるカリキュラム・マネジメントをいかに行っていくか各自見通しをもつことができた。
  • タイピング能力調査の結果、ICT活用能力研究部としての取り組みが既に表れつつある。 (キーボード入力文字数/1分間 1年30.45字、2年43.99字、3年53.16字)

今後の課題

  • 育成すべき三つの能力の到達目標について検討が足りず、目標設定に至ったとは言えない状態であるため、今後さらに研究部ごとに検討を重ね、設定につなげていく。また、その目標に対する評価方法(ルーブリック)とその内容についても検討する。
  • 生徒に行ったICT活用能力調査結果および職員アンケート結果の分析を完了させ、分析結果を今後のカリキュラム・マネジメントに生かす。
  • 一人ひとりの教員が、三つの能力育成を意識した授業を展開していく。そのためにも、自分と同じ教科の教員、および関連する他教科の教員とカリキュラム・マネジメントに向けてさらに話し合いを重ね、授業つくりに生かす

今後の計画

  • 8月24日の夏季研修会で、各教科等で行った総合的な学習の時間を軸としたカリキュラム・マネジメントをもとに、教科間、学年間とのつながりについて考えを共有する。
  • 新しい共通指導案を用いた授業研究会の指導案検討を行う。
  • 9月27日の第2回訪問指導のときにはアドバイザーの木原先生に授業を参観していただいた後、カリキュラム・マネジメントの視点でご指導いただく。

公開授業研究会等の予定

11月25日(土)
  •  第43回JAET全国大会和歌山大会で研究発表(B「情報モラル」、C「教科指導におけるICT活用」
12月11日(月)
  •  中間発表会
    (公開授業)
    問題解決能力(総合的な学習の時間、社会)
    ICT活用能力(数学、技術)
    ダイバーシティ・コミュニケーション能力(道徳、英語)
    (講演会)
    対談または鼎談で行う予定
アドバイザーコメント
大阪教育大学 大学院連合教職実践研究科 教授 木原 俊行 先生

 平成29,30年度と,川崎市立高等学校附属中学校(以下,附属中学校)は,パナソニック教育財団の特別研究指定校として,実践研究を推進することとなった。同校は,その名のとおり,中高一貫教育を標榜する学校である。明るくて,素敵な校舎で,子どもたちがのびのびと学んでいる。附属中学校の子どもたちはそれぞれ,入学時に,タブレット端末を手にする。すなわち,いわゆるOne to one computingのICT環境が実現している。子どもたちは,指導者の指示がなくても,テキストとして,あるいはノートとして,さらには資料集として,タブレット端末を自主的に,主体的に活用している。

 中高一貫教育という新しい制度,モダンで機能的なデザインの建物や教室,そしてよく整備されたICT環境という好条件の下,附属中学校の教師たちは,カリキュラム・マネジメントの実践研究に着手した。そのステップは,他の学校におけるカリキュラム開発の営みの参考になる。まず,重点的に育成を図る資質・能力(問題解決能力,ICT活用能力,ダイバーシティ・コミュニケーション能力)を学校として定めている点に注目したい。それらが教科横断的な視点に基づく教育課程の編成の礎となるからだ。続いて,そうした資質・能力に即して,カリキュラム開発のためのPDCAサイクルを推進する組織(3つの研究部)を構成していることも望ましい。それは,各研究部の検討内容の明確化やその実践化をもたらしている。さらに,PDCAサイクルの取り組みに資するデータ(タイピング技術,コンピュータやタブレットの利用に関する調査)を確保している点も,すぐれている。
 なにより,附属中学校の教師たちは,カリキュラム・マネジメントに関する取り組みをフットワーク軽く進めている。例えば,筆者が6月下旬に助言した内容に,すでに1学期中に応じて,各教科等の年間指導計画の見直しを始めている。指導案の様式の改編にも着手しているし,反転授業の実施も視野に入れている。
 附属中学校におけるカリキュラム・マネジメントに関する実践研究は,緒についたばかりである。しかし,2年後の実りの豊かさを予想できる,よきスタートが切れた1学期であった。

本期間(8月~12月)の取り組み内容

  • ・7月末~8月に職員アンケートの実施および各教科等における単元計画案の作成を行った。そこでは育成を目指す三つの能力に関わる単元および、軸となる総合的な学習の時間との関連について各自考え、計画表に図示した。
  • ・8月1日(火)にパナソニック成果報告会に本校職員5名で参加し、各校の研究報告とパネルディスカッションから今後の研究の進め方やまとめ方、発表のしかたについて学んだ。
  • ・8月24日(木)に川崎市総合教育センター情報・視聴覚センター指導主事の和田俊雄先生と草柳譲治先生を講師に迎えて校内夏季研修会を実施した。そこでは新学習指導要領の総則をもとに、カリキュラム・マネジメントの必要性と、カリキュラム・マネジメントを行う上で留意すべき点等について確認をした。それを踏まえて学年ごとに軸となるLEAD(総合的な学習の時間)で行う学びと、研究主題にある「未来をLEADする人材」について共通理解を深めるとともに、各自作成してきた単元計画表をLEAD(総合的な学習の時間)と関連させ、共有化を図った。
  • LEADを軸とした、三つの能力育成に関わる2年のカリキュラム・マネジメント試案 (黄=問題解決能力、青=ICT活用能力、緑=ダイバーシティ・コミュニケーション能力)

    ワークショップによる成果物(2年)
  • ・9月27日(水)にパナソニック教育財団本校アドバイザーである木原俊行先生と川崎市総合教育センター情報・視聴覚センター指導主事の先生方を招き、公開研究授業および研究協議を行った。
    [公開研究授業]
    「1年美術 ポスター制作 ~伝えたい内容を効果的に伝えよう~」 田村真弓教諭
    「2年英語 Chapter Project 3 将来の夢 ‐My future career to dream of‐」外山瑞穂教諭
    「2年LEAD 生き生き商店街プロジェクト~自分の生き方、在り方を考える~」
    外山瑞穂教諭 後藤将彦教諭 遠藤まなみ教諭坂牧秀則教諭 對馬公絵教諭 久保田聡子教諭
  • 1 年美術(問題解決・ICT活用・ダイバーシティ・コミュニケーション能力)

    2年英語(ダイバーシティ・コミュニケーション能力)将来の夢について英語でスピーチする

    2年LEAD(ICT活用・ダイバーシティ・コミュニケーション能力)職場体験での学びを生かしてなりたい自分についてプレゼンする

    本校アドバイザーによる授業後の指導講評の様子

    セミナー時における発表の様子

  • ・10月8日(日)に日本教育工学協会の「『教育の情報化』実践セミナー2017 in 川崎」の分科会2「公立学校のBYOD導入によるICT活用の実践報告」の中で、今年度から始まった本研究の概要について発表した。
  • ・11月25日(土)に和歌山県和歌山市で行われた第43回 全日本教育工学研究協議会全国大会において、本校から2名、授業研究実践を発表した。
    発表者1 藤澤泰行教諭「あいまいな文章を読み解く」(情報モラル,情報セキュリティ)
    発表者2 久保田聡子教諭「ICTを活用した主体的・対話的で深い学びを促す国語科
    授業『本の魅力をわかりやすく伝えよう~ビブリオバトルに挑戦!~』」
    (教科指導におけるICT活用)
  • ・12月11日(月)に、中間報告会を行った。これまでの研究経過と今後の予定について報告をした後、公開研究授業、研究協議、講師対談を行った。公開授業の際には事前に、「研究協議ワークシート」を配付し、項目ごとに気づきや疑問を記入しながら参観してもらい、グループによる研究協議では、ワークシートを活用しながら協議を進めた。各グループには本校職員が司会、記録として付き、記録担当がデジタルワークシートに協議の内容を入力した。そして講師の方々は提出フォルダに提出されたデジタルワークシートを拡大提示し、「カリキュラム・マネジメントを支えるICT活用」について、対談形式でご指導してくださった。
    [公開研究授業]
    「1年技術   プログラミングでロボットを動かしてみよう」   藤澤泰行教諭
    「2年理科   化学変化と原子・分子」             遠藤まなみ教諭
    「2年道徳   国際理解・国際貢献 『海と空~樫野の人々~』」  後藤将彦教諭
    「3年LEAD Eじゃん川崎・かわさき・カワサキ・Kawasakiプロジェクト」
    源吉加代教諭 大野由希子教諭 杉本昌崇教諭
    首藤隆志教諭 堀江賢司教諭
  • 1年技術(ICT活用・問題解決・ダイバーシティ・コミュニケーション能力)ロボットにプログラムを転送し、プログラミングを検証する。

    コラボノートの付箋機能を活用して発信し、情報を共有する。

    2年理科(ICT活用・問題解決能力)実験の様子をPCの録画機能を活用して録画する

    結果や考察をホワイトボードに記録する。このホワイトボードをPCのカメラ機能を活用して撮影し、写真をコラボノートに貼り付け、全体で共有する。

    2年道徳(ダイバーシティ・コミュニケーション・ICT活用能力)話し合いの記録をPC のメモ機能を活用して自主的に記録する。

    配信された読み物資料に自分の考えの根拠となるところに自主的にペンを入れる。

    3年LEAD(ICT活用・問題解決能力)事前に作成したデジタルガイドブックも見ながら発表を聞く

    講師対談の中で、グループでまとめたデジタルワークシートを使って話をされる野中陽一先生

アドバイザーの助言と助言への対応

第2回訪問指導の授業研究会後の研究協議における助言指導

  • 1年美術では深い学びのための比較思考を促すうえで、コラボノートを活用した対話的な学びが貢献していた。また学びを深めるために必要に応じて生徒が主体的にICTを活用する場面が見られたが、一部の生徒においては指導者の意図(答えを隠している間に考えさせ、後から見せる)とは異なる活用のしかたをするものもいた。今回でいえば先に進みたくて別のものを見ているという高次の問題が生じており、これは一人一台という環境だからこそ生まれた問題かもしれない。よって、今までにないスタイルの授業を考えていくとともに、指導を今後どうしていくかを検討していく必要がある。
  • 2年生の英語では、LEADの職場体験学習との関連を意識して、事前に行っていた職場体験日記を英語で書くという学習活動をもとにして、「職業」という大きな括りで将来の夢を英語でスピーチするという厳しい課題に取り組んでいたが、少人数学習というスタイルが功を奏していた。スピーチの内容を聞いてみると、職場体験を生かしたものより他の体験を用いてスピーチしているものが多かったように思う。今回は総合との緩やかなつながりにとどまっていたが、カリキュラム・マネジメントとして考えるともっと内容を噛み合わせることを意図して行うとともに、つながりのバリエーションを増やしていくといい。
  • 2年LEADでは、ICT活用能力の面でいえば情報の取捨選択がよくできたスタイリッシュなスライド作成ができる生徒が非常に多く見られた。また、発表時の傾聴の姿勢ができていることと、グループにおける司会も巧みで調整能力に長けていると感じた。これらがダイバーシティ・コミュニケーション能力の育成にも一役買っていると思われる。
    ただ、本時のねらいを「自分の考えを深める」を第一とするのであれば、今日のプレゼンテーションという方法がベストであったかどうかを考える必要がある。考えを明確にさせていくということであれば、レポートを作成し、他者のものを読む中で自分の考えと違うところに線を引いたり書き込んだりするという方法もある。

助言への対応

  • 指導者の想定しないようなICTの利活用を行うことはこれからも十分にあるうることが予想される。よって、授業の中におけるICT活用場面の設定については、その活用のしかたが最適であるのかどうか、またその活用が本当に必要であるかも含めて授業づくりをしていく。そのためにも教科をこえた指導案検討を今以上に積極的に行っていく。
  • 教科横断の視点をもった授業づくりをしていくうえで、どのように関連しているか、学習成果物がどのようなものとなるか、またその学習を通してどのような姿になるかを具体的に想像しながら授業づくりをする。
  • 教科等で身に付けさせたい力と、本校で育成を目指す三つの力(「問題解決能力」、「ICT活用能力」、「ダイバーシティ・コミュニケーション能力」)との関連を明確にしてねらいを設定する。

夏季職員研修会で学年ごとに作成したカリキュラム・マネジメント試案に対するアドバイザーの助言

  • カリキュラム試案を見るとLEADとの関連を示す矢印が各教科等で集中しているところがいくつかあるので、主導を取る教科を定めたり、自身が担当する教科等とLEADとの関連性をもう一度見直しをしたりしていく必要がある。

助言への対応

  • 自身が担当する教科の単元計画案の内容を見直し、三つの力との関連を精選するとともに、他の教科と比較し重要度がいちばん高い教科がどれかをまずは個人で検討する。その検討結果をもとに、最終的には職員全体で検討する。

本期間の裏話

うれしかったこと

  • 中間報告会の研究協議では、アドバイザーの木原先生およびもうひと方の講師であった野中先生のほかにも、たくさんの参観者の方々から本校におけるICT活用方法やカリキュラム・マネジメントについてご助言をいただくことができたこと。

苦心談・反省点

  • 様々な調査の分析に時間がかかっており、まだ完全には終わっていないこと。
  • 今期も会議の時間の生み出しが難しく、思うように研究を推進できなかったこと。

本期間の成果

  • 前回の訪問指導時にアドバイザーの木原先生にご指導いただいたカリキュラム・マネジメントの基本的な考え方に基づいて、まずは職員全員でカリキュラム・マネジメントの試案を作って共有するとともに、課題についても考えることができた。
  • カリキュラム・マネジメントの三つの側面のうち、教科横断的な視点を意識して行う授業が増えてきた(国語、社会、英語等)。また、「教育内容と教育活動に必要な人的・物的資源等の活用」についても、各学年のLEADや道徳においては取り入れることができた。
  • 「附属中情報活用調査」の分析を進めた結果、「コンピュータを使うこと 項目5『コンピュータのキーボードで文字を入力することは得意である』」に関して学年間の比較してみると、「あてはまる」「どちらかといえば当てはまる」の割合は1年生が一番高いことが分かった。これは今年度から始まった継続的なタイピング指導が大きく影響していると思われる。また、国の調査と比較するといずれの学年も本校が高く、日常的にPCを使う一人一台環境が影響しているのではないかということがわかってきた。

附属中情報活用調査
コンピュータを使うこと
項目5「コンピュータのキーボードで文字を入力することは得意である」

  • ※「あてはまる」「どちらかと言えばあてはまる」の割合(合計)
    附属中1年 61%,附属中2年 48%,附属中3年 59%,国の調査 46%
  • ※国の調査
    「国の情報活用能力調査」の結果より中学校第2学年生徒(104校 3338人)
  • 平成25年10月~平成26年1月

今後の課題

  • 情報モラル教育、生徒の主体的なICT活用に関する共通認識をもつとともに、理解を図る。
  • これまで行ってきた調査の分析を完了させるとともに、生徒の情報活用能力調査の二回目と保護者アンケートを実施し、活用能力の変化とともに、保護者と生徒の意識の相関関係も含めて分析をしていく。それをカリキュラム・マネジメントに生かす。
  • 一人ひとりの教員が、三つの能力育成を意識した授業を展開していく。そのためにも、自分と同じ教科の教員、および関連する他教科の教員とカリキュラム・マネジメントに向けてさらに話し合いを重ね、授業づくりに生かす(継続)。

今後の計画

  • 個人による単元計画案の見直ししたものと、冬季休業中の職員課題として出した「ミニカリキュラム・マネジメント案」を持ち寄り、会議の場で共有し、本校のカリキュラム・マネジメント案に生かす。
  • 中間報告会のデジタルワークシートへの記載内容および、当日アンケートの分析をし、その結果を共有する、そしてカリキュラム・マネジメント修正に生かす。
  • 3月の授業研究会の指導案検討を行う。
  • 第3回の訪問指導のときにはアドバイザーの木原先生に授業を参観していただいた後、カリキュラム・マネジメントの視点でご指導いただく。

(公開授業研究会等の予定)

3月9日(金)
  •  公開授業(1、2年 LEAD「総合的な学習の時間」)
    問題解決能力・ICT活用能力・ダイバーシティ・コミュニケーション能力

成果目標

  • 「主体的・対話的で深い学び」を成立・充実させ、三つの能力(「問題解決能力」「ICT活用能力」「ダイバーシティ・コミュニケーション能力」)の育成を目指した授業実践を行う。
  • 各教科等で作成した単元計画案をもとに、LEADを軸として「未来をLEADする人」に必要な三つの能力育成を図る上でのカリキュラム・マネジメントの試案を学年ごとに立てる。
  • 生徒のICT活用能力の調査結果の分析を進める。
アドバイザーコメント