大阪初芝学園 はつしば学園小学校

第43回特別研究指定校

研究課題

ICT活用を教育の柱とした、学校におけるインテリジェント教室と個人持ちタブレットを活用したICT活用教育実践と効果的なカリキュラム・教材開発

2017年度04-07月期(最新活動報告)

ICT環境(インテリジェント教室、校内サーバー、校内無線LAN)については、一応の環境整備が出来たが、授業でのタブレット利用の頻度が多くなり、......

アドバイザーコメント

「はつしば学園小学校」は、これまでの実践について効果検証と授業実践の評価を行い、ICT器機を活用した教育により、バランスの取れた教科カリキュラム改善に取り組み、家庭学習と......

大阪初芝学園 はつしば学園小学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 大阪府 大阪初芝学園 はつしば学園小学校
アドバイザー 小柳 和喜雄 奈良教育大学教授
研究テーマ ICT活用を教育の柱とした、学校におけるインテリジェント教室と個人持ちタブレットを活用したICT活用教育実践と効果的なカリキュラム・教材開発
目的 教科教育へのICT機器の効率的活用、個人持ちタブレットを使っての学力向上とその評価、場所を問わず学びの力をつけるタブレットPCの効果とその評価、教科学習に位置づけたプログラミング教育、並びに、子どもにゆとりを持たせながら時間と場所を選ばず学習できるICT機器活用教育による学力向上とその評価である。
現状と課題
  • 自学自習に取り組めるように基礎学力を充実させ、自ら調べる力を養成する辞典学習、日常英会話ができる英語学習、図書館と一体化したコンピュータルームでの調べ学習ができる力を養成する情報教育を行ってきた。
  • 全児童は概ねコンピュータリテラシーが身についており、教科における調べ学習は図書の利用と併行してコンピュータや電子辞書を文房具的に使っている。
  • 平成26年8月に学校敷地内無線LAN化とインテリジェント教室化、個人持ちのタブレットPCの授業を開始した。今後の課題としては、教科教育へのITC機器の効率的活用とその教材開発、児童の個人持ちタブレットを有効に使っての学力向上とその評価を行い、ICT機器活用授業モデルを構築することである。
学校情報化の現状 高い学力、強い体と心を養い、豊かな情操を身につけ未来に羽ばたく子どもの育成を教育目標とする。
取り組み内容
  • 教科研究:

    定期的に行っている各教科での教材開発、教科指導の研究にICT機器活用を組み込む。
  • ICT研修:

    タブレットPC、ネットワーク機器、情報倫理、プログラミング教育の教員研修。
  • 教育実践:

    プログラミング教育について文献やソフトを積極的に購入し、教科指導と関連したタブレットPCを用いたプログラミング教育の実践を行う。
  • 公開授業:

    ICT機器を積極的に活用した授業を公開し、成果を保護者、地域に還元する。
  • ICT活用教育の評価:

    ICT活用授業後の児童の学力向上、教員の授業力の向上の評価。
  • オンデマンド教材活用研究:

    外向けサーバー用の教材の開発とシステムの効果的な運用・活用の研究を行う。(本年度重点目標)
成果目標
  • ICT機器活用教育の効果検証を基に、新たな教材開発とカリキュラムの研究を行い、授業の効率化、児童の学習の深化や定着をより一層進める。
  • 紙媒体の教材の電子化と、研究授業の動画保存など、教育資源の電子化を行い、その結果、児童が学校内外でいつでも活用できる環境を構築する。
  • 外向けサーバーを活用したポータルサイトのプロトタイプを構築する。
  • 教科のカリキュラムに位置づけたICT機器活用教育モデル(通称「はつしばスタイル」)を構築し、公開授業により研究成果を広く児童・保護者、並びに地域へ還元する。
  • 新学習指導要領に向けた、プログラミング教育のモデル構築とその公開を行う。
助成金の使途 サーバー、パソコン、タブレットPC、デジタルカメラ、視察費
研究代表者 橘 淳二
研究指定期間 平成29年度~30年度
学校HP https://www.hatsushiba.ed.jp/primary/
校内研究会と公開研究会の予定

校内研究会の予定

  • 年3回のICT活用授業とプログラミング教育に関する校内研修の実施。
  • 保護者向けタブレットPC導入研修の実施。
  • 年12回の校内研究授業の実施。

公開研究会、学会発表等の予定

  • 3月に全学年公開授業の実施。

研究課題と成果目標

研究課題

一人1台タブレットPCとインテリジェント教室を活用した「はつしばスタイルアクティブラーニング」の構築と実践に関する実証研究

成果目標

 本校のICT機器活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具としての個人持ちタブレットPC」をこどもが文房具的な活用を行い、また、壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)を普通の学習活動として使うことを目標にし、その教育効果の検証を行う。

 さらに、本校が進めている、子ども自身の学びを大切にする「アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)」にICT機器活用教育を融合させ、教育の質の向上、教育効果、情報リテラシーについての効果検証を行う。その上で、本校の教育目標である、基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニングの構築を行うことにある。

 また、次期学習指導要領で重視されるプログラミング教育の先行実施とその効果検証を併せて行う。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

[本期間(4月~7月)の取り組み内容]

 アドバイザーからの助言としては次の通りである。
 教育計画に基づき実施している本校ICT機器活用授業の継続的な実施。
 情報部会(本研究におけるICT機器活用授業の研究組織)による、ICT機器を活用する授業へのTTをはじめとする授業支援の実施。
 ICT機器活用リテラシー(いわゆる情報リテラシー)の授業の実施。
 校外学習(修学旅行、遠足、宿泊学習等)におけるICT機器を活用した特別授業実施。
 パナソニック教育財団アドバイザーによる、ICT機器活用教育に関する教員向け講演会の実施。
 ポータルサイトの構築とその活用についての校内研究会の実施。

図1 新入生(1年生)の狭山池ダムでの自然とのふれあい活動でLTEタブレットを操作する児童(4月18日)

図2 5年生のLTEタブレット用いた算数(図形)学習と、社会科(日本のエネルギー)学習をする児童(5月26日)

図3 Youtubeライブによる授業の映像配信と授業検討会(5月26日)

図4 4年生総合の時間におけるWindowsタブレットを用いた調べ学習とレポート作成(6月19日)

アドバイザーの助言と助言への対応

 成果目標が広範に及ぶので何かの教科や活動に絞って実施すること。
 ICT機器活用授業の効果を把握するために、授業実施前の写真等を含むデータの収集を行い、授業実施後との比較が出来るようにすること。
 プログラミング教育に関して、はつしば学園小学校としての方向性を早期に決定して具体的な計画を立てて実施すること。そのために、他校の実践を含めて情報収集を行うこと。
 効果検証において、子どもの学習活動の成果評価と併せて教員の教育活動の成果評価を行う。特に感覚的な評価に留まることなく、評価の伸び率などを数値として表せることを意図して計画すること。
 第2回以降の訪問サポートでの具体的な計画策定と内容、また、公開授業の実施計画の策定をすること。
 教員の研修についても、教育課程との整合性を意図して実施すること。
 これらの助言に対して、学校としての対応は次の通りである。
 月2回実施の定例の情報部会(研究組織の会議)で情報交換と集約、及び、管理職との連絡調整を行う。
 これまでのICT機器活用授業のリファインを意図しながら日々の授業実践を行い、振り返りとその確認を行う。
 子どものICT機器活用授業の成果を保護者や地域へ還元するため、及び、普及啓発のために逐次学校ホームページ、保護者配布物等で紹介する。
 校内研修、公開授業においてはICT機器活用授業を積極的に取り入れ、外部への公開と情報発信、情報収集に努めると共に、近隣小・中学校等との連携教科にも力を注ぎたい。

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 本研究が採択され、アドバイザーよりICT機器活用教育先進校の実践をはじめとする情報が得られたことは、情報収集が難しい私学にとっては大きな励みとなった。
 さらに、教育の情報化に関しては、ICT機器活用教育(授業)だけではなく、ICT機器活用による校務の効率化による時間の創生についてアドバイスが得られた。校務の効率化により創生された時間により、普段の授業研究の時間や児童との接する時間のそれぞれの創生につながるとアドバイスをうけたことは、多くの教員にとってICT機器活用教育のさらなる推進のモラール(労働意欲)の向上につながった。
 新たなICT機器の購入が予算的に難しい私学にとって、パナソニック教育財団から支援を得られたので、マルチプラットフォームに対応できるはつしばスタイルのICT機器活用授業のモデルづくりの先行研究ができることは大変よかった。
 (本校ではWindowsタブレットを使ってのICT機器活用授業を行っているが、他校で実施されているiPadなどのIos系のタブレットを用いた授業実践の検証も、今回の財団からの支援により機器の購入が可能となったことは、本校の研究のさらなる推進につながるものと期待されている。)

本期間の成果

 ICT機器活用授業のホームページでの公開頻度が高まったため、保護者からICT機器活用授業への期待と評価が高まった。
 情報リテラシーの授業(総合的な学習の時間でのパワーポイントの使い方に関する集中的な授業実施)により、子どものタブレットPCを用いたプレゼンテーション技能が高まった。そのため、社会科を中心としての調べ授業とその発表において、ノート代わりにタブレットを用いて発表資料を作成し、タブレットをそのまま教室の電子黒板機能付きホワイトボード(ビューボード)に接続してプレゼンを行ったり、作成した資料を無線LAN経由で教室パソコンに転送してプレゼンを行うなど、教師顔負けのプレゼンをする小学生が出てきたことなど、子どもの持つ「道具としてのICT機器活用」の可能性を実感した。

今後の課題

 個人持ちタブレットとインテリジェント教室、校内無線LAN環境は一応整備されているが、無線LANの安定性に課題があり、授業が機器や無線のトラブルで中断することがある。
 安定運用のための校内インフラ整備(ネットワーク機器の増強や帯域幅拡大によるデータ伝送速度の改善など)が課題である。
 また、学校外や自宅でのタブレットPCの活用も課題としてあり、「いつでも、どこでも」の実現のために、LTEの導入も具体的に検討している。

今後の計画

 上記のハードインフラの改善のほか、プログラミング教育についても試行を含めて早急に取り組む必要があり、資料収集を行っている。2学期から試行を含め実施予定である。

気付き・学び

 デジタルネイティブ世代の子どもの持つICT機器活用能力には教員も驚くものがあった。
 マニュアルレスで子どもたちはタブレットを使うので、出来るだけタブレットを自由に使える時間を増やすことが必要であることを実感した。
 「習うより慣れろ」が子どものICT機器活用授業では理屈抜きに重視しなければならないと思える。

アドバイザーコメント
奈良教育大学 大学院教育学研究科 教授 小柳 和喜雄 先生

1.研究テーマ・取り組みについて
 「はつしば学園小学校」は、同敷地に中学校も併設した緑豊かな高台に立つ小学校である。ICT 活用教育の指針として、「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」を掲げ、「道具としての個人持ちタブレット PC」を入学時から行っている。各教室も、壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを備え(右図)、この環境を活かした教育実践の検討を進めている。


 はつしば学園小学校は、「基礎学力の充実としつけの教育」を大切にしている。そして、その上に立って、子ども自身の学びを大切にする「アクティブ・ラーニング」に ICT 機器活用を融合させ、教育の質の向上とともに、それを支える情報リテラシーの育成に力を入れようとしている(「はつしばスタイル」)。
 2017 年2 月に本校が行った研究成果発表では、①自分の考えを思い伝えるツールとして利用する。②受動的な姿勢から能動的な姿勢を育てる、の2つについて報告がなされたということであった。
 本校の話によれば、これから2 年の研究期間に、これまでの実践について効果検証と授業実践の評価を行い、ICT 機器を活用した教育により、バランスの取れた教科カリキュラム改善に取り組み、家庭学習と効果的に連動した新たな教育モデルの構築を目指そうとしていることであった。
 さらに、次の3 つの点に、取り組むことも目標していると言うことであった。
 1)次期学習指導要領で導入予定のプログラミング教育について、各教科への試験導入を含め、前倒し実施についての先行研究と評価を行い、児童の思考力の向上に努める。
 2)ポータルサイトを活用した、長期休業中や授業時間外の学校外からの校内サーバーデータ利用の推進と、紙ベースの教育資源のデジタル化による利用促進を図る。
 3)一人1台タブレットによる、「いつでも、どこでも、だれでも」をキーワードとした、ICT 機器を有効に利用する授業のモデルづくりと、地域への教育資源の提供や社会還元に努める。

 

2.本期間の取り組み・成果の評価
 4 月に最初に訪問をした後、6 月に2 回目の訪問を行い、今後の取り組みに関する打ち合わせを行った。その際、ICT 機器を活用した普段の授業を見る機会に遭遇した。


 そこでは、先にも述べたがこれまでの研究成果が現れた、①自分の考えを思い伝えるツールとして利用する。②受動的な姿勢から能動的な姿勢を育てる、を大切にした授業を参観することができた。
 1つは5年生の算数であり、もう1つは4 年生の総合の授業であった。
 算数では、右の写真にあるように、
問題の提示や考えの共有のためにICT を活用しているだけでなく、問いに対して考えを巡らせながら、様々な考えを子どもたちが積極的に表現する道具として、活用している姿が印象的であった。子どもたちは、アイディア出しを紙のプリントで行い、その中から自分はこのように考えたということを友達に説明したい、表現したい考えを選んでタブレット上に示すような使い方をしていた。

 また見ていると、友達の考えが紹介されたりすると、自分のタブレット上の考えを修正する姿が所々で見られ、その場で自分の考え違いなどに気付き理解を確かなモノにしている姿や、より別のアイディアを出すために練り直している姿なども見られた。中には、色々なアイディが出てくる秘密を考え出し、計算は難しくなるが無限に考えを出せることを言い出す子どもも見られた。算数的な見方考え方や算数のおもしろさに子どもたちの関心を向けていく授業の姿も垣間見られた。

 また4 年生の総合では、調べたこと、自分が伝えたいことを、パワーポイントで表現させていく授業が行われていた。本校が、子どもたちが伝えなくなる課題設定の工夫上で、情報活用能力を学年に応じて体系的に培っていこうとする姿が,垣間見られた。
 この授業参観後、学校全体で、今後の方針についての確認や本時の授業から共通に学べる点の整理、また各自が現在までに取り組んでいるICT を活かした取り組みについて紹介が行われ、それに基づく意見交換が行われた。
 始まったばかりではあるが、各教員がこれまで試みてきた実践の蓄積があることが確認でき、学校全体の取り組みとしてどのように、本研究計画に即して、取り組みを整理し、「はつしばスタイル」の提案やカリキュラム改善につなげていくかが今後の課題と感じられた。

3.今後の期待
 先にも述べたが、はつしば学園小学校は、他の学校にはなかなかまだ見られない教室環境とそれを活かしたこれまでの取組の蓄積がある。それらをより学校全体のものにし、実践の成果をエビデンスに基づきながら、保護者、他校、地域に語っていく取り組みが求められる。それらを語る取り組みを積み重ねることにより、学校自体でも取り組みをより整理できると思われるからである。
 また現在多くの目標が掲げられているため、それに優先順位をつけ、相互の目標の関係見つめ、取り組みの焦点化をすることが整理する中で求められてくると思われた。

本期間(8月~12月)の取り組み内容

1年生 英語モジュール授業(朝学習)

1年生 国語授業(音読)

1年生 英語授業(外国人講師による授業)

1年生 国語授業(漢字学習)

1年生 算数授業 (児童の解法の提示)

1年生 算数授業(オリジナルプリント表示)

2年生英語モジュール授業 (朝学習)

2年生英語(外国人講師による授業)

2年生 生活科授業(トマトの栽培)

3年生 英語(講師によるタブレット授業)

3年生ホームルーム(文化祭の出し物)

4年生総合(パワーポイントの学習)

4年生 総合(プログラミング学習)

4年生 総合(エネルギー学習)

4年生 総合(日本の文化の調べ学習)

5年生 算数(グループ学習)

5年生 社会(日本の歴史)

5年生 総合(児童による世界の習慣の発表)

英語レシテーションコンテスト

  • ICT機器を活用した授業実践
     黒板とチョークがなくなり、インタラクティブボード(電子黒板機能付きプロジェクターとビューボード)と電子ペンを用いて、普通に授業を行っている。
     動画や写真などを教材として提示し、それに、電子ペンで注釈を加えたり、また、板書を記録し、他教室でも呼び出して使えるので授業記録を残すのに便利である。さらに、クラスの児童の発表や作品を他のクラスで見せたり出来るなど、教育効果は大きいと考えられる。
  • 情報リテラシーとプログラミング学習
     3年生からローマ字学習と併行してキーボードによるタイピング授業を行い、簡単な文章をWordで打つことができることを目標にしており、4年生から発表用ツールとしてPowerPointの学習を行っている。
     高学年になると、レポートをWordで作成したり、調べ学習の発表などはPowerPointで行っている。また、大ホールでの各種コンテストや発表においてもPowerPointを用いたプレゼンテーションを行っている。
     4年生の総合の時間において、プログラミング学習の導入として、算数と併行して数値計算が容易にできるBASIC言語によるプログラミングの学習を行っている。
  • ポータルサイトの構築と試行
     現在校内無線LANを利用して、児童はファイルサーバーから教材の入手や自身のデータの保存を自由に行っている。これを学校外からも行えるように、外向けサーバーにポータルサイトを構築した。現在、本格運用に向けてテストデーターを入れるなどの準備を行っている。
  • 一人1台タブレットの実現
     情報マイスター(ICT機器活用授業の推進係)の会議において、1年生導入タブレットの検討とICT機器活用授業の進め方についての連絡調整を実施。平成30年2月に、1年生もタブレットPCが導入され、これで、全児童が一人1台タブレットを持つこととなる。

アドバイザーの助言と助言への対応

  • はつしばスタイルのICT機器活用授業「はつキタス」のねらいは、「いつでも、どこでも、だれでも」がICT機器を文房具のようにあらゆる場において気軽に使い、学習に、生活に活かすことである。
     ICT機器が整備されて4年になるので、その効果検証をするために、教員に対して授業実施に対する意見や感想を求めて集約し、情報マイスター会議等でICT機器活用方法についての情報交換・意見交換を積極的に進めており、また、校内研修を実施している。
     さらに次期学習指導要領で小学校にもプログラミング学習が必須となるため、他校や中学・高等学校のプログラミング学習の見学などを係として行っている。
     10月に情報マイスター(1年生の担任)が算数の研究授業を行った。この時は、1年生は児童用タブレットが導入されていなかったため、教員用タブレット1台と教室用PCおよびインタラクティブボードでの授業を行った。
     児童の問題解法の過程を教員がタブレットPCで静止画撮影を行い、それを、無線LAN経由で教室用PCへ転送し、インタラクティブボードに投影して児童で共有しながら学習をするスタイルでの授業でした。
     これは、算数の研究授業に関わらず、個人持ちタブレットの導入されていない1年生クラスでは、通常の授業において実施しているスタイルである。
     この研究授業ならびに本校のICT機器活用授業全般に関して、アドバイザーの奈良教育大学教授小柳和喜男先生からは、数多くのアドバイスや今後のICT機器活用授業についてのご示唆を頂いた。
     授業に関しては、先生(指導者)と子ども(児童)との人間関係ができており、1年生の授業としては子どもも落ち着いて学習しているなど、レディネスについてもお褒めの言葉を頂いた。
     ICT機器活用授業についても、研究授業のためのICT機器活用ではなく、授業の中に普通にICT機器を使っているので、この使い方を軸に教材研究・授業研究を進めるほか、はつしば学園小学校で実践しているICT機器活用授業を、学年別、実施時期別(時間別)に一覧表にして、学校全体で共有し、整理統合するなどをして「はつしばスタイルのICT機器活用授業(はつキタス)」を明確化していくなどのご助言を頂いた。
     今年度末の中間まとめに向けて、この助言を参考に本校のICT機器活用授業を進めると共に、課題の一つであるICT機器活用授業の効果検証と次期学習指導要領を意識したプログラミング学習についても、情報マイスターの会議においても係として取り組みたいと考えている。

本期間の裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 本校においては、授業公開期間を設けているが、公開授業や研究授業のためだけの授業は普段から行っておらず、「ハツキタス(いつでも、どこでも、だれでもがICT機器活用を行う)」と同じく、普段の授業をいつでも公開するスタイルを取っている。
 今回の研究授業では、大学の先生が来られると言うことで、授業者は、かなり緊張して授業に臨んだが、小柳先生の優しいお人柄からのアドバイスで授業者本人も大変安心し、また、今後ともICT機器活用授業に留まらず、児童を成長させるための授業全般に頑張りたいと申しておりました。
 1年生に関しては、研究授業実施時期には個人持ち一人1台タブレットが導入されていなかったが、教室用タブレット1台とパソコンだけでも工夫次第で、ICT機器を活用した「わかる授業」ができる可能性が示されたことは、大きな励みになった。

本期間の成果

  • 本校は、黒板とチョークが教室から無くなり、代わってインタラクティブボード(電子黒板機能付きビューボード)と電子ペンに置き換わった。導入当初は、保護者のみならず教員からも不安の声があったが、ICT環境が整備されて4年目になり、児童にも教員にも違和感なく普通に教室運営が行われている。
     ICT機器の使い方は教員によっても異なるが、朝の会の連絡はビューボードに電子ペンで記入する、或いは、WordやPowerPointで表示したり、また、これらのデータをクラス間で共有して表示するなど様々である。
    授業に関しても、デジタル教科書をビューボードに表示して、それに、電子ペンで書き込んだりするほか、これまでに紙ベースで作成していたものをスキャナーで取り込み、それをビューボードで表示して電子ペンで書き込みを入れて利用するなど、色々と工夫をしている。
     もちろん、ビューボードに残しておく必要のある情報は、マーカーペンでビューボードに記入しておくなど、通常のホワイトボードと同じような使用も併行して行っている。
     一人1台タブレットPCに関しては、学習支援ソフト(Styudy net)の利用による、双方向性の授業での活用、調べ学習でのインターネット検索、Wordの利用による文書作成、PowerPointの利用によるプレゼンテーションの利用など通常のタブレットPCの利用に加え、ノートのように個人持ちで自宅に持帰りの利点を活かして、これまでに教員が蓄積してきた紙ベースの教材のデジタル化したものを、児童のタブレットに定期的に入れ、児童の自宅学習に役立てている。
     ICT機器活用授業に限らず、本校では普段の授業、行事、その他の活動などは、こまめにホームページで公開すると共に、学校便り、学年便り、クラス便りで保護者に情報提供をしているので、保護者からICT機器活用授業への期待や評価は高まってきている。
     学校として、この保護者の期待に添うよう、今後ともICT機器活用による効果的な授業について研究を進めなければならない責務を感じている。

今後の課題

 ICT環境(インテリジェント教室、校内サーバー、校内無線LAN)については、一応の環境整備が出来たが、授業でのタブレット利用の頻度が多くなり、また、動画教材の利用頻度が高くなったため、ファイルサーバーの容量不足や無線LANアクセスポイントの負荷が増大してきた。そのため、各クラスでのタブレットPCへの同時ログイン時に遅延が生じたり、インターネット検索での速度の低下、動画教材利用時の速度低下によるブロックノイズの発生や動画の停止など、当初の利用予測を越えた高頻度でのタブレットPCの利用が新たな課題となっている。
 また、自宅においても校内と同様に、外向けサーバーのポータルサイトからインターネット回線を利用して教材のダウンロードや提出物のアップロードをも計画しているが、校内サーバーのコンテンツが膨大な量になり、これを外向けサーバーに入れるには容量不足の問題も生じている。
 今後、児童のタブレットPCの利用に対応した、サーバーや無線LAN環境の整備が必須であると考えている。
 さらに、プログラミング学習については、小学校ではプログラムを組むことではなく、プログラミング思考を育成することが重要である。
 現在、算数と連携したプログラミング学習の試行をしているが、これについても、他校の実践などの情報収集をすると共に、本校として、学校の教育課程に位置づけたプログラミング学習について研究を進めると共に、導入ソフトやハードについての検討も併せて行う必要がある。

今後の計画

 現在行っている、はつしばスタイルのICT機器活用授業(はつキタス)については、その継続とさらなる教材開発を行うと共に、ICT機器活用授業の評価を行い、さらなる授業改善、効率的で児童にとって「わかる」授業の構築を進める必要がある。
 そのため、ICT機器活用授業についての中間総括を行うと共に、教員アンケートなどを通じてICT機器活用授業の効果検証を行う予定である。
 プログラミング授業については、現在、4年生の総合の時間で試行的に行っている授業について、ICTマイスター会議等でその課題や評価について検討を行い、次年度は複数学年で実施し、新学習指導要領実施時に全校的に取り組めるようにしたい。
 ICT機器環境整備については、校内予算の確保ならびにパナソニック教育財団様のご支援による本研究助成金を活用して、出来るところから順次整備を行っていきたい。

気付き・学び

 デジタルネイティブと言う言葉は普通に使われるようになってきたが、小学校1年生からのタブレットPCの導入に関しては教員は不安を感じていた。しかし、タブレットPCのインターフェイスの進化や子どものデジタル機器への親和感などから、教師の説明無し、マニュアル無しでも、かなり使いこなせることが分かった。
 ICT機器活用授業の推進には、個人持ちタブレットでしかも普段の学校生活の中で文房具のように「普通に」使うことが重要であると感じた。
 学校生活の中では、インターネットやSNSの危険性を含め情報倫理に関する指導をきっちりとした上で、できるだけタブレットPCを自由に使わせる工夫をすることは、これからのICT機器活用授業の推進には重要であると考える。

研究課題

 一人1台タブレットPCとインテリジェント教室を活用した「はつしばスタイルアクティブラーニング」の構築と実践に関する実証研究

成果目標

 本校のICT機器活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、「道具としての個人持ちタブレットPC」をインタラクティブボード(壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクター)を装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)で使うことによる、ICT機器活用授業の教育効果の検証を行う。
 そのため、パナソニック教育財団支援による1年間の実践の総括を行い、実践のまとめを行うと共に既存の教育課程への位置付けを明確にし、次年度の実践と研究に備える。
 また、上記とも関連し、本校が進めている子ども自身の学びを大切にする「主体的・対話的で深い学びの実現」にICT機器活用を融合させ、教育の質の向上、教育効果、情報リテラシーについても実証研究を進め、本校の教育目標である、基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」ICT機器活用アクティブラーニングの構築を行う。

アドバイザーコメント
奈良教育大学 大学院教育学研究科 教授 小柳 和喜雄 先生

1.研究テーマ・取り組みについて
「はつしば学園小学校」は、これまでの実践について効果検証と授業実践の評価を行い、ICT器機を活用した教育により、バランスの取れた教科カリキュラム改善に取り組み、家庭学習と効果的に連動した新たな教育モデルの構築を目指している。
 10月25日の訪問時には、本校の ICT 活用教育の指針である「いつでも、どこでも、だれでも」という「はつキタス(はつしばユビキタス)」に基づき、壁面大型ホワイトボードと電子黒板機能付きプロジェクターを装備したホームルーム教室(インテリジェント教室)での取組が行われていた。また授業後の経過報告会議では,以下3つがどのように進められているかについての報告がなされた。
 1)次期学習指導要領で導入予定のプログラミング教育について、各教科への試験導入を含め、前倒し実施についての先行研究と評価を行い、児童の思考力の向上に努める。
 2)ポータルサイトを活用した、長期休業中や授業時間外の学校外からの校内サーバーデータ利用の推進と、紙ベースの教育資源のデジタル化による利用促進を図る。
 3)一人1台タブレットによる、「いつでも、どこでも、だれでも」をキーワードとした、ICT機器を有効に利用する授業のモデルづくりと、地域への教育資源の提供や社会還元に努める。

 

2.本期間の取り組み
 (1)授業参観から
 3回目の訪問となる10月25日は、ICT器機を活用した1年生の算数(『ものとひとのかず』)の授業を見る機会に遭遇した。そこでは、他の学校にはなかなかまだ見られない教室環境(黒板はなく、壁一面のホワイトボード)を活かした授業が展開されていた。
 授業者の上脇先生は、「課題に対して、友だちと夢中になって取り組むなかで、「分かった!」「なるほど!」という気づきや考えの深まりを感じられる授業をめざしたい。「友だちと聴き合うことは楽しい!」と感じて、つながり合ってくれる」という思いをもっていた。この日は、難しいジャンプ課題に挑んでいたが、その姿が垣間見られた。
 問題文を読み,算数的な見方考え方を働かせながら
(既習事項を用いて)、その場面をイメージするのに、個人でワークシートに絵を描きながら、また友達と問題文の意味を確認し合いながら進めている姿が見られた。
 子どもたちが考え出した色々なアイディアを、上脇先生がタブレットで撮影し、壁面のホワイトボード上で展開過程の中でその都度共有していた。そのため難しい課題ではあったが、自分の言葉で考えを語り,隣同士で聞き合う姿が頻繁に見られた。
本校が進めている子ども自身の学びを大切にする「アクティブラーニン グ」に ICT 機器活用を融合させる取組、また基礎学力の充実としつけ教育の基盤の上に立つ、「はつしばスタイル」(ICT 機器活用アクティブラーニング)の構築が,1年生の日々の授業を通して進められているのが感じ取れる取組であった。このことから、学校全体の取り組みとして、本研究計画に即して、取り組みが進みつつあることが見とれた。
 (2) 授業後の経過報告会議から
 ICTの活用が学校全体で色々な場面で進むにつれて、WI-FI利用時のタイムラグなど、現在のシステムの運用評価からその見直し等が検討されていること、またプログラミング思考の育成と関わって,その試行をはじめていることなどの報告が行われた。
 様々な取組が各学年で展開されてきている一方で、どの時期に何が行われているかは互いに理解しているにしても、お互いの取組でどのような力をどこまで子どもたちに培おうとしているかが共有できていないことが報告の中で見えてきた。そのため年間計画が一覧できる表の作成が必要であること、それによって学校全体で計画的でかつ体系的な取組が可能となることが会議を通して確認された。

 

3.今後の期待
 はつしば学園小学校は、他の学校にはなかなかまだ見られない教室環境とそれを活かした取組が進みつつある。多くの目標が掲げられているが、それに関しても優先順位がつけられつつあり、相互の目標の関係から取り組みの焦点化が進んできている。しかしそれらをより学校全体のものにしていく必要がある。日常化されている実践の成果もエビデンスとして記録を残しつつ、成果を共有していく取組が求められる。