八王子市立高尾山学園

第44回特別研究指定校

研究課題

不登校特例校におけるICTを活用した思考力・判断力・表現力の育成
~主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善~

2018年度08-12月期(最新活動報告)

最新活動報告
小学部算数で、導入済みであったチエルの教材を利用し、学習の個別化を......

アドバイザーコメント

福本徹先生
今回は3回目の訪問でしたが、研究の目的がフォーカスされ、より深まっている印象を......

八王子市立高尾山学園の研究課題に関する内容

都道府県 学校 東京都 八王子市立高尾山学園
アドバイザー 福本 徹 国立教育政策研究所 総括研究官
研究テーマ 不登校特例校におけるICTを活用した思考力・判断力・表現力の育成
~主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善~
目的 児童・生徒の不登校状態に応じて、人間関係形成能力の育成と適切な学習支援を行い、生きることへの自信と社会的自立を獲得することを目的とする。 
現状と課題

(1)現状

小・中学校が併設された不登校特例校である。不登校の改善に取り組んでいるが、平成28年度の登校率は65%、29年度は68%であった。再び不登校状態になり、学校に通えない児童・生徒もいる。

(2)課題

  • ①児童・生徒に多様な体験をさせ、「これっておもしろい」「学ぶって楽しい」を経験させ、学びに向かう力を育てる。
  • ②児童・生徒の興味・関心、学習履歴に応じ、適切な学習支援を行い、登校意欲を高める。
  • ③市の規則により、普通教室で外部に接続できるPCが3台のみ。購入したiPadも外部への接続が禁止されている。そのために試したい授業があってもできない。
学校情報化の現状 「平成29年度実践研究助成(一般)」の助成を受け、情報化の推進体制が整い、普通教室におけるICT環境整備が進んだ。
取り組み内容

(1)教科指導におけるICT活用

  • ①普通教室におけるICT環境の整備
    主体的・対話的で深い学びを展開できる環境整備に取り組み、登校意欲を育む。
  • ②発達障害のある児童・生徒に対するICTを活用した支援
    デジタルコンテンツやアプリを授業で積極的に活用し、学習意欲を高める。
  • ③「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
  • ④不登校状態にある児童・生徒へ「教育の機会確保」として授業動画配信の可能性を探る。
成果目標

(1)成果目標

  • ①登校率の向上
    普通教室におけるICT環境整備が進み、子供の主体性が育まれ、平成29年度は68%だった登校率を、平成30年度には70%、平成31年度には72%にする。
  • ②ICT活用による学力向上
    発達障害のある児童・生徒に対するICTを活用した支援を継続し、ICT活用が学力向上に効果があることを教員、児童・生徒、保護者が実感する。

(2)取り組み後の状況

  • ICT活用と登校率や授業参加率の関連が明らかになり、不登校の解消が進む。
助成金の使途 無線LANアクセスポイント、60インチモニター、軽量机、折り畳み式椅子、先進校視察、講師謝金
研究代表者 黒沢 正明
研究指定期間 平成30年度~31年度
学校HP http://hachioji-school.ed.jp/takao3g/
公開研究会の予定 不校特例校のため、関係者以外には原則非公開。

本期間(4月~7月)の取り組み内容

本期間の取り組み内容

1.7月10日(火)
第1回目訪問アドバイス
 アドバイザー:国立教育政策研究所 総括研究員
 福本 徹 先生
研究授業13:30~14:15
5・6年合同 社会科 授業者 古澤 彰
「わたしたちの生活と食料生産」
*不登校特例校の強みを活かし、6年生は復習として授業に参加しました。

■ 単元の指導計画(4時間扱い)

休み時間や放課後を利用し、産地調べにたっぷり時間をかけました。

目標 学習活動
第0時 ○産地調べ ○事前にお店で撮った写真や, スーパーのチラシから農産物や水産物を都道府県ごとに地図の上に貼り付けて,産地マップを作る。
第1時 ①産地調べ【本時】 ○完成させた産地マップから, 気付いたことや考えたことを話し合う。
第2時 ②米づくり列島・日本 ○日本全国の6月の米作りの様子が分かる写真や米の収穫量の資料から,米の産地について,気付いたことや考えたことを出し合う。
第3時 ③農産物の産地 ○米以外の農産物や畜産物の主な産地と特色を調べる。
第4時 ④地図にまとめる ○これまで学習してきたことをもとに,毎日食べている食べ物を生産している主な産地についてまとめる。
本時の展開

▲この場面で交流が活発に行われた。
ポイントに○印をつけたかった!

本時の展開

  1. 1.完成した産地マップを児童へ見せる。
  2. 2.完成した産地マップから気付いたことを交流する。
    • ・一人調べ⇒産地の気付いたところをiPadで記録する。
    • ・調べて気付いたことを友達に伝える。
    • ・発表する。
  3. 3.普段食べている食料品が,様々な食料生産物があることに気付く。
  4. 4.学習のまとめをし, 次時へつなげる。
  5. 5.本時の学習をふり返る。

☆児童が着目したポイント

色々な種類の食料品が八王子に届いている。

秋田県は米。山形県は野菜・果物。青森県は米、野菜・果物、魚。岩手県は、米、野菜・果物の他に、魚、肉、乳製品もある。東北地方からは、色々な種類の食料品が八王子に届いている。

関東地方は多い。

関東地方は多い。特に野菜・果物が多い。

「どうして関東地方には野菜・果物が多いのだろう?」という疑問が出てくると学習課題につながる。指導の工夫が欲しい。

三重県にはシールが1枚も無い!

三重県にはシールが1枚も無い!

小学部の先生の中に三重県出身者が!三重県のこと、伝えたがっていました。これが学びのチャンス。活かせず、残念でした。

写真を見ながら、気づいたことや感じたことをまとめ、発表の準備をしました。

写真を見ながら、気づいたことや感じたことをまとめ、発表の準備をしました。隣の人と相談する姿も見られました。発表の練習にもなります。

写真をもとに気付いたことや感じたことを発表しました。

写真をもとに気付いたことや感じたことを発表しました。

2.授業を行う全教室にモニターとアップルTVを常設しました。先生方にiPadを1台ずつ貸与したところ、日常の授業での活用が活発になりました。

モニターとアップルTVを常設

3.出前授業「ライフプランニング」(ソニー生命)

出前授業「ライフプランニング」(ソニー生命)

4.その他

(1)教職員対象に高尾山学園(不登校特例校)理解研修を実施。4月5日(実施)
(2)次世代型教育推進センターのピクトグラムを活用し、「主体的・対話的な深い学び」の視点による授業改善の方向性を把握。→職員室前の廊下にピクトグラムを掲示。OJT月間①(5月)「対話的な学び」をテーマに全員が略案を作成。
(3)訪問アドバイス事前打ち合わせ 研究実施計画の確認。4月17日実施
(4)小学部での振り返り 6月14日実施
 ・算数に非常に学力差がある。→学年を解体した習熟度別学習に取り組む。
(5)視察:佐賀県武雄市立武内小学校 研究発表会 6月30日(土)
(6)授業の動画配信の先進校の実践研究
 →マイクロソフト認定教育イノベーター説明会に参加。
  ・Skypeを活用した授業。
  ・One noteを活用した宿題提出 等
(7)チエルの教材説明 7月3日実施
 ・基礎・基本 計算検定、国語検定
 ・フラッシュ教材
 ・動かして教える算数、見せて教える社会科
 ・基礎・基本習熟プリントパック(導入済み)←日常的に活用してみる。

アドバイザーの助言と助言への対応

【助言】

1.授業について

  • (1)学級で作成した「産地マップ」を写真に撮る活動
    • ①八王子で配られたチラシから産地を調べ、日本地図にシールを貼った地図はとても良い資料である。その資料を通して、注目したポイントを写真でとるときの会話が活発で、主体的に交流し、良い学びがたくさん見られた。
    • ②写真が記憶のトリガーになる。つまり、写真を見ながら説明ができる。一人でまとめ、その後グループで共有するというステップが大事。児童を前に出して発表する必要もない。
    • ③撮った写真のどこに注目したのか、注目したポイントを○で囲む等、写真に簡単な印をつけておくとグループで説明するときに思い出すことができる。これは大人も同じ。
    • ④シールが貼られていない県に注目している子供も多かった。たとえば三重県。では、三重県では何も生産していない訳ではない。流通コスト等の事情から、八王子よりも大阪等、関西方面に出荷されている。しかし、北海道のメロンや宮崎のマンゴー等はコストをかけても十分利益が上がるので、シールが貼られることになる。この点については、5年生の学習範囲を超えてしまう。指導者には、「産地マップ」は、八王子における食料生産物の実態であることを認識しておくことが重要である。
  • (2)写真も良いが、動画で見るのも良い。NHKやYouTubeのコンテンツ等で学習するのも有効である。「NHK for School」はよくできている。活用すると良い。

2.成果目標と評価方法

  • ① 一人一人に着目すると良い。4月と6月を比べてみる。
  • ② 前年の同じ時期と比べるのも良い。

3.タブレットPCの活用

 大勢に配布するのなら安いタブレットPCを購入する場合もある。本校の場合は、児童の人数が少ない。ならば、それなりの機能のあるPCの方が良い。他校の事例を見ても、児童がタブレットPCを壊したという報告はほとんど聞かない。貸与している学校の中には、タブレットPCの「貸与式」「返還式」等、儀式的に行い、児童の意識を高めている場合もある。参考にすると良い。

4.算数の習熟度別学習の展開

  • ① 「算数」というだけで、授業に参加しない児童には、「算数」という言葉を使わない。たとえば「高尾タイム」等、違う名称をつけ、子供たちを授業に参加させ、学習する内容は算数というやり方も試してみると良い。
  • ② 子供がどこまで理解をしているのかをしっかり評価することが大事。また、それぞれの単元において児童がつまずきやすい個所や身に付けておかなければならない技能等を指導者が把握して授業に臨むことが重要。例えば、「ものの長さ」を測ったり、比べたりするとき、「片方をそろえる」ということが身についているのか。そういったことを今後、研究していくと良い。
  • ③ 教科の構造によっても学習の仕方は異なる。好き嫌い別、関心別等、色々試してみると良い。

5.視察先

  • (1)パナソニック財団の研究指定校の中から探すと良い。
  • (2)例えば
    • ①新潟大学附属新潟小学校:複式学級がある。
    • ②広島市立藤の木小学校:フューチャースクール、学びのイノベーション事業
    • ③福島県新地町立新地小学校

6.佐賀県武雄市立武内小学校の紹介

【助言への対応案・次回までの課題】

  • 1.算数の習熟度別学習の展開
    • (1)名称を考える。
    • (2)好き嫌い別、関心別等、色々な形態を試してみる。
    • (3)10月26日の研究授業で、高尾山学園小学部算数授業の提案をする。
  • 2.タブレットPCの活用
    • (1)小学部児童、1人1台、タブレットPCを貸与に向け、貸与の仕方、約束などを決める。
    • (2)成果と課題を把握する。
  • 3.成果目標と評価方法
    • (1)一人一人の変化を把握する。→授業参加率を調べる。
    • (2)同じ時期の登校率を比べる。
  • 4.視察
    • (1)武内小学校の視察報告をする。本校でも取り入れられる点は導入を進める。
    • (2)パナソニック財団の研究指定校の中から、視察先を選び、視察を実施し、先進校の取り組みに学ぶ。

本期間の裏話

  • 1.全教室にモニターとアップルTVを常設し、先生方にiPadを貸与したところ、日常的に授業でのICTの活用が進み、児童・生徒の集中力が高まったこと。(これが授業参加率につながっていることを証明する指標を探しています。)ベテランの先生のICT活用がうまい。
  • 2.小学部で研究授業が実施できたこと。そこに中学部の先生方が参観されたこと。何より、児童たちが大勢の方々に見られながらも、授業のねらいに向かって学習を進めたことがうれしかった。
  • 3.贈呈式で知り合った武雄市立武内小学校に、本校の先生を視察に行かせることができた。視察成果の還元は今後の課題であるが、パナソニック財団の助成金を使用して、今後も先進校の視察に行き、指導力、学校経営力を高めていきたい。
  • 4.教員の人数が少なくても、共通の認識をもち、研究に取り組むことは、改めて難しいと感じた。手順を踏んでも、個人により認識の差が生じる。授業のレベルを上げていくことが本当に難しい。

本期間の成果

  • 1.モニターとアップルTVを常設し、iPadを教員に貸与したことにより、教師がICTを活用し始めた。
  • 2.モニターによる資料提示。焦点化したいところを拡大する。
  • 3.NHK for School の活用が活性化した。

今後の課題

  • 1.小学部算数における、学年(5・6年)を解体した習熟度別学習の実施。
     ・チエルの教材を活用したら可能か。
  • 2.不登校状態にある児童への学習指導。
  • 3.ICTを活用した主体的で対話な授業。
  • 4.メディアルームの整備。
  • 5.ICT活用能力(タイピング、検索等も含めて)を高尾山学園のつけたい能力としていきたい。

今後の計画

  • 1.「アップルクラスルーム」を使用できるように備品を整備する。
    ・小学部算数における学年を解体した習熟度別学習の実施。
  • 2.先進校の視察
  • 3.OJT月間②「主体的な学び」をテーマに全員が略案を作成、授業を公開
  • 4.メディアルームの整備

気付き・学び

  • 1.ICT活用はベテランの先生の方がうまい。そして、児童・生徒の方が操作が巧で、すぐに身に付く。
  • 2.学校に来ていない児童・生徒へのアプローチには、予想以上に可能性がある。ただし、本人が活用するかどうかが一番の課題。
  • 3.日本中には様々なICT活用に取り組み、実践報告をしている学校がたくさんある。本校に活用できるものは、積極的に取り入れてい行きたい。

成果目標

  • 1.登校率の向上

     普通教室におけるICT環境整備が進み、子供の主体性が育まれ、平成29年度は68%だった登校率を、平成30年度には69%、平成31年度には70%にする。

    ◇5月出席率 5年 47.6%  6年 64.3%
          中1-1 65.6% 2-1 80.0% 2-2 65.6%
          3-1 89.3% 3-2 66.0% 3-3 65.6%
          全校 70.5%(平成29年度69.2%)

  • 2.ICT活用による学力向上

     児童・生徒に対するICTを活用した支援を継続し、ICT活用が学力向上に効果があることを教員、児童・生徒、保護者が実感する。
    ☆学校評価

アドバイザーコメント
福本徹先生
国立教育政策研究所 総括研究官 福本 徹 先生

 高尾山学園は「基本情報」にもあるように、不登校の児童生徒を対象とした学校です。一般的に不登校の児童生徒は、小中学校の授業に出席していないために学習空白が生じている場合が多いことや、対人関係に難しさを抱えている場合がある、という特徴があります。高尾山学園もそうですが、文部科学大臣の指定を受けることで不登校児童の実態に配慮した柔軟な教育課程の編成が可能であり(学校教育法施行規則第56 条)、具体的な学習活動としては、不登校児童の学習状況に合わせた個別学習,グループ別学習,などの個々の児童生徒の実態に即した支援であるとか,学校外の学習プログラムの積極的な活用など指導方法や指導体制の工夫改善に努めることが求められます(総則第1章第4の2の(3)のイなど)。また、不登校は取り巻く環境によっては,どの児童生徒にも起こり得ることであり、「問題行動」と捉えるものではありません。共感的理解と受容の姿勢をもつことが,児童の自己肯定感を高めるためにも重要です。

 さて、学習空白が生じているというや、柔軟な教育課程の編成が可能であるということは、学習内容をベースにカリキュラムを編成し実行するというよりは、育てたい児童・生徒像、すなわち、資質・能力に基づいたカリキュラム編成と、わかりやすい授業や参加したくなる授業、すなわち、ICT等を用いた効果的なカリキュラム実行が求められます。参観した授業では、十分な活動と自分なりのまとめを行うために、ICT(タブレットPC)を用いて記録し閲覧する、ICTを用いて個人で考察し伝え合うといった、「主体的・対話的で深い学び」の視点に基づいた学習活動と、空間的な広がりや比較・分類といった社会的な見方・考え方を生かし、社会的な事象を多角的に把握し社会の課題を把握するための思考力の育成が図られた授業でした。

 今後は、タブレットPC上で動作する様々な教材等を導入して技能面の習熟を図るということですが、発達段階に応じたり、特別活動などの領域の内容を援用して、まとめて学ぶという可能性も見いだせるのではないでしょうか。

 いずれにしても、これからの教育課程を考えていくにあたって、大変参考となる研究であり、今後の進展に期待します。一緒に頑張りましょう。

本期間(8月~12月)の取り組み内容

◆教員向け研修の実施

  • ○チエル株式会社によるフラッシュ型教材活用研修
  • ○帝京大学 福島教授によるプログラミング(Sphero)研修

◆校内環境の整備

  • ○モバイル・ルーターの導入
  • ○出前授業をパソコン室に中継(八王子市教育委員会 校務支援課ICT担当と連携)
    • ・オリンピック・パラリンピック教育「ダブルダッチ」
    • ・芸術鑑賞教室「和太鼓」
      →みんなとの中に入れない児童・生徒、聴覚過敏の児童・生徒への対処として。

◆学校視察

  • ○奈良県御所市立名柄小学校(少人数クラス、Skypeを使用した授業)、京都市立洛風中学校(本校同様、不登校特例校)視察

◆授業実践

【小学部算数科による実践】
  • ○第2回目訪問アドバイス(10月26日(木))
    アドバイザー:国立教育政策研究所 総括研究員
           福本 徹 先生
    研究授業 13:30~14:15
    5・6年合同 算数科 授業者 西山 美和
    「速さの表し方を考えよう」

    • ・本時の展開
      1. 1. Sphero SPRK+ の操作方法を知る。
        今回、授業で使用した Sphero SPRK+(右)と、 Amazon Fire  ブレット(左)。プログラミング 教育の要素も含んでいます。

        今回、授業で使用したSphero SPRK+(右)と、Amazon Fire タブレット(左)。プログラミング教育の要素も含んでいます。

      2. 2. Sphero SPRK+ をミッションに従い、決められた距離まで動かす。
        ミッション
        授業は体育館で行いました。

        ▲ 授業は体育館で行いました。

        「よし、行けっ!行け行け〜」

        ▲ 「よし、行けっ!行け行け〜」

        「う~ん、今度こそ」

        ▲ 「う〜ん、今度こそ」

      3. 3. 本時の振り返りをする。
        ミッション

        結果をもとに、グループで話し合いました。

        ☆ 結果、距離が一定ならば、速さの数が大きくなると時間は小さくなる。時間は小さい方が速い

アドバイザーの助言と助言への対応

  • ○具体物を用いた十分な活動は、大事である。
    →ブレットで操作し、ロボットが自分の指示したとおりに動く。そこから、学習内容へと結びつける。
  • ○個別の学習
    →ICTの利点(自己採点からデーの回収し、個別の問題提示)
  • ○系統性と繰り返し
  • ○数学的活動を5・6年合同で行ったことは、良い。

本期間の裏話

  • ○研究授業当日のタブレット操作に、慣れてもらうために、事前にプログラミング教育を行いました。「プログル」を子供たちに体験してもらいました。子供たちは、苦労しながらも集中して真剣に取り組んでいました。
プログラミングでキャラク ーを動かし図形を描かせます。

▲ プログラミングでキャラクーを動かし図形を描かせます。

  • ○10/19 には、帝京大学の福島教授を招き、教員向けにSphero SPRK+の講習を実施しました。先生方、子供たちより熱中して活動していました。

本期間の成果

  • 小学部算数で、導入済みであったチエルの教材を利用し、学習の個別化をすすめている。学習内容を自己選択、自己決定させることで、学習意欲を高めることができている。
  • 小学部算数の導入で、フラッシュ型教材を活用し意欲を高めたところで、学習に取り組み学習効果を上げてきている。
  • モニターによる資料提示を、ほぼ全教科で実施している。
  • 体育館での出前授業を中継。集団に入れない児童・生徒の学習の機会を確保できた。

今後の課題

  • 普通教室に整備したICTを活用した主体的で対話な授業
  • iPad の管理 例) 持ち帰り 等
  • 不登校状態にある児童・生徒への学習指導
  • メディアルームの整備

今後の計画

  • 主体的・対話的で深い学びを展開できる環境を整備し、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善。
  • 発達障害のある児童・生徒に対する ICT を活用した支援。アプリを活用し、学習意欲を高める。
  • 不登校状態にある児童・生徒への「教育の機会確保」としての授業動画配信の可能性を探る。

研究課題

  • 小学部算数における、学年(5・6年)を解体した習熟度別学習の実施。
    ・チエル株式会社の教材を活用したら可能か。
  • 不登校状態にある児童・生徒への学習指導。
  • ICT を活用した主体的で対話的な授業。
  • メディアルームの整備。

成果目標

  • 登校率の向上

     普通教室におけるICT環境整備が進み、子供の主体性が育まれ、平成29年度は68%だった登校率を、平成30年度には69%、平成31年度には70%にする。

    ◇5月出席率
    【小学部】5年 : 47.6%   6年 : 64.3%
    【中学部】中1-1 : 65.6%  中2-1 : 80.0%  中2-2 : 65.6%
         中3-1 : 89.3%  中3-2 : 66.0%  中3-3 : 65.6%
    【全 校】70.5%(平成29年度 : 69.2%)

    ◇11月出席率
    【小学部】5年 : 60.7%   6年 : 61.9%
    【中学部】中1-1 : 83.7%  中2-1 : 59.0%  中2-2 : 68.4%
         中3-1 : 77.1%  中3-2 : 69.0%  中3-3 : 60.2%
    【全 校】 68.5%(平成29年度 : 66.1%)

  • ICT活用による学力向上

     児童・生徒に対するICTを活用した支援を継続し、ICT活用が学力向上に効果があることを教員、児童・生徒、保護者が実感する。

アドバイザーコメント
福本徹先生
国立教育政策研究所 総括研究官 福本 徹 先生

 今回は3回目の訪問でしたが、研究の目的がフォーカスされ、より深まっている印象を受けました。

 研究課題にもあるように、高尾山学園は不登校特例校です。不登校を経験した児童生徒は、多くの場合、学習空白が生じています。この空白を埋めるために、ICTの活用とともに、学習過程の工夫が行われています。ICTの活用では、デジタル教材の導入によって、学習空白に応じた指導を行うことができます。学習過程の工夫では、例えば、算数・数学は積み上げ型(小学校学習指導要領解説算数編p.12-17に学年ごとの内容が示されています)と言われますが、分数に関する内容を一気に習得する単元構成にしたり、割り算の筆算には掛け算九九が必要となりますが、必要に応じて九九シートを見てもよい、といった学習活動とすることで、学習空白に応じた指導が可能となります。国語科はスパイラル型(小学校学習指導要領解説国語編第2節参照)であるとともに教材が前面に出てくるのですが、積み上げの要素もあるとともに、学年が上がるとともに抽象的な思考が要求されるので、より慎重な指導が必要となります。

 今回参観した授業は、5・6年生合同での算数「速さ」の単元の導入部で、Spheroにプログラミングをすることで速さや時間を設定し、目標点に停止させる、というものでした。日常の事象から数学的な問題を見出すという算数科における資質・能力の育成と、体験的なプログラミング活動による情報活用能力の育成を目指し、児童自らがSpheroに働きかけることでミッションを達成する学習活動がうまく組み合わさったものでした。Spheroの実物を児童が自分で制御するという実体験は非常に大切ですし、速さの導入という算数的な視点でも有用です。また、今次の改訂では、速さの内容は6年→5年へと移行します。すなわち、5・6年生が合同で授業を行うということも、(学習指導要領移行期という大人の事情ではあるわけですが)大変良いことです。友達のデータと合わせて規則性を見出すという算数としての目標からも、5・6年生が合同で行うことで収集できるデータが多くなり、より考察が深まりますし、このような考察は今回の改訂で拡充した統計的な内容にもつながるものです。

 その他に導入した教材についても、チエルの教材を使い、個に応じた学習ができることで、学習空白を埋めることもやりやすくなるでしょう。また、モニターによる資料提示は、わかりやすい授業につながりますし、学習に対する意欲を生むことでしょう。

 授業の中継は、今回は出前授業の中継とのことでしたが、その授業を映し出すモニター画面には、教師や演者だけではなく、友達の様子も見ることができるでしょう。また、報告書にもあるように、認知特性に応じた支援という意味でも大変有効です。そして、配信する先は学校内の別室とは(技術的には)限られないので、今後の計画にもあるように、授業動画の配信にもつながるものです。

 時数に限りがある中で、多様な児童生徒に対して、様々な手段や方法・技術を駆使して学ぶ場を整えてこられましたと思います。ICTは大変有益なツールであると改めて感じた次第です。