岐阜大学教育学部附属学校

第44回特別研究指定校

研究課題

プログラミング学習による「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」の育成を目指した小中連携カリキュラムの作成

2018年度08-12月期(最新活動報告)

最新活動報告
授業実践1の取組を振り返り,学習過程を次のように整理した。......

アドバイザーコメント

高橋純先生
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岐阜大学教育学部附属学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 岐阜県 岐阜大学教育学部附属学校
アドバイザー 高橋 純 東京学芸大学 准教授
研究テーマ プログラミング学習による「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」の育成を目指した小中連携カリキュラムの作成
目的 「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」と捉えた。本研究では,これらの資質・能力を,プログラミング学習を通して育てること
現状と課題
  • 文部科学省指定「これからの時代に求められる資質・能力を育むためのカリキュラム・マネジメントのあり方に関する調査研究」に取り組んでいる。
  • プログラミング教育の実践に必要な教材については不十分(ICT機器は十分)で,実践ができていないため,カリキュラムづくりが急務である。
学校情報化の現状 iPad,PC(Mac)等のICT機器が子ども1人につき1台利用するのに十分な数が揃っている。
取り組み内容
  • 【活動内容1】プログラミング学習による小中連携カリキュラムを作成する
  • 【活動内容2】小中連携カリキュラムによる授業実践をする
  • 【活動内容3】成果を公表する
  • 2018年11月文部科学省指定調査研究の公表会(中間報告)
  • 2019年度1月106回教科研究協議会(成果公表)
成果目標
  • 子どもの発話記録や各学年のユニットの終末に位置付けた評価問題によって評価をする
  • 教育委員会や他校とのネットワークの活用
助成金の使途 プログラミング機材、研究図書、講師旅費、先進校視察
研究代表者 伊藤 泰介
研究指定期間 平成30年度~31年度
学校HP https://www.fuzoku.gifu-u.ac.jp/sho/
公開研究会の予定
  • 11月10日(土)にカリキュラム・マネジメントに係る調査研究(文部科学省指定)公表会を開催

本期間(4月~7月)の取り組み内容

○研究計画の修正

 1年間を3期に分け,各学年1学級ずつ時期を変えて授業を実施することにした。「研究実施計画」においては,①中学校(6月)②第6学年(9月)③第5学年(11月)の順で実施する計画としていたが,実践したことを評価し,改善につなげるために変更した。

研究計画の修正

○指導計画(案)の作成

 小学校においては,第4学年から第6学年で実施することにし,指導計画(案)を作成した。第4・5学年においては「順次処理」,第6学年において「分岐処理」「くり返し処理」を位置付け,段階的に学習できるようにした。

指導計画(案)の作成
指導計画(案)の作成

○職員研修の実施

職員研修の実施

 実践を始めるにあたって,職員研修を実施した。授業実践を行う第4学年から第6学年の学級担任を中心として,使用するロボットの組立,基本的な操作の仕方を研修した。

○授業実践1

第4学年における実践

【第4学年における実践】

第 1 時
 身近な生活でコンピュータが活用されていることに気付くとともに,プログラム及びプログラミングの意味を知る。

第2〜4時
 ある場所まで進むためのプログラムを,「進む」「止まる」の動きを組み合わせてつくる。

第6学年における実践

【第6学年における実践】

第 1 時
 自動車に備わっている自動制御の機能を例に,処理の流れを考え,「分岐」や「反復」の処理が必要であることに気付く。

第2〜4時
 ある場所まで進むためのプログラムを,「障害物があったら止まる」「ラインに沿って進む」動きを組み合わせてつくる。

アドバイザーの助言と助言への対応

○(助言)プログラミング学習を通して,どのような児童生徒の姿を実現するのか(児童生徒にどのような資質・能力を身につけるのか)に焦点を当てた取り組みにすること

  • ・(対応)プログラミング学習を通して身に付けたい資質・能力の評価規準にかかる先行研究から,本研究において育てたい3つの力を児童生徒の姿で具体化する。
  • ・作成した指導計画に基づいて授業実践し,その振り返りをする中で,学習活動,評価規準を修正している。

○カリキュラム作成にあたっては,プログラミング学習を,全ての児童が学習する教科(算数や理科等),今回の取り組みで実施を計画している総合的な学習の時間に留めず,クラブ活動や学校外での学習へと広がっていくものにすること

  • ・総合的な学習の時間(各学年4時間分)の指導計画を作成し,各学年で1学級ずつの授業実践を行った。
  • ・今後,教科における実践を踏まえてプログラミング学習にかかるカリキュラムを作成していきたい。

○教材については,1種類に限定せず,様々なものを試してみること

  • ・小学校児童の大半が附属中学校に進学する現状から,児童生徒が同じ教材を用いて学習することを意図したが,発達に応じた教材を選択していく必要がある。

本期間の裏話

本期間の裏話

 小学校においては,第4学年から第6学年までの指導計画を作成したが,特別支援学級の担任が興味をもち,国語の学習での活用を考えた。授業者は,ロボットを動かすプログラムを「説明書」として児童に示し,児童はそれを読み取って,プログラムを作成する。
 読み取ったことが正しかったかどうかが,ロボットの動きとして現れるため,児童は興味をもって学習に取り組んだ。

本期間の裏話

 プログラムを基にした「説明書」は,順序が明確であり,二語または三語の短文で構成されているため,助詞や文のつながりを意識して読むことに課題のある児童に対して適切な学習内容となっていた。
 作成したプログラムを実行する際には,子ども同士で,できばえをほめ合う姿も多く見られた。

本期間の成果

○研究計画の修正

  • ・実践時期を学級ごとにずらした実施計画に修正することは,実践をしてみてはじめて,設定した学習課題が児童にとって適切なものであったかどうかがわかり,評価・改善を積み重ねていく上で有効であった。

○指導計画の作成

  • ・総合的な学習の時間における各学年4時間分の学習活動を考え,指導計画(案)として示すことができた。

○授業実践

  • ・単元の導入において,身の回りでコンピュータ(プログラム)が活用されていることに気付かせたり,授業の導入で,本時の学習でどのような動きをロボットにさせたいのかを示したりすることによって,どう改善していけばよいのかを振り返ることができる姿が見られた。
  • ・児童の学習活動として,①どのような動きをロボットにさせるかを知る ②その動きをアクティビティ図に整理する ③アクティビティ図をもとにプログラムを考える ④実際の動きからプログラムを修正する ⑤より簡潔なプログラムを完成する という流れができつつある。

○職員研修

  • ・教材についての基本的な操作の仕方を職員が知ることができた。

今後の課題

●研究計画の修正

  • ・今後,継続的にプログラミング学習に取り組むことを考えると,同学年の児童に対しては同時期に授業を実施することが望ましい。指導計画の修正を行うためには,複数の職員が授業をし,その振り返りを交流することが必要である。実施時期や振り返りの交流をする場について検討する。

●指導計画の作成

  • ・小中連携カリキュラムの作成に向けて,総合的な学習の時間(各学年4時間分)の指導計画を,修正しながら実践していくとともに,プログラミング学習を,教科指導やクラブ活動として実施することなどや,夏休みの自由研究など校外で行うことを視野に入れて検討していく。
  • ・総合的な学習の時間における学習活動を考えたが,評価規準が曖昧である。実践を振り返り,具体的な児童生徒の姿から「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」の育ちを評価する計画について検討していく。

今後の計画

【 9月】アドバイザー来校①

  •  ・9/13(木)第5学年授業公開

【10月】第2期授業実践

  •  ・各学年2組

【11月】カリキュラム・マネジメントに係る調査研究公表会

  •  ・11/10(土)第5学年授業公開
     アドバイザー来校②
  •  ・11/14(水)第6学年授業公開

気付き・学び

・iPad でプログラミングをし,ロボットとBluetoothで接続するが,なかなか接続できなかったり,突然接続が切れてしまったりすることがある。こうした不安定な状況が日々の授業実践においては,授業者の不安につながる。

成果目標

○研究計画の立案

 1年間の取り組みとして「計画〜実践〜評価〜改善案」のサイクルができるよう年間の研究計画を立案する。

○指導計画案の作成

 プログラミング学習において,児童生徒に身に付けたい3つの力(「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」)が発揮される学習活動を,学年発達に応じたて位置付けた指導計画案を作成する。

○児童生徒の実態把握と評価計画の作成

 第1期の授業実践を行い,児童生徒の実態把握をする。また,設定した学習活動が児童生徒にとって適切なものかどうか,身に付けたい力が発揮されるものになっているかどうかを振り返り,評価計画を作成する。

アドバイザーコメント
高橋 純 先生
東京学芸大学 教育学部 准教授 高橋 純 先生

 コンピュータプログラムは,スマートフォンなど見た目にもすぐにわかるものから,洗濯機やエレベーターなど,世の中のあらゆる機器等に組み込まれており,生活に欠かせないものとなっています.今や専門家でなくとも,プログラミングの基本的なことを理解する必要があるといえます.このような社会の変化に合わせて,新学習指導要領では,新たに小学校でもプログラミングを学ぶこととなり,さらに中学校,高等学校での学習が一層充実することになりました。
 これまでも一部の小学校ではプログラミング教育が行われていたとはいえ,今後は全ての小学校で行われることになります.初めてのことですので,不明な点が多くあります.例えば,どのような内容のプログラミングを学べばよいのか,それはどの学年で行うべきなのか,そもそも何の資質・能力を育むためなのかといった,発達段階に応じた育むべき資質・能力やそれらに対応した学習内容を明らかにしていく必要があります.その一方で,仮にそれらが決められたとしても,それだけではプログラミング教育からの理想を述べたに過ぎません.具体に実施となれば,各教科等や校種間との接続を考えていく必要もあります.小学校の新学習指導要領では,プログラミングに関する教科が新設されたわけではなく,各教科等の中で行うことがベースとなっていますので,なおのこと難しい課題といえます。
 岐阜大学教育学部附属学校では,このような背景を踏まえて,「プログラミング学習による『論理的に考える力』『読み解く力』『言語能力』の育成を目指した小中連携カリキュラムの作成」を研究テーマに設定し,小学校のみならず中学校との共同研究で取り組むことにしました.我が国の多くの学校がもつ課題や疑問に正対した研究課題と考えられます.加えて,本校は,文部科学省より「これからの時代に求められる資質・能力を育むためのカリキュラム・マネジメントのあり方に関する調査研究」の指定を受け,2017~2018年度の2年間にわたって研究も行っています.この研究成果を発展させていけば,プログラミング教育のみからの発想に留まらず,カリキュラム・マネジメントの視点から,「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」を育むために,小学校の教育課程にどのようにプログラミング教育を位置づけ,中学校につないでいくか,総合的で体系的な研究成果が期待できます.私自身も大変に楽しみにしていますし,微力を尽くしていきたいと考えています。

本期間(8月~12月)の取り組み内容

○指導計画の修正

(1)学習過程

 授業実践1の取組を振り返り,学習過程を次のように整理した。

  1. ①場面設定は,各学年の生活場面に合わせた具体的なものにすること
  2. ②プログラムを作成する前に,アクティビティ図によって見通しをもつこと
  3. ③より簡潔なプログラムに修正すること
  4. ④振り返りの場面では,作成したプログラムとアクティビティ図を比較すること
(2)学習活動

 第4・5学年に,「順次処理」を位置付けたが,学年による発達や処理の手際のよさを味わわせるために,第5学年では,カラーセンサーによる制御を位置付けることにした。

(3)他教科との関連

 指導計画上に,「他教科との関連」を位置付けた。

(例)算数「割合」との関連

  1. ・進んだマス目の数と,プログラム上の数値を比べてプログラムを修正する。

○授業実践

【第4学年】

場面:動物飼育に取り組んでいる第4学年においては,動物にエサや水を届ける場面を設定した。

学習課題:えさと水を途中で乗せ,げんき(※飼育しているにわとりの名前)のところまで早く届けに行こう。

動き:順次処理により(「直線的な動き→止まる」と「曲線的な動き→止まる」組み合わせて)目的地までロボットを進める。

【第5学年】

場面:健康に関する委員会活動に取り組んでいる第5学年においては,けが人を救助し,送り届ける場面を設定した。

動き:第4学年同様の動きとカラーセンサーを用いて目的地までロボットを進める。

アドバイザーの助言と助言への対応

アドバイザーの助言と助言への対応

○(助言)総合的な学習の時間(プログラミング学習)と教科(特に,算数・理科)との関連を明確にすること

  • ・(対応)プログラミング学習と他教科との関連を整理して,指導計画上に位置付けることにした。(※本期間の取組内容(指導計画の修正(3))参照)

○プログラムをどのように修正していくのかを明確にすること

  • ・プログラムの「簡潔さ」を観点として吟味する場面を位置付けた。振り返りの場面において,作成したプログラムをアクティビティ図に改めて表現してみることにした。

○学年発達に応じて場面設定を工夫すること

  • ・児童のもつ限られた技能の中で,学習課題が適度な抵抗となるよう,環境(ロボットを動かすコースの長さや幅,広さ,目標の位置等)を工夫した。(※本期間の取組内容(授業実践)参照)

○学習課題に応じたプログラムの修正をすること

  • ・プログラムとしての簡潔さと現実的な実現可能性(自動車型のロボットが,プログラムが簡潔になるからといって,長い距離を後進することは現実的ではない)をどのように整理するかを考える中で,プログラム作成の観点の修正が必要であることがわかった。

本期間の裏話

本期間の裏話

 本研究では,小学校第4学年から第6学年までの指導計画を作成することを目的としているが,学校全体にプログラミング学習が広がりつつあることを実感している。

 前回は,特別支援学級の例を紹介したが,小学校低学年においても実践できる環境が整うとすぐに実践が始まった。

 保護者にも関心が高いことを踏まえ,授業参観において実践した学級もあった。

本期間の成果

○指導計画の修正

本期間の成果
  • ・学習過程を,アクティビティ図による見通し→プログラミング→アクティビティ図による振り返りとしたことは,児童自身がプログラミング学習を振り返る際に,その成果を実感する手立てとして有効であった。
  • ・第5学年の学習活動に,カラーセンサーを用いることで,ロボットを動かす時間とロボットが移動する速さから,実験的に修正をしていたことをより簡潔に処理できることを理解させることができ,その有用さを実感することができていた。また,発達段階から見ても十分に可能であることがわかった。
  • ・他教科との関連を指導計画上に位置付けることができた。

○授業実践

  • ・各学年2回目(2学級目)の授業実践であったが,1回目(1学級目)の反省点を踏まえて,学習過程を修正することができた。授業者も指導の手立てを事前に明確にして授業に臨むことができていた。
  • ・学習課題が吟味され,身近なテーマを扱うことによって,子ども同士で試行錯誤ができるようになった。また,「簡潔さ」を「命令の数」ととらえ,子どもにその数を減らすよう促すことで試行錯誤が増えてきた。

○その他

  • ・低学年においてもプログラミング学習の試みが行われるようになってきた。

今後の課題

●指導計画の修正

①振り返りの手立てとしてのアクティビティ図の活用の在り方を明確にすること

  • ・学習を子ども自身が振り返るためにアクティビティ図が有効であろうと考えている。しかし,プログラミングの中でアクティビティ図に戻って思考をする児童の姿は少なく,常に,教師からの働きかけが必要である。子どもにとって,本当に必要であるかどうかを吟味したい。

②学習活動・学習課題の在り方を明確にすること

  • ・カラーセンサーは,第5学年の児童に対しても活用可能であろうと考えている。しかし,カラーセンサーを使うことが命令の数を増やすような場合もある。使用している教材の特性を踏まえ,各学年における学習活動を吟味したい。
  • ・児童の身近なテーマを扱うことで,より現実的な視点から試行錯誤ができるようになり,その観点がより豊富になっていくであろうと考えている。子ども同士に試行錯誤を促すような学習課題を考えていきたい。

●プログラミング学習により育てる資質・能力

  • ・総合的な学習の時間におけるプログラミング学習の評価規準を明らかにし,具体的な児童生徒の姿から「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」の育ちを評価する計画について検討していく。

今後の計画

【1月】アドバイザー来校③

  •  ・1/17(木)第6学年授業公開
     ※県内の教員研修(岐阜県教育委員会主催)のための授業公開・交流会を兼ねて実施

【2月】1年次実践のまとめ

  •  ・第4学年〜第6学年総合的な学習の時間(4時間分)の指導計画及び学習プリント(学習活動・学習課題)の作成
  •  先進校視察
    ・全国でプログラミング教育に取り組んでいる学校(・地域)を視察する。

【3月】2年次研究の計画

  •  ・1年次の成果と課題を踏まえ,2年次の研究計画を立案する。

気付き・学び

・プログラミング学習において,学習課題と必要な教材を提供することで子ども同士の試行錯誤が活発に見られるようになってきた。他の教科においても,こうした試行錯誤が活発に行われるような授業を実現していきたい。

成果目標

○研究計画の立案

 1年間の取組として「計画〜実践〜評価〜改善案」のサイクルができるよう年間の研究計画を立案する。

○指導計画案の作成

 プログラミング学習において,児童生徒に身に付けたい3つの力(「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」)が発揮される学習活動を,学年発達に応じたて位置付けた指導計画案を作成する。

○児童生徒の実態把握と評価計画の作成

 第1期の授業実践を行い,児童生徒の実態把握をする。また,設定した学習活動が児童生徒にとって適切なものかどうか,身に付けたい力が発揮されるものになっているかどうかを振り返り,評価計画を作成する。

アドバイザーコメント
高橋 純 先生
東京学芸大学 教育学部 准教授 高橋 純 先生

 今回は本研究の推進に関してコメントをしたいと思います.

 まず,報告にもあるように,研究推進のサイクルである「計画〜実践〜評価〜改善案」が安定してきています.その上で授業研究が行われていますが,授業における学習過程自体も,種々の実践を通して,下記のように固定され始めています.

  1. 生活場面等の実際の場面に即した学習課題の設定
  2. アクティビティ図による学習課題の精緻化やプログラミングの計画
  3. プログラミング
  4. より課題に即したプログラムへの修正
  5. 当初のアクティビティ図と作成したプログラムとの比較によるふり返り

 もちろん,以上は,あくまでも基本のサイクルであり,このように固定しなくてはならないという意味ではありません.しかし,こうしたサイクルが決まっていくことで,例えば,学習課題をどのように設定すれば良いか,アクティビティ図による課題の精緻化とはどのように指導すれば良いかなど,教員間で授業研究をする際の議論が焦点化しやすくなります.各教科との対応を検討する際も,どのステップで教科と関連づけるかなど検討がしやすくなることでしょう.研究を順調に進めるための秘訣といえます.

 一方の児童も,基本の授業サイクルが固定化されることで,課題解決に向けた見通し,特に学習手順に関する見通しが持ちやすくなっています.つまり,学習手順がパターン化されているからこそ,学習課題を深く考えやすくなります.特にペアやグループ活動であればあるほど,学習手順がある程度定まっていないと,どのように進めるかの手順から話し合うことになり,学習課題になかなかたどり着かないケースがあります.こうしたサイクルを定めることは,発想の自由を奪うとさえいわれる場合もありますが,プログラミングのように教員にも児童にも経験が不足している中では,重要な方法であると思います.プログラミングには自由に取り組む,しかし,その周辺の学習手順はある程度,固定化しておく,これも研究や実践を順調に進めるための秘訣でしょう.

 こうした手順で,何度も実践が行われていることから,訪問する度に実践の精度の高まりや深まりが感じられます.プログラミングの実践によく見られるような児童が学習の本質ではない部分にこだわってしまうといったことがなく,プログラミングの学習に集中し始めていることがよく分かります.決して場当たり的に進んでいるわけではないのだと実感できます.さすが,これまでの数々の研究を行ってきた本校であり,今後の成果にさらなる期待が膨らみます.