岐阜大学教育学部附属学校

第44回特別研究指定校

研究課題

プログラミング学習による「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」の育成を目指した小中連携カリキュラムの作成

2018年度04-07月期(最新活動報告)

最新活動報告
1年間を3期に分け,各学年1学級ずつ時期を変えて授業を実施することにした。......

アドバイザーコメント

高橋純先生
コンピュータプログラムは,スマートフォンなど見た目にもすぐにわかるものから,洗濯機や......

岐阜大学教育学部附属学校の研究課題に関する内容

都道府県 学校 岐阜県 岐阜大学教育学部附属学校
アドバイザー 高橋 純 東京学芸大学 准教授
研究テーマ プログラミング学習による「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」の育成を目指した小中連携カリキュラムの作成
目的 「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」と捉えた。本研究では,これらの資質・能力を,プログラミング学習を通して育てること
現状と課題
  • 文部科学省指定「これからの時代に求められる資質・能力を育むためのカリキュラム・マネジメントのあり方に関する調査研究」に取り組んでいる。
  • プログラミング教育の実践に必要な教材については不十分(ICT機器は十分)で,実践ができていないため,カリキュラムづくりが急務である。
学校情報化の現状 iPad,PC(Mac)等のICT機器が子ども1人につき1台利用するのに十分な数が揃っている。
取り組み内容
  • 【活動内容1】プログラミング学習による小中連携カリキュラムを作成する
  • 【活動内容2】小中連携カリキュラムによる授業実践をする
  • 【活動内容3】成果を公表する
  • 2018年11月文部科学省指定調査研究の公表会(中間報告)
  • 2019年度1月106回教科研究協議会(成果公表)
成果目標
  • 子どもの発話記録や各学年のユニットの終末に位置付けた評価問題によって評価をする
  • 教育委員会や他校とのネットワークの活用
助成金の使途 プログラミング機材、研究図書、講師旅費、先進校視察
研究代表者 伊藤 泰介
研究指定期間 平成30年度~31年度
学校HP https://www.fuzoku.gifu-u.ac.jp/sho/
公開研究会の予定
  • 11月10日(土)にカリキュラム・マネジメントに係る調査研究(文部科学省指定)公表会を開催

本期間(4月~7月)の取り組み内容

○研究計画の修正

 1年間を3期に分け,各学年1学級ずつ時期を変えて授業を実施することにした。「研究実施計画」においては,①中学校(6月)②第6学年(9月)③第5学年(11月)の順で実施する計画としていたが,実践したことを評価し,改善につなげるために変更した。

研究計画の修正

○指導計画(案)の作成

 小学校においては,第4学年から第6学年で実施することにし,指導計画(案)を作成した。第4・5学年においては「順次処理」,第6学年において「分岐処理」「くり返し処理」を位置付け,段階的に学習できるようにした。

指導計画(案)の作成
指導計画(案)の作成

○職員研修の実施

職員研修の実施

 実践を始めるにあたって,職員研修を実施した。授業実践を行う第4学年から第6学年の学級担任を中心として,使用するロボットの組立,基本的な操作の仕方を研修した。

○授業実践1

第4学年における実践

【第4学年における実践】

第 1 時
 身近な生活でコンピュータが活用されていることに気付くとともに,プログラム及びプログラミングの意味を知る。

第2〜4時
 ある場所まで進むためのプログラムを,「進む」「止まる」の動きを組み合わせてつくる。

第6学年における実践

【第6学年における実践】

第 1 時
 自動車に備わっている自動制御の機能を例に,処理の流れを考え,「分岐」や「反復」の処理が必要であることに気付く。

第2〜4時
 ある場所まで進むためのプログラムを,「障害物があったら止まる」「ラインに沿って進む」動きを組み合わせてつくる。

アドバイザーの助言と助言への対応

○(助言)プログラミング学習を通して,どのような児童生徒の姿を実現するのか(児童生徒にどのような資質・能力を身につけるのか)に焦点を当てた取り組みにすること

  • ・(対応)プログラミング学習を通して身に付けたい資質・能力の評価規準にかかる先行研究から,本研究において育てたい3つの力を児童生徒の姿で具体化する。
  • ・作成した指導計画に基づいて授業実践し,その振り返りをする中で,学習活動,評価規準を修正している。

○カリキュラム作成にあたっては,プログラミング学習を,全ての児童が学習する教科(算数や理科等),今回の取り組みで実施を計画している総合的な学習の時間に留めず,クラブ活動や学校外での学習へと広がっていくものにすること

  • ・総合的な学習の時間(各学年4時間分)の指導計画を作成し,各学年で1学級ずつの授業実践を行った。
  • ・今後,教科における実践を踏まえてプログラミング学習にかかるカリキュラムを作成していきたい。

○教材については,1種類に限定せず,様々なものを試してみること

  • ・小学校児童の大半が附属中学校に進学する現状から,児童生徒が同じ教材を用いて学習することを意図したが,発達に応じた教材を選択していく必要がある。

本期間の裏話

本期間の裏話

 小学校においては,第4学年から第6学年までの指導計画を作成したが,特別支援学級の担任が興味をもち,国語の学習での活用を考えた。授業者は,ロボットを動かすプログラムを「説明書」として児童に示し,児童はそれを読み取って,プログラムを作成する。
 読み取ったことが正しかったかどうかが,ロボットの動きとして現れるため,児童は興味をもって学習に取り組んだ。

本期間の裏話

 プログラムを基にした「説明書」は,順序が明確であり,二語または三語の短文で構成されているため,助詞や文のつながりを意識して読むことに課題のある児童に対して適切な学習内容となっていた。
 作成したプログラムを実行する際には,子ども同士で,できばえをほめ合う姿も多く見られた。

本期間の成果

○研究計画の修正

  • ・実践時期を学級ごとにずらした実施計画に修正することは,実践をしてみてはじめて,設定した学習課題が児童にとって適切なものであったかどうかがわかり,評価・改善を積み重ねていく上で有効であった。

○指導計画の作成

  • ・総合的な学習の時間における各学年4時間分の学習活動を考え,指導計画(案)として示すことができた。

○授業実践

  • ・単元の導入において,身の回りでコンピュータ(プログラム)が活用されていることに気付かせたり,授業の導入で,本時の学習でどのような動きをロボットにさせたいのかを示したりすることによって,どう改善していけばよいのかを振り返ることができる姿が見られた。
  • ・児童の学習活動として,①どのような動きをロボットにさせるかを知る ②その動きをアクティビティ図に整理する ③アクティビティ図をもとにプログラムを考える ④実際の動きからプログラムを修正する ⑤より簡潔なプログラムを完成する という流れができつつある。

○職員研修

  • ・教材についての基本的な操作の仕方を職員が知ることができた。

今後の課題

●研究計画の修正

  • ・今後,継続的にプログラミング学習に取り組むことを考えると,同学年の児童に対しては同時期に授業を実施することが望ましい。指導計画の修正を行うためには,複数の職員が授業をし,その振り返りを交流することが必要である。実施時期や振り返りの交流をする場について検討する。

●指導計画の作成

  • ・小中連携カリキュラムの作成に向けて,総合的な学習の時間(各学年4時間分)の指導計画を,修正しながら実践していくとともに,プログラミング学習を,教科指導やクラブ活動として実施することなどや,夏休みの自由研究など校外で行うことを視野に入れて検討していく。
  • ・総合的な学習の時間における学習活動を考えたが,評価規準が曖昧である。実践を振り返り,具体的な児童生徒の姿から「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」の育ちを評価する計画について検討していく。

今後の計画

【 9月】アドバイザー来校①

  •  ・9/13(木)第5学年授業公開

【10月】第2期授業実践

  •  ・各学年2組

【11月】カリキュラム・マネジメントに係る調査研究公表会

  •  ・11/10(土)第5学年授業公開
     アドバイザー来校②
  •  ・11/14(水)第6学年授業公開

気付き・学び

・iPad でプログラミングをし,ロボットとBluetoothで接続するが,なかなか接続できなかったり,突然接続が切れてしまったりすることがある。こうした不安定な状況が日々の授業実践においては,授業者の不安につながる。

成果目標

○研究計画の立案

 1年間の取り組みとして「計画〜実践〜評価〜改善案」のサイクルができるよう年間の研究計画を立案する。

○指導計画案の作成

 プログラミング学習において,児童生徒に身に付けたい3つの力(「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」)が発揮される学習活動を,学年発達に応じたて位置付けた指導計画案を作成する。

○児童生徒の実態把握と評価計画の作成

 第1期の授業実践を行い,児童生徒の実態把握をする。また,設定した学習活動が児童生徒にとって適切なものかどうか,身に付けたい力が発揮されるものになっているかどうかを振り返り,評価計画を作成する。

アドバイザーコメント
高橋 純 先生
東京学芸大学 教育学部 准教授 高橋 純 先生

 コンピュータプログラムは,スマートフォンなど見た目にもすぐにわかるものから,洗濯機やエレベーターなど,世の中のあらゆる機器等に組み込まれており,生活に欠かせないものとなっています.今や専門家でなくとも,プログラミングの基本的なことを理解する必要があるといえます.このような社会の変化に合わせて,新学習指導要領では,新たに小学校でもプログラミングを学ぶこととなり,さらに中学校,高等学校での学習が一層充実することになりました。
 これまでも一部の小学校ではプログラミング教育が行われていたとはいえ,今後は全ての小学校で行われることになります.初めてのことですので,不明な点が多くあります.例えば,どのような内容のプログラミングを学べばよいのか,それはどの学年で行うべきなのか,そもそも何の資質・能力を育むためなのかといった,発達段階に応じた育むべき資質・能力やそれらに対応した学習内容を明らかにしていく必要があります.その一方で,仮にそれらが決められたとしても,それだけではプログラミング教育からの理想を述べたに過ぎません.具体に実施となれば,各教科等や校種間との接続を考えていく必要もあります.小学校の新学習指導要領では,プログラミングに関する教科が新設されたわけではなく,各教科等の中で行うことがベースとなっていますので,なおのこと難しい課題といえます。
 岐阜大学教育学部附属学校では,このような背景を踏まえて,「プログラミング学習による『論理的に考える力』『読み解く力』『言語能力』の育成を目指した小中連携カリキュラムの作成」を研究テーマに設定し,小学校のみならず中学校との共同研究で取り組むことにしました.我が国の多くの学校がもつ課題や疑問に正対した研究課題と考えられます.加えて,本校は,文部科学省より「これからの時代に求められる資質・能力を育むためのカリキュラム・マネジメントのあり方に関する調査研究」の指定を受け,2017~2018年度の2年間にわたって研究も行っています.この研究成果を発展させていけば,プログラミング教育のみからの発想に留まらず,カリキュラム・マネジメントの視点から,「論理的に考える力」「読み解く力」「言語能力」を育むために,小学校の教育課程にどのようにプログラミング教育を位置づけ,中学校につないでいくか,総合的で体系的な研究成果が期待できます.私自身も大変に楽しみにしていますし,微力を尽くしていきたいと考えています。