北海道高等学校遠隔授業配信センター

第52回特別研究指定校

研究課題

遠隔授業が抱える課題「学習の動機づけ」と「生徒の見取り」に対する効果的アプローチの検討
~多様な学びの環境を整え、「夢は地元で掴み取る」ことを遠隔授業からサポートする~

北海道高等学校遠隔授業配信センターの研究課題に関する内容

都道府県 学校 北海道 北海道高等学校遠隔授業配信センター
アドバイザー 重田 勝介 北海道大学 教授
研究テーマ 遠隔授業が抱える課題「学習の動機づけ」と「生徒の見取り」に対する効果的アプローチの検討
~多様な学びの環境を整え、「夢は地元で掴み取る」ことを遠隔授業からサポートする~
目的 これまでの遠隔授業の取組やパナソニック教育財団一般研究助成2年間の取組を整理すると、①高等学校における遠隔授業の実践・研究そのものが不足している、②遠隔授業に関する先行研究が指摘する「遠隔授業は学習の動機が低下しやすい」ことへどう対応するか、③遠隔授業において生徒の活動状況の見取りが困難である、という課題が未だ解決されていない現状にあることがわかる。
こうした課題の克服に向け、生徒が遠隔授業においても高い動機づけを維持する方法を検討し、かつ生徒の活動を配信側教員が見取ることができるシステムの開発をT-base全体で行なっていく必要がある。このような授業改善に向けた取組が、遠隔授業における生徒の自己調整学習能力を高めることに繋がり、ひいては遠隔授業においても多様で質の高い授業を展開することに繋がると考える。
そこで本研究では、遠隔授業における生徒の学習への動機づけと学習の見取りを中心に授業改善を実施し、遠隔授業においても多様な学習活動が実施可能であることを明らかにすると同時に、需要が増加する遠隔授業の可能性を発信していくことを目的とする。
現状と課題 【現 状】
  • ・北海道大学重田勝介先生との事前打ち合わせを実施し、計画を再構築している段階である。現時点では、今年度4月〜7月で現状のセンターにおける遠隔授業の課題の分析(実践レポート等の分析から、遠隔授業における「困り感」の集約)を実施し、その後8月〜11月にかけ、単元レベルでの「自己調整学習」の実施、12月〜3月で授業の分析を計画している。次年度については、年間を通じて生徒の自己調整学習を育むことができるような授業デザインのもと授業を実践する。
  • ・過去4年間の授業実践レポート、「授業研究ルーム」のチャット内容を分析したところ、①意思疎通と「見取り」の困難さ、②技術的・設備的トラブル、③学習意欲の維持、④合同授業・他校間交流の難しさ、⑤実験・実技教科の制約という課題が析出され、これまでの課題感とズレがないことが確認された。前年度パナソニック教育財団一般研究助成活動報告書でも実施・報告した通り、これまでのアンケート結果から映像や音声などのハード面は授業成立における衛星要因であり、授業の動機づけ要員にはならないことが示唆された。そのため①と③の項目を中心に、授業改善へ取り組むことを確認した。
  • ・授業の「困り感」については、今後教員向けアンケートを実施し、教科性の側面まで含めて蓄積を図る。その上で適切な手法を用いて分析を実施する。
【課 題】
  • ・学校全体を巻き込む、という視点からセンター教員全体での「困り感」の集約を実施し、それを踏まえて外部講師の招聘(6月オンライン、7月以降対面)を行い、個人の授業改善へとつなげたいと考えているが、個人の授業改善へ至るまでにハードルを感じる側面もある。先生方が授業改善に向けて取り組みやすい環境を作るためには何ができるか。
  • ・「学校全体」で取り組むために必要なことは何か。
  • ・4月〜7月の分析について、現状は生成AIを用いた分析を想定しているが、研究の目的や実践内容に関わる側面もある。分析の仕方・方法について専門家、大学の先生に相談できないか。
  • ・公開研究会の実施について、その方法を含め、今後どうしていくべきか知りたい。
  • ・外部サーバーの活用に向けて、どのようなルールづくりをするか、北海道教育委員会との連携を図るのか。この場合現場からのボトムアップでの産官学連携に近い形式になる。こうした事例が過去にあるか、連携をしていく場合には、どのような方法が適切なのか、知りたい。
学校情報化の現状 遠隔授業であり、ICTを使うことに教員集団として抵抗感はほぼない。個人情報を伴うデータ以外は、生成AIの活用含め、校務においても情報化が進んでいる。
取り組み内容
  1. (1)教師の「困り感」集約・分析(授業実践レポート・「授業研究ルーム」チャット・教員向けのアンケート実施)
  2. (2)自己調整学習に関わる論文講読等の定期的な勉強会の開催
  3. (3)自己調整学習の理論に基づく単元デザイン、授業公開、授業後の合評会
  4. (4)質問紙(SRQ-A、MSL-Q)を用いた量的分析と質的分析
  5. (5)生徒の活動を見とるためのアプリケーション開発とその実施(生徒の手元を見る、オンラインでの協働的な学び)
  6. (6)自己調整学習に関わる外部講師(伊藤崇達教授)の招聘
  7. (7)北海道大学と連携したT-baseコンソーシアムの開催とその際の研究進捗状況の報告。
  8. (8)全教員による公開授業実施と遠隔授業実践レポートの執筆
成果目標
  1. (1)遠隔授業の「困り感」を集約し、その内容を分析することができている。
  2. (2)質問紙を用いた調査において、効果量として有意な数値の向上(0.4)が認められる(生徒の学習の動機づけ等)
  3. (3)動機づけと見取りを重視した授業・単元の開発(1年目は3単元、2年目は年間を通じて実施)
  4. (4)生徒の活動の見取りと協働的な学びを実践するためのアプリケーションや機材器具の開発(2つ以上)
助成金の使途 NEE・全日本教育工学研究協議会旅費、講師旅費・謝礼、書画カメラ、ハイスペックパソコン、PCモニター、遠隔授業用ロボット作成費、サーバーレンタル料他
研究代表者 千葉 康平
研究指定期間 2026年度~2027年度
学校HP https://www.t-base.hokkaido-c.ed.jp/
公開研究会の予定 2026度の内容については学会発表の予定はないが、2025度の実践内容を11月実施予定のJAETにて発表をする予定