活動レポート

「2013年度子どもたちの"こころを育む活動"」表彰式 受賞者による事例発表

2013年度子どもたちの「こころを育む活動」表彰式にて、今回受賞された4団体に、実践事例を発表していただきました。
  • 全国大賞 「熊本市立出水南小学校」
  • 優秀賞  「Wonder Art Production(ワンダーアートプロダクション)」
  • 優秀賞  「みんなでつくる学校 とれぶりんか」
  • 奨励賞  「特定非営利活動法人 チームふくしま」

受賞事例発表

全国大賞:「熊本市立出水南小学校」

1000回の交流で育み続けるノーマライゼーションのこころ~隣接する学校のメリットを生かした34年間の積み重ね~

熊本市立出水南小学校は、創立以来34年間にわたり、隣接する熊本支援学校と交流を続けています。毎週火曜日の昼休みに4年生が支援学校を訪問したり、屋内外での遊びを通して交流を深めています。また、年2回開催の交流集会には両校の全児童が参加。学校全体で交流活動に取り組んでいます。 担当者の三島先生に、発表していただきました。 子どもたちのこころを育む活動表彰式イメージ6子どもたちのこころを育む活動表彰式イメージ7
34年間、交流を継続してきたさまざまな工夫。 ■夏・秋の交流集会 両校の児童が出水南小学校の体育館に集い、歌やダンスを披露し、交流への想いや願いを共有します。 夏の交流会では、子どもたち一人ひとりがメッセージを記した交流の旗を渡します。 全クラスが交流のめあてを持ち、交流集会に臨むことで、交流の意義を共有することができます。 秋の交流集会は、5・6年生が中心となって、集会を作り上げていきます。また、秋の交流集会に向けては、熊本支援学校のパートナーへの招待状を作ります。工夫して作った招待状をパートナーが喜こんで受け取ってくれることにより、秋の交流集会に向けての意欲もさらに高まっていくようです。 ■交流のうた 「交流のうた」を作り、本校の校歌と同じように、機会あるごとに歌います。熊本支援学校の校歌も同様に歌っています。 ■交流門 両校を一直線につないでいるのが「交流門」です。交流の際に、移動がスムーズにできるようになっています。 ■遊び場交流 11月頃に設置される「遊び場」。この遊び場を使って、パートナーとさまざまな遊びを生み出していくことができます。 ■日常の交流 4年生が毎週火曜日のお昼休み20分を使って、屋内・屋外で楽しく交流しています。 ■支援学校の先生方との交流 支援学校の先生方と交流日誌をつけ、教職員が連絡を密に取り、連携・協力体制を維持しています。 ■1年間の交流をまとめたビデオを放映 昨年度は熊本県立劇場で1年間の交流をまとめたビデオを放映しました。これにより、交流の意義を子どもたちと共有しています。 「34年間の流れの中では、その時々の子どもたちの実態に合わせたさまざまな取り組みが行われてきました。 今回の発表は、34年間の伝統を受け継ぎ、次に繋いでいく1コマと考えていただきたいと思います。本校と熊本支援学校の交流によって、豊かなこころが育まれる過程を感じていただければ幸いです。」と、三島先生。 子どもたちは、相互に交流することで、視野を広げたり、思いやりのこころを育んでいます。この経験は、人とつながりを持つ上での大切な基盤となり、一生の宝となるはずです。

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優秀賞「Wonder Art Production(ワンダーアートプロダクション)」

Happy Doll Project(ハッピードールプロジェクト) Happy Doll Projectは、代表の高橋雅子さんが、自分のご家族やご友人の入院生活をヒントに作り上げたオリジナルプログラムです。入院生活を送る子どもたちやそのご家族が思い思いに人形を制作し、その人形と過去の作品とを一緒に展示しながら全国リレーをしています。 担当者の橋爪さんに、プログラムについてご説明いただきました。 子どもたちが自由に思い思いの作品を作ることで、ワクワクする気持ちを感じてほしい。 子どもたちのこころを育む活動表彰式イメージ8 「病院での生活は、検温に始まり、検温に終わるというくらい、入院している子どもたちは、何から何まで決められた生活を送っています。決められた検査に、決められた食事。そんな病院生活の中で、”好きなものを作っていいよ””好きなことをやっていいよ”というのが私たちのプログラムです。 病院にすべての材料(布、ホチキス、ボンドなど)を持ちこんで、子どもたちに思い思いの作品を作ってもらいます。そして、出来上がった作品に願い事と名前を書き込んだタグをつけ、病院内で展示会を実施します。その後、全国の開催地でも作品を展示し、このキャラバンの軌跡を1冊の本にして、預かっていた作品と一緒に子どもたちにプレゼントしています。 今後の課題は、被災地での展開や、震災を機に頓挫してしまった海外進出にも着手し、みんなの笑顔を広げていくことです。そして、これまでは活動重視でやってきましたが、活動を多くの方に知っていただけるように、広報にも注力していきます。 私たちの活動は、子どもたちがワクワクするだけでなく、訪問する私たちもワクワクするものです。ぜひ、多くの方にご参加いただきたいと考えています。」 入院生活では決められたことが多い中、好きなことをしていいと言われて、最初は戸惑っている子どもたちでも、出来上がった作品に、とても喜んでくれるそうです。辛い環境にいる子どもたちが、前向きになれる。そんな活動が毎年全国、そして世界に広がれば、笑顔の輪も広がっていくでしょう。

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優秀賞「みんなでつくる学校 とれぶりんか」

中学生と卒業生をつなぎ地域を変える子ども・若者の居場所づくり 「とれぶりんか」は、阪神・淡路大震災をきっかけに設立された大阪府枚方市立渚西中学校内のボランティアサークル「ふれあいサークル」から派生したフリースクールです。中学校卒業後も卒業生が活動できる場として、生まれました。しかし、ここに集うのは、子どもや若者だけではありません。おじいさん・おばあさんや、おばさん・おじさんといった世代を超えた多様な人々が集まり、普段の生活を送る中では、出会うことがないような、さまざまな背景を持った仲間が交流しています。 代表の中川さんに活動についてご説明いただきました。 地域とさまざまな問題を抱える子どもたちを結び、子どもたちの生きる力を育む場づくりを 進めていきたい。 子どもたちのこころを育む活動表彰式イメージ9 「私たちの地域は、自殺未遂や引きこもりなど厳しい状態に追い込まれている子どもたちが多いにも関わらず、子どもたちが学校を離れてしまうと、その状態に気づきづらいものでした。私はそれまで、中学校の教員をしていましたけれど、地域とさまざまな問題を抱える子どもたちを結び、子どもたちの生きる力を育む場が必要と考え、この”とれぶりんか”を設立しました。 “とれぶりんか”では、子どもたちを支援する取り組みを核にしながら、劇公演やバリアフリーコンサート、被災地支援などさまざまな地域活動を行っています。そうした楽しい活動の中で、地域にどのような問題があるかを知ってもらい、解決につなげていくのです。 また、私たちは、問題を抱える子どもたちを福祉の対象とするのではなく、子どもたちには、そうした地域活動の中で、社会の課題を解決していく担い手として成長をしてもらいたいと考えています。 彼らは、私たちが考えられないような新しい可能性に満ちていて、世界中の子どもたち、問題の中で苦しんでいる人たちをつなげていく力があるからです。これからも、地域に必要な活動を学校・卒業生・地域が一体となり進めていきます。」 フリースクール・中学校のサークル・地域が連携しながら、さまざまな世代・課題をつなぐ地域活動を展開している”とれぶりんか”。次の野望とも言える、グローバルな展開を見据え、活動を深めています。

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優秀賞「特定非営利活動法人 チームふくしま」

福島ひまわり里親プロジェクト 「福島ひまわり里親プロジェクト」を展開する、チームふくしま。そのプロジェクトの内容は、日本全国にひまわりの種を販売し、購入者が育てた花から収穫した種を送り返してもらい、福島県内にその種を配るというものです。そして、県内にその種を撒き、花を咲かせ、ひまわりを復興のシンボルとするとともに、このひまわりで全国との絆を結んでいます。 理事長の半田さんに活動について、お話いただきました。 「花育ては人育て」という思いでプロジェクトに取り組んでくださる 教育者の方々に改めて私たちの活動の意義を教えていただきました。 子どもたちのこころを育む活動表彰式イメージ10 「私たちの活動は、福島の経済界や教育に携わるみなさんが支えてくださっているものです。プロジェクトにご参加いただいている11万人もの里親のみなさん、865校にも上る保育園、幼稚園から大学院までの園児・児童・生徒・学生・院生のみなさんのおかげで活動ができていると感謝しています。 特に、教育現場の先生方は、”花育ては、人育て”という思いを持って取り組んでくださっており、改めてこのプロジェクトの意義を教えていただいたと感じています。 私たちの理念は、”for you, for Japan”です。”何のために”ということを大切に活動しています。 プロジェクトには、絆づくりという一面もありますが、雇用対策、観光対策の側面もあります。それというのも、震災の影響で、福祉施設の作業所などでの仕事や、観光客が激減してしまったからです。 そのための雇用対策、観光対策、そして、子育てのこころを育む教育対策として問題を解決するために、ひまわりの種と絵本のセットを作り、販売しました。 このプロジェクトに参加していただいている方から、”福島に行くことは難しくても、種を育てることならできる”と、感謝の声を寄せていただくことがあります。私たちが思っている以上に、福島のために取り組んでくださる方が多く、着々と活動が広がっているのは、本当に嬉しいことです。 そして、震災では、多くのことを教えてもらいました。ピンチの時ほど明るく物事に取り組んでいると、空気が勇気に変わります。これからも前向きに、ばかばかしいことでもワハハと笑いながら、チームの仲間とこの仕事に取り組んでいきたいと考えています。」 全国で育てられたひまわりの種を福島県内で咲かせることで、全国と福島の絆を結ぶことを目的にしたこのプロジェクトに、全国の人々の願いが集まっているようです。

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