実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

活動情報/第34回特別研究指定校活動情報/第34回特別研究指定校

坂出市立府中小学校の活動報告/平成20年度1〜3月
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セールスポイント

  1. ICT機器の環境作りをする。
    ICT機器を活用するには、使いたいときに使える機器がなければ!

  2. ICT機器を活用した研究授業を実施する。
    実践してみて良さや課題を教職員で話し合い、よりよいものにしていく

  3. ICT機器を子どもが活用する方法を研究する。
    教師だけでなく、子どもも活用できるICTへ

実践経過

1. ICT機器を活用した授業実践事例発表会を実施。
写真1 全職員が実践した普段の授業実践の中から、どのようにICTを活用したら効果的だったか、活用した場面をICT活用マニュアル集にまとめて個人研修発表会を開いた。
効果的なICTの活用方法をお互いに情報交換しあった。いろいろな教科などで実践していく上での参考になった。

2. ICT機器を子どもが活用する方法を研究する。
教師だけでなく、子どもも活用できるICTへ
<実践例 第3学年 国語>
ICT活用
 音読発表会に向けて,読み取りの足跡として毎時間の板書を大判プリンタで出し,残していくことで,前時のふり返りがすぐできるよう,また,読み取りをもとにいちばん強く心に残った場面を選択できるようにした。音読発表会の練習の際には,デジタルカメラの動画機能を使用した。デジタルカメラは,操作が簡単で子どもたち同士での使用が可能である。その上,声だけでなく,発声の基本となる姿勢・口のあけ方や表情などが残せるため,自分の音読を自分でふり返ることができる。この動画機能を有効に使用し,音読の改善に活かしていった。また,書画カメラとプロジェクタを使って,子どものワークシートを映し出し,友だちの音読の工夫を知ることで,自分たちの音読の工夫のヒントになればと考えた。発表の際には,音読する場面の挿絵をプロジェクタで映すことで,より物語の雰囲気を引き立てた。
<実践の様子>
写真2:子どもたち自らデジカメを使って 写真3:ワークシートに書きこみながら
<子どもたち自らデジカメを使って> <資料からの読み取りを話し合う>

 また、授業後には、討議を行い、今回の授業やこれからの研究の方向について議論した。
<実践の様子>

写真4 写真5
3. 今年度の研究をまとめる。
3月初旬、本年度の本校の3つの研究部会ごとの取り組みをまとめて成果、課題を発表しあった。また授業実践などを成果、次年度への研究の課題などをまとめた。
 

成果と課題

●成果
  • 教員全員が、授業の中でのICTの活用を実践報告するなかで、自分とは違った視線での活用の仕方を聞くことができた。また、全体での共通理解も図ることができた。
  • これまで、実物投影機を使い大きく見せることを中心に実践を行ってきた。今回は、そこに動画も加えていきながらICTを活用することで,デジタルとアナログの融合ができた。
●課題
  • ICTに頼り過ぎて一人歩きさせてはいけない。どうしてICTを使うのか、活用をどのタイミングで行うのかもっと研究していく必要がある。
 

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 2月、当初公開授業は予定していなかった。しかし、前回12月に初めて公開を行い、外部の先生方から研究の意見をもらうことにより、本校の行っている研究のためになった。そこで、2月も公開にふみきった。公開までには、いろいろ苦労したが来年度への方向性が少し見えたのでやってよかった。
 

1年間(20年度)の実践を終えての感想

 本校は、ICTとは縁遠い学校であった。ICT機器を活用しようと思っても、十分な機器が備わっていないし、教員のICT活用の知識も意欲も低い状態であった。
 どうやれば、せっかくいただいた助成を有効に使えるのか悩んだ。でも悩んでいても仕方がない。使ってみないとわからない。
 そこで、まずはICT機器活用のよさを知ってもらうためにプロジェクタと実物投影機を使って大きくみせることを中心に実践を始めた。大きく見せることにより子どもたちの授業への取り組み方、理解度は明らかに違っているのが感じられた。
 使うごとに、そのよさは教師に受け入れられるようになり、児童の学習に対する意欲関心も高くなってきた。各学年に機器が整備されて使いやすくもなってきた。
 そうなると、今度は、教師だけが使うICTではなく、それを児童も使いこなして自らの考えを発表する手段としてもだんだん使えるようになってきた。さらに、デジタルカメラやデジタル映像を活用しての実践にも取り組んでいけるようになってきた。
 本校がサブテーマとして掲げた、すべての普通教室において、ICTの活用ができるための道具と人の環境が揃いつつある。
 本当にどう進めていけばテーマに迫っていけるのか試行錯誤の1年だったが、ICT機器の整備は助成のおかげでたいへんすすんだ。子どものために、教員のために少しでも役立つ研究ができたと思う。

次年度(21年度)への思い(課題・目標など)

 今年度は、とにかくICTとはなんだ?のレベルからの出発だったが、今は、ICTの整備も進み各学年とも自由に使う環境が整ってきた。また、今年になって動画を取り入れた取り組みを始めた。この実践を生かし、さらに効果的な活用ができるように教員一人一人が取り組みを深めていきたい。
 次年度は動画の活用にも力を入れ、無理なく教師が授業へ活用できるようなハード、ソフト面の環境を整えていきたい。
 次年度の目標は、「肩の凝らない、みんなが使いたい、そしてわかる、できる授業のためのICT」を目指します。

解説と講評

コメント:京都教育大学 教授 浅井和行先生

「教職員みんなで」

本校の本期間(1〜3月)のセールスポイントに沿ってコメントする。

(1) ICT機器を活用した授業実践事例発表会を実施。
 研究のスタート時点では、ベテランの先生方の中には何故私たちがICTに取り組まなければならないのだろうという素朴な疑問があったかもしれない。けれども、3回目の訪問時にはそのような感覚はなくなっていたと思われる。
 全教職員が実践した普段の授業実践の中から、どのようにICTを活用すれば効果的だったか、活用した場面をICT活用マニュアル集にまとめて個人研修発表会を開いたということが書かれていた。これはどの学校でも出来そうで、簡単には出来ないことである。余程教職員の心が一つにまとまり、みんなでやっていこうという空気にならないと出来ないことである。本校にはもともと教職員間のまとまりがあったのであろうが、1年間の間に学校全体でICTに取り組むことが出来るようになった珍しい学校である。

(2) ICT機器を子どもが活用する方法を研究する。
 本校では、デジタルカメラの鏡的利用が子どもたち自身の手によって行われた。声だけでなく,発声の基本となる姿勢・口のあけ方や表情などを記録に残し,自分の音読を自分でふり返ることに活用されていた。

(3) 今年度の研究のまとめを行う。
 研究の足跡を冊子にまとめられた。そして、次年度の目標を、「肩の凝らない、みんなが使いたい、そしてわかる、できる授業のためのICT」に設定された。
どのような方法で確認すれば成果として残していくことが出来るか、ともに考えていきたいと思う。
 
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