実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第40回特別研究指定校(活動期間:平成26~27年)

多摩市立 愛和小学校 /平成27年度1-3月期

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の展開
今後の展開

振り返り・評価・感想
振り返り・評価・感想

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

タブレットPCの日常化が拓く新たな教育Styleの創造
~学びの環境(授業、教師、地域)のRe-designを通して~

[成果目標]

  • タブレットPCの日常化を促すルーティンの確立
  • 活用できるアプリケーション一覧の作成
  • 代表的アプリケーションを活用した協働学習、表現活動の授業展開のモデル化
  • タブレットPCの日常化がもたらす(教員、子供の)変化の把握
  • タブレットPCの積極的活用による基礎基本の定着とキーコンピテンシーの育成

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

1月 7日 全体会(3月の発表に向けて―研究成果の確認)

1月14日 全体会(3月の発表に向けて―公開授業内容について)

2月 1日 授業研究 5年 保健体育「けがの防止」

講師:大阪教育大学 准教授 寺嶋浩介 先生

今回は身の回りの危険を防ぐために必要なことを、サウンドボックス型ゲームであるMinecraftを活用して表現する授業を提案した。一人ひとりの児童の表現の根拠や思考の過程にも目を向けさせる工夫を行った。3月の研究発表につながる授業提案を試みた。

アドバイザーの助言と助言への対応

よさ

  • Minecraftを活用した初めての授業は、どんな内容と展開になるのか非常に楽しみであった。校内研究としては提案性のある取り組みだったと考える。
  • 授業における活動時間の構成に工夫があった。準備したものを見て回るのに十分な時間が確保されていてよかった。
  • 子どもたちは熱心に学ぼうとしていた。ICTを使う良さが再確認できた。

課題

  • きれいにまとめられた授業であったが、子ども同士の話し合いで出てきた意見を整理するほうが説得力がある。
  • 教師のねらいどころに落とした授業で、最後は子どもの活動から離れてしまった。
    せっかくの構成活動を活かして、納得感が子どもの視点から得られると良い。

3/12に向けて

  • 3/12の公開における提案的授業のイメージがわいたか。Minecraft単独で授業を展開するのは難しいのではないか。対比できる他の映像や話、情報をいかにもってくるかがポイントとなる。
  • ICTを活用していくつかの情報を重ねあわせて、解決を子どもに委ねる授業を期待したい。

助言への対応

  • 3月12日の公開授業においてこれまでの指導助言をいかすべく、それぞれの担当授業で子どもたちがICTを積極的に活用して主体的に学ぶ姿を具現化しようと尽力した。

3月12日 パナソニック教育財団特別研究指定校 研究発表会

指導講評:大阪教育大学 准教授 寺嶋浩介 先生

講演:「ICTが拓く新しい教育」パナソニック教育財団常務理事 赤堀侃司 先生

研究発表会の様子

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多摩市立愛和小学校活動イメージ03 多摩市立愛和小学校活動イメージ04
 

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

本期間の取り組みは大きく二つあった。一つは3月の発表に向けての様々な準備にかかわること。一つは2月の授業提案でMinecraftを用いたこと。

このいずれにおいても教職員が一つになって、精一杯に取り組みを進めたことが何よりも嬉しいことであった。通常では年度末3月12日の発表など考えられないが、子どもの成長した姿と研究成果を最後の最後に示そうと、教職員は精一杯授業づくりに尽力した。当日は全8学級の一斉授業公開。そしてそれぞれの学級3コマの公開であったが、準備において、通信環境設定や使用するアプリケーションのインストールなど、授業に関わるインフラについても細かな点について意識が渡るようになった。

もう一つのMinecraftであるが、この新しいアプリケーションを活用した授業が3月12日の公開時に3年生以上の学年で実施できたことは大変意義あることだと感じている。子どもたちがMinecraftに集中する理由をしっかりと探り、理解することはこれからの授業づくりに大きな変革をもたらすことになると感じた。Minecraftの授業への導入の可能性を公開で示せた喜びは大きい。

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本期間の成果・2年間の成果

 

3月の発表に向け、2年間の研究の整理ができ自分たちの研究活動を振り返れたことが最も大きな成果であった。3月の発表に向けタブレット端末の一層の充実が図ることができたし、教員一人一人が自信をもってICT教育を推進できるようになった。

またMinecraftが実際の授業でも有効に活用できる可能性を秘めていることに気付いたことは大きな収穫であった。Minecraftはゲームであるが、ゲームで終わらないための教師側の視点や見方、子どもの学習の深まりを協議していくことでゲーミフィケーションを活かした楽しい、魅力的な授業づくりについての考えを共有できるようになった。

3月12日の公開には、250人近くの参観者があり、本校の研究活動の成果を子どもたちの学びの姿として示すことができた。様々なご意見をいただいたが、これをさらなる子どもの学びの充実のために生かしていく所存である。

2年間の成果

タブレット端末等は、子どもが「学ぶ」ためのツール!

このパラダイムのもと、その機能を徹底的に活用することでアクティブラーニングを実現し、魅力的な授業が創造できる方向性が定まってきた。協働学習では、タブレット端末等及び使用する各種アプリケーションの共有機能が子どもたちの「学び」を豊かにし、課題解決に向けた一人ひとりの考えを共有・一覧して比較検討する活動が子どもたちの思考力を育む。タブレット端末等をはじめICTの機能に習熟し、それを活かした授業を積み重ねることで、子どもたちが「学び」の主体(主語)となる授業実践の事実が創られることが具体的に見えてきた。この学びにおける子どもの事実が本校教員のマインドを大きく大きく変えるきっかけとなった。

アクティブラーニングは、ICTが創る!!

それは「ICTの機能が、子どもの『学び』におけるアシスティブテクノロジーとなり、一人ひとりにアダプティブな状況を創り出し、結果アクティブラーニングを促す」からだと考えている。2年半の本校での1人1台タブレット端末等のICT環境で、継続的に積極的に活用してきた現場の事実から見えてきた大きな大きな知見である。

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今後の展開

 

現在21世紀型スキルの育成が叫ばれているが、それを20世紀(工業化社会)を背景に構築された学習内容と方法で実現しようとすることに無理がある。2年半の継続的、そして積極的なタブレット端末等を活用して見えてきた方向性は、21世紀にふさわしい学習内容と方法はSTEM教育である。これからはSTEM教育の内実をタブレット端末等を活用しながら明らかにしていきたい。

従来授業の連続性における工夫・改善ではない新しい授業、それはタブレット端末等のfunctionを徹底活用したAmazingな「学び」であり、それをいくつも創造するCrazyな学校づくりを目指していきたい。

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2年間を振り返って、評価・感想(気づき)

 

パナソニック教育財団の特別研究指定校として研究活動を推進できたからこそ、今回の取り組みを行うことができたと大変感謝している。研究活動そのものの充実もさることながら、この助成のおかげで国のICT教育推進の事業にも関われたことが大変大きな収穫であった。

このまとめを執筆している時に、googleのアルファ碁が世界有数のトップ棋士を破ったニュースが流れてきた。世の中のIT化はとてつもないスピードで進展している。学校は子どもが生きる時代とtechnologyを学ぶ最先端の場である、という不易を今一度再認識してAmazingな授業を数多く創り出していきたい。

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アドバイザーコメント

大阪教育大学大学院連合教職実践研究科 准教授 寺嶋 浩介 先生

 
寺嶋先生

勢いを持って進んできた2年間にわたる愛和小学校の取り組みは,3月12日の華々しい公開研究会をもって終了した。参加された方はどのようなイメージを持っただろうか。その際の指導助言の場面において,2年間関わった立場から,私からは,次のようなことを述べた。

  • 1人1台の取り組みは,保守的ではあるかもしれないがまずはドリルから。 一番初めに定着したし,これは他の活動が入っても,継続していた。
  • その次は,子どもが見ている画面を一斉提示し,みんなで共有するということも行われてきた。これは普通教室のICT活用の基本原則と変わらない。
  • 同校の特徴として,「質より量」というのがあげられると思う。学習というのは,もちろん質が高いほうが良いが,ある時間の中で量をこなしたところに同校の特徴がある。これはすごく重要な事だと思う。
  • 今日求められている協働学習的の実施については,課題が残った。高い教師の力量,教材の検討が求められるからである。今後発展させるとすれば,児童主体の学習をファシリテートできる教師の力が求められる。
  • 1人1台端末による学習は,既存の学習をどう進めるかというよりも,新しい学習のほうがあう。同校では,交流学習やプログラミング学習,芸術教科における実践などで活用されてもいた。このような見地から提案がいろいろとなされたことは大きい。最近小学校でのプログラミング教育が議論されつつあるが,間違いなく先進的なひとつのケースとなろう。

また,同校が提案をしたのは授業のあり方だけではなく,学校のシステムそのものであったようにも思う。そのポイントは,

  • 授業研究において,教師間の協働が行われるような取り組みに発展していった。議論の質も高まった。それは,ICTを活用して進められたところにも要因がある。
  • 校務分掌,カリキュラム,教授システムの改革を進めた。また,新しいことへのチャレンジを忘れずに柔軟に取り入れた。今回の報告にあるように,ギリギリにマインクラフトの活用を入れて進めた。授業としては不十分であったとは思うが,私はその挑戦を評価したい。
  • 当初から行われていたが,企業と学校の連携を進めた。同校の大きな特長である。
  • 自校の成果を積極的に公開し,また公開することで,自身の学びにもした。

さて,同校はその後管理職が代わり,新しいスタートを切られたと耳にしている。同校は何を発展・継続させていくのか,2016年8月に最終報告が行われると思うので,それを楽しみにしている。

 

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