実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)
行事:成果報告会

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[ 講 演 要 旨 ]
学校の実践研究を活性化するために 〜研究主任はいかなる役割を果たすべきか〜
講師:大阪市立大学大学院文学研究科 木原 俊行 助教授
今日は次の3つのことについて皆さん方と考えていきたいと思っています。ひとつは、学校を単位とする実践研究、つまり校内で同僚と組織的に取り組む研究の良さと可能性。2番目が、実践研究を進めていくうえでリーダー(研究主任)が気をつけるべき大事なポイントは何かということ。そして、まとめは研究主任のアクションとして、その評価基準となるものを私なりに説明します。

1.校内実践研究の良さと可能性
まず、同じ学校の先生であれば、同じようなところに向かってほしい。つまり、うちの教員はこういうことが出来てほしいという共通の力量を求めながらも、学校によって教員に求められる力量は異なるという点を認識した取り組みが大事だということです。
なぜなら、教師が学べば子供も学ぶからです。再生という概念は、アメリカの学校文化の研究から出たのですが、教師と教師の人間関係や教師の振るまいは、そのまま学級で再現されるということが実証されています。よく学ぶ教師、あるいはよく学ぶことを仲間と共にやっている学校では、子供たちもそれを見習うだろうということが言えるわけで、これが最も素朴に学校として取り組む価値だと私は思います。
普遍的な学習と時代の要請といった面から今、読解力だとかソーシャルスキルなど新しい学力といったものが登場しています。教師は常に学力観をリニューアルさせて指導に当たらねばなりません。そこで私は、外部評価の必要性といった視点からも、教師間で互いに質を高めることが出来る機会として、研究授業を積極的に開催されることを強くお薦めします。

2.研究主任が気をつけるべきポイント
次のテーマ「学校の実践研究を活性化するコツ」、すなわち研究主任が気をつけるべき大事なポイントはここにあります。組織的な研究には組織の役割分担というものがあって然るべきです。その組織にあってリーダーを果たすべき研究主任は、教職経験が概ね10年〜20年の先生方でしょう。研究主任となった先生は、まず1年間の見通しを立てることが非常に大事なことで、ここにリーダーとしての資質が色濃く反映されると言っていいかも知れません。
スタート時点で注意しなければいけないのは何を研究するのか、つまり研究課題の設定です。先生方が様々な視点から見るようなネタ(課題)の設定が大事なのです。そして、何よりも授業による実践が第一であり、乱暴な表現をすれば「授業をしてなんぼ」の実践研究です。研究授業の回数もある程度は必要で、さらには研究授業後の生産的な話し合いが取り組みの成果を左右します。
始めに設定したネタ(課題)に基づいて研究を継続させていき、まとめとしてのふり返り。ここも大事なポイントです。研究の集大成として、例えば研究発表会。こうした機会に外部評価を受けると同時に、研究成果を実証する学力調査の実施や関係者へのアンケートなども必要になってくるでしょう。
ところで研究テーマの策定について、私は3つのポイントを据えています。ひとつは、全員で何もかもやるのではなく、例えば教科別、内容別など、活動毎に何人かで構成する幾つかのプロジェクトチームの活動、個人的な活動、全員参加の活動といったふうに整理することです。
2番目は、1年間にはハプニングも起こり得ますから、予期せぬ出来事に備える指標を設けて研究計画の策定を進めるということです。
そして3つ目として、大きくは組織に関わることです。社会一般の要請と、その学校の独自性との統合。さらには個々の教師の思いやこだわりの調整といった問題をいかに調整するかです。
さて、皆さん方の関心が高かった学力調査については、扱い方を誤ると同僚のヤル気を失わせるだけのものになってしまいます。私は、学力調査というものはその学校の取り組みの良い点を発見するツールだと定義づけています。それが学力調査の有効活用であると考えています。
学力調査は授業の見方と同じなのです。頑張っている授業には、どこか良いところがあります。同じことが頑張っている学校の取り組みにも言え、学力調査というものは、その頑張っている学校の良いところを捉える網にならなくてはいけないのです。

3.研究主任のアクションとは
研究主任はいかなるアクションをすべきかという話をまとめにします。是非これだけは、とお願いしたいのは、研究主任は〈褒め上手であれ〉ということです。日本の学校の先生は、一般的によく学び頑張っておられると思うのです。その先生の頑張りを上手く見つけられるかどうかです。
小学校を例にとれば、学級担任のA先生がいて、同学年にB先生がいる。B先生には見えないA先生の良いところが、研究主任には見えるかどうかに掛かっています。それをときにはオープンな形で、ときにはこっそりと上手く褒め称えることが出来るかどうかということです。この点が研究主任のアクションの第一段階だと思います。そして同僚の可能性を信じられるかどうか。同僚を十把ひと絡げにしないで、各先生を個別に具体的な部分で尊重できているかです。
いま、松下教育研究財団と共に研究活動として〈学校研究推進リーダー養成プロジェクト〉を進行中で、既に「学校研究推進のためのQ&A集」を公開しています。研究計画の作成、研究テーマの設定、紀要研究の企画運営、研究紀要の作成 ―― の4項目を柱にまとめたノウハウ集です。先生方の発展的な学習のお役に立つものと思います。