実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

平成28年度 実践研究助成贈呈式レポートメインイメージ

平成28年4月27日(水)、東京都江東区のパナソニックセンター東京にて、平成28年度(第42回)の助成金贈呈式を開催しました。今年度は特別研究指定校5校、一般助成校74校が助成を受けられることとなりました。
当日は、助成校の皆様に奨励状を贈呈する贈呈式に引き続き、パナソニックセンターを見学していただく施設見学、研究内容のブラッシュアップを目的としたグループディスカッション、そして助成校同士の交流を促進する情報交流会の時間をもちました。
会場にはたくさんのご来賓の方々や全国の初等中等教育関係者など約140人にお集まりいただき、大変充実した贈呈式となりました。

第1部 助成金贈呈式

理事長挨拶
パナソニック教育財団 小野元之イメージ

保護者や地域と連携して課題を解決
実践研究はその手法を学ぶきっかけ

パナソニック教育財団理事長 小野元之

私どもの財団は設立以来42年間、実践研究助成を継続的に行ってきました。そして今年度は462件ものご応募をいただいております。学校教育におけるICTの活用は、もはや一部の得意な先生だけのものではなく、すべての先生にとって必須の知識及び技術となっています。

来賓代表ご挨拶
来賓 文部科学省 生涯学習政策局情報教育課 課長 磯寿生氏イメージ

教育の情報化推進に向けて
議論が深まるICTの活用

文部科学省 生涯学習政策局情報教育課 課長 磯寿生氏
(馳浩文部科学大臣がご公務により欠席のため、祝辞を代読)

このたび、厳正な審査の結果、助成を受けられることになった79の学校・教育機関等の皆様、誠におめでとうございます。また、お集まりの皆様におかれましては、日頃より教育情報化の推進に多大なご尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。

選考経過説明
選考経過説明イメージ

エントリー数は大幅増の747件
海外の取り組みや知見も参考に

パナソニック教育財団
事務局長 藤田稔

平成28年度の実践研究助成へのエントリー数は747件で、昨年の660件から大幅に増えました。そのうち申請数は462件で、6倍の競争倍率となっております。タブレットPCを使って協働学習をしたいと希望する学校が圧倒的に多かったです。

奨励状贈呈

助成を受けられる学校の先生方一人ひとりに、小野理事長より奨励状が贈呈されました。

奨励状贈呈イメージ1 奨励状贈呈イメージ2

ページトップへ

第2部 施設見学

続いて、助成校の皆様に、パナソニックセンターの施設を見学していただきました。
1階の「アクティブラーニングキャンプ」では文化、環境、相互理解などをテーマとした展示から、オリンピックやパラリンピックの歴史や意義をアクティブなスタイルで学ぶことができます。また2・3階の「リスーピア」では、体験型展示を通して理数の原理や法則を楽しみながら学ぶことができます。教材作成のヒントにしようと、先生方は熱心に挑戦しておられました。

施設見学イメージ1 施設見学イメージ2

ページトップへ

第3部 グループディスカッション

事務局からの連絡
事務局からの連絡イメージ

特別研究指定校へのトライ、
訪問アドバイスなど新たな試みも

パナソニック教育財団
金村俊治

これから助成校の皆さんには、今日の講演やグループディスカッションを受けてブラッシュアップした改善計画のほか、学期に1度は写真レポートまたは活動報告書、終了時には研究成果報告書などを提出していただきます。これらは財団のホームページで紹介しますので、ほかの学校の活動も、ぜひ参考にしてください。

ページトップへ

講演
大阪教育大学 教授 木原俊行氏

実践研究助成をより充実させる
「4つの視点」とは?

大阪教育大学
教授 木原俊行氏

講演動画を見る

全国からお集まりの先生方、心よりお祝い申し上げます。実践研究をより充実させていただくために、大事なこととは何でしょうか。それは「教員の学び合い」です。では、どんな時に学び合いが生まれ、それが継続し、発展するのか。今日は4つの視点について考えていただきたいと思います。

ページトップへ

グループディスカッション

平成28年度の特別研究指定校と一般助成校のうち本日出席の70校が21のグループに分かれ、グループディスカッションを行いました。それぞれの学校が取り組み概要を発表した後、グループ内協議を行い、議論を深めていきました。各グループには専門委員の先生方にも加わっていただき、専門家としての立場から、研究内容をブラッシュアップするアドバイスをいただきました。
今回はその中から、特別研究指定校3校が集ったBグループのディスカッションに密着。どのような意見交換が行われたのか、レポートします。

奨励状贈呈イメージ1 奨励状贈呈イメージ2

ICTの導入で子どもたちに成果 「かく活動」をさらに追究

広島市立藤の木小学校 校長 島本圭子氏

広島市立藤の木小学校
校長 島本圭子氏

本校はICT機器を導入して足かけ7年目。各教室に電子黒板、児童1人に1台のタブレットPCという恵まれたICT環境にあります。どの教員も同じ指導ができるように「藤の木スタンダード」という規律をつくり、ICT活動を支える基盤としてきました。

意見交換
意見交換イメージ

藤の木小学校の発表に対しては、「まだタブレットを授業に導入したばかりで、ノートとの使い分けができていない」という悩みや、「使い分けをすることで、授業の質がどのように高まるのか」といった問題提起の声があがりました。

ページトップへ


「BYOD」で使える端末を増やしICTの実践事例を教員間で共有

大阪教育大学附属平野小学校 教諭 松浦智史氏

大阪教育大学附属平野小学校
教諭 松浦智史氏

本校は今年度、この実践研究助成に加えて、文部科学省の研究開発学校「未来そうぞう科」にも認定されました。

意見交換

この平野小学校の発表に対しては、「どのような組織体制で研究に取り組むのか」という質問が出ました。

ページトップへ


ICTを使ったプレゼンテーションで思考力・判断力・表現力をはぐくむ

茨城県古河市立上大野小学校 校長 滝本秀夫氏 教諭 薄井直之氏

茨城県古河市立上大野小学校
校長 滝本秀夫氏
教諭 薄井直之氏

本校は全校児童106人の小規模な学校で、ICT導入のモデル校として、教育委員会から児童1人1台のiPadが配られました。

意見交換
意見交換イメージ

上大野小学校の発表に対しては、「プレゼンテーションに限らなくても、もっと活用できる場面はあるのではないか」といった意見も出ました。

ページトップへ

全体講評
赤堀先生イメージ

地方再生からデータ管理術まで
どの研究にも光る独自のアイデア

パナソニック教育財団
常務理事/選考委員
赤堀侃司氏

皆様、ご苦労様でした。私が回った8グループの中から、ほんの一部をピックアップします。大阪市の高校からは、生徒たちが開発した商品をネットで販売しようという、地方再生の鍵になりそうな取り組みが発表されました。また北海道の養護学校では、視聴覚認知に課題のある子どもが学ぶアプリを開発できないかということで、実物とICTそれぞれの教材にできることは何かが議論になっていました。
ほかにも、リストバンドで測定した生体情報をクラウド上で子どもたち自身がデータ管理していこうという取り組みや、ICTを活用した授業への意欲をどう継続させていくかという授業スタイルの研究など、どのグループの学校の研究も独自のアイデアが光っていました。

ページトップへ

第4部 情報交流会

赤堀先生イメージ

このあと、助成校の皆様には2階ブリッジへとご移動いただき、情報交流会の時間をもちました。皆様、名刺交換やご歓談などを通して、思い思いに他校との親交を深めていらっしゃいました。
贈呈式や講演、グループディスカッションなど、この日1日を通した感想と研究に向けた意気込みを、3名の参加者におうかがいしました。

参加者の声
松浦智史氏イメージ

特別研究指定校
大阪教育大学附属平野小学校
松浦智史氏

BYODが、いかにインパクトのある重い言葉かということをつくづく思い知らされました。僕自身も予想はしていたのですが、これほどの反応があるとは思っていなかったので、その重圧を今さらながら感じています。今日のような学びの場へは何度も足を運んでいますが、そのたびにいろいろな方からご意見をいただいて、新たな気持ちになれます。これからの2年間、皆様にしっかり教えていただきながら、特別研究指定校として頑張ってまいります。

ページトップへ

中森邦広氏イメージ

特別研究指定校
兵庫県篠山市立丹南中学校
中森邦広氏

ICTを活用することで生徒の学び方を変えると同時に、教師の資質向上や教育水準の維持にも役立て、いずれは市全体にそのシステムを構築したいというのが私たちの方針です。今日の木原先生の講演を聞いて、その方向性は間違っていなかったんだと確信しました。グループディスカッションでは高校ともご一緒しましたが、学校が抱えている事情や研究の進め方はどこも似たり寄ったりで、「そうだよね」とわかり合える部分がたくさんありました。

ページトップへ

宇治川雄大氏イメージ

一般助成校
山形県立山形聾学校
宇治川雄大氏

グループディスカッションは管理職や大学教授など、さまざまな方からのご意見を聞くことができる、ありがたい機会でした。全体講評でも話題になった、従来の教材とタブレットのどちらをどの場面で使ったほうが有効かという線引きについても深く考えさせられました。聾学校として1年間しっかり計画を立てて実践研究に取り組み、ここでの成果を聴覚障害教育全般に広げていけるよう、頑張ります。

ページトップへ

番外編 参加者アンケート

グループディスカッションで専門委員の先生から、視点、内容、方法等について具体的にアドバイスをいただき、大変参考となりました。他校の先生方との意見交換では、特に先進校の様子から、自分たちの学校にとって何が必要なのか何を優先して研究を推進していけばよいのかについて、見通しがもてました。グループで一緒になった先生、ご指導いただいた専門委員の先生と適時連絡をとらせていただきながら研究を推進していきたいと思います。

↑このページトップへ