実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

平成24年度 実践研究助成贈呈式レポート
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平成24年度実践研究助成贈呈式去る5月25日(金)に平成24年度 助成金贈呈式がパナソニックセンター東京にて行われました。本年度の応募総数は383件、その内見事に選考を突破し80校が助成対象となりました。

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当日は文部科学省関係者、ご来賓、助成校80校の代表の先生方、選考委員・専門委員の先生方、及びパナソニック関係者など合計約140名の方々にご出席頂きました。

■助成金贈呈式

理事長挨拶

遠山理事長

開会宣言の後、パナソニック教育財団 遠山敦子理事長より挨拶がありました。北は北海道、南は与論島まで遠方からお集まり頂いたこと、関係者へのお礼の後、「『しっかりした知力、学習し続ける意欲、子ども同士、先生と子どもとのコミュニケーション力向上』の実現のために、重要な役割を担っていくツールとしてのICT教育を、今後も財団として支援していきたいと考えている。」ことや、「助成校を訪問していつも感じることは、基本的生活習慣を第一にとらえておられることです。訪問者への明るい挨拶、他人に対する思いやりなど、生き方の基本を大切にした上での学びの大切さを大事にしてほしい。知・徳・体のねらいを日常の中でしっかり展開してほしいと願っています。」と挨拶。
最後に助成校にお願いとして「今回のプロジェクトを進める上でICTを得意とする一部の先生方ではなく、学校全体を巻き込んでほしい」ことや、「成果を学校内にとどめず地域に普及しできれば全国に展開してほしい」という財団の想いを伝えました。

来賓祝辞

合田隆史局長

来賓としてご出席予定だった平野文部科学大臣が、公務でご欠席のため、文部科学省 生涯学習政策局 合田隆史局長がご祝辞を代読されました。
助成を受けることとなった80校へのお祝いのお言葉を述べられ、21世紀を生きる一人ひとりの子ども達の多様性を生かしつつ、ICTを活用したコミュニケーションを通じて、時間的空間的枠を超えた新たな価値、個々の特性に応じた個別対応教育などを推進して欲しいこと、また今回の取り組みが「教育の情報化ビジョン」に資するものだという観点からも、様々な情報や通信メディアを利用して、豊かな人間育成が大きく花開くことを願っている、というメッセージをくださいました。

選考経過報告

下田昌嗣 常務理事・事務局長

パナソニック教育財団 常務理事・事務局長 下田昌嗣より選考経過報告がありました。申請助成概要の説明として、本年度の応募は47全都道府県すべてから応募があり、一般362校、特別研究校21校の合計383校だったこと、今年度の特徴としては、「タブレット端末」の使用や、新学習指導要領をふまえた「活用型学力」「言語活動」「探求型学力」「協働学習」がキーワードとして多く出現していることなどについて発表しました。

選考は以下の7項目を点数化、また過去助成履歴や昨年度未採択地を考慮したことを説明しました。

  1. テーマ設定
  2. 継続性
  3. 計画性
  4. 具体性
  5. 独自性
  6. 助成金の有効性
  7. 還元性普及性(特別研究指定校のみ)

第38回 実践研究助成 贈呈

各学校の代表の先生がお一人ずつ登壇し、遠山理事長より第38回実践研究助成が贈呈されました。それぞれが熱い思いを胸にしっかりと受け取られた様子でした。

奨励状 奨励状

パナソニックセンター見学

今回会場となったパナソニックセンター東京にはRisupia(リスーピア)というその名の通り「理数の魅力を体感できるミュージアム」が併設されています。自然に潜む算数や数学の美しさ、身近な暮らしの中にある理科の面白さを肌で感じることのできる体験型展示です。

3階ディスカバリーフロアは、一人ひとりに携帯端末が配布され、イヤホンで説明を聞きながら体験できます。「3色の色を重ねて色を作ろう」「レンズを使うと大きく見えるのはなぜか」「サイコロの目の確率」などなど、先生方が「難しいなぁ〜」などと言いながらも必死で取り組んでおられる姿がほほえましい場面でした。2階クエストフロアでも展示を見るだけでなく、実際に触ってその仕組みを学ぶことができ、時にスタッフに質問を投げかけながら、大変興味深く見学されていました。
またぜひ子ども達と訪れて頂きたいと思います。

パナソニックセンター東京
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くるま座ディスカッション
くるま座ディスカッション

特別研究指定校グループ、その他は地域ごとの17グループに分かれて、実践概要を発表し合い、意見交換や情報交換を行いました。ここでは、いくつかのグループについてその内容をご紹介します。


関東Vグループ

関東Vグループ
専門委員 武蔵大学 中橋先生
早稲田大学本庄高等学院
千葉県立行徳高等学校 理科
十文字中学高等学校
二宮町立一色小学校

小、中、高とバリエーションのあるグループでした。早稲田大学本庄高等学院は「9年間の交流校(インドネシア)と作り続ける国際フリーペーパ―」を研究課題として、作成されたフリーペーパーを示しながら、やみくもにやった感がある1号からレイアウトもよく工夫した2号について説明されました。Facebookを活用していることや、インドネシアと日本の文化の違いからコラボレーションすることの難しさにも触れつつ、生徒達の頑張りと下級生へうまく受け継いでいけているという効果についても話されていました。

中国・四国Uグループ

中国・四国Uグループ
専門委員 早稲田大学 浅田先生
     鳴門教育大学 村川先生
倉敷市精思高等学校
メディアとのつきあい方学習実践研究会
世羅町立世羅西中学校
松山市立味酒小学校

メディアとのつきあい方学習実践研究会の研究課題「非常時におけるメディア活用に備えた授業実践のための指導事例集の作成」について、専門委員の浅田先生は「指導事例集だけでなく、どうやって作ってきたかというプロセスがあると参考になる」「コミュニティーとしての問題と大きい問題(マスメディアなど)を分けて考える」こと、またこのプロジェクトが災害時以外の場面でも生かされていくことが大切だとアドバイスされていました。

中部Vグループ

中部Vグループ
専門委員 東京未来大学 北澤先生
     江戸川大学 波多野先生
燕市立燕東小学校
南アルプス子どもの村小学校
岐阜県総合教育センター
愛知県立みあい養護学校

みあい養護学校は昨年度作成されたプロモーションビデオをグループの皆さんに披露されていました。パナソニックプロジェクトチームすなわち「PP団」とチーム名づけられ、先生方の意気込みが伝わってくる内容、かつ子ども達の自然に楽しく学んでいる姿がたくさん詰まったプロモーションビデオでした。歯磨きアプリ、スケジュール管理、券売機を使う練習など、ICTの導入後子ども達の様子が変わったと話されていました。子ども達で自らフォルダー管理をしていたり、いつの間にか壁紙が変わっていたりして、先生方も驚かされているという嬉しい報告もありました。
みあい養護学校ではiMacですべてを管理されていて、それぞれの学年で使うアプリをチョイスしているそうです。他校の先生は「ウイルス対策」についてなどの質問をされていました。


くるま座ディスカッションは約1時間。同じ志をもった先生方同士熱心なやりとりがなされ、どのグループももう少し時間がほしいといった印象でした。終了の合図の後、財団の下田常務理事・事務局長より「実践にあたってのおねがい」として、今後のスケジュールの確認や、情報化チェックリスト入力、今月の一枚の投稿などについて説明がありました。財団として今後も情報発信と交流をサポートしていきたいと考えています。

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情報交流会

場所を2階の特設会場に移し、軽食をとりながら引き続き交流を深めて頂きました。参加された先生方の中から数名にインタビューさせていただきました。


福岡県立戸畑高等学校 前田毅先生 福岡県立戸畑高等学校 前田毅先生
Q.助成に応募されたきっかけは?
ホームページを見て役立ちそうだと思いました。自分の学校にとどまらず、色々なところに広めていけたらと思っています。助成校に高校が少ないのが不思議だと思います。


京都市立一橋小学校 木村明憲先生 京都市立一橋小学校 木村明憲先生
Q.助成に応募されたきっかけと今後の子ども達の姿について教えてください。
教育委員会からの紹介です。子ども達が主体的に楽しんで取り組み、問題解決的学習力を高めてほしいと思います。小中一貫の9年間でぜひ力をつけてほしいと考えています。

徳島県立盲学校 小杉企史先生 徳島県立盲学校 小杉企史先生
Q.助成を受けられた感想をお聞かせください。
助成を受けることができ、本当に有難いと思います。生徒のために、見せ方考え方を模索しながら実践をしていきたいと思います。タブレットは前の黒板が見えない生徒のため、黒板代わりに利用したいと考えています。またどこでも自分のやりやすい方法でパソコンを使って学習できるようなシステム構築を考えていきたいと思っています。

日本福祉大学国際福祉開発学部 学部長 教授 日本福祉大学国際福祉開発学部 学部長 教授
影戸誠先生(専門委員)

Q.本日の感想と助成校に期待すること一言お願いします。
「協働」「地域連携」を意識した期待できる実践が多かったと思います。21世紀型スキルを磨いて、これらの実践をどのように他に伝えるか、普及させるかということが大切です。チョーク1本で上手な授業ができる先生は、ICTの活用も上手だと思います。今後いい成果がでると期待しています。

長崎大学大学院教育学研究科 准教授 長崎大学大学院教育学研究科 准教授
寺嶋浩介先生(専門委員)

Q.本日の感想と助成校へ期待することを一言お願いします。
特別研究指定校のくるま座では、どのように普及させるかという情報活用について話し合いがもてて、良かったと思います。ICTを得意とする一人の教員が進めるのではなく、校内全員が同じ方向を向いてほしいし、周辺校の拠点となってほしいと思います。ぜひ自分達の取り組みを多くの人に見てもらって評価してもらい、心地よいプレッシャーを感じて前進してほしいと思います。


およそ4時間、参加者の先生方にもあっという間の時間だったように思います。各々の学校が抱えておられる問題や課題は様々でしたが、共有できる仲間の存在は大きかったのではないでしょうか。これを機会に積極的に財団のホームページなどを活用し、交流を重ねていただけたらと思います。また学校全体で共有して課題に取り組んで頂きたいと願っています。