財団活動日記&ニュース
2011年3月4日
 伝え合う、学び合うためのICT活用
 

2月18日(金)、京都教育大学附属桃山小学校で研究発表会が行われました。

今回は、京都教育大学附属桃山地区三校園(幼小中)での連携教育研究会であり、附属桃山小学校では、財団の特別研究指定校としての研究成果を一部公開しました。

当日は幼稚園・小・中学校の3会場で20の授業が公開されました。
幼稚園〜中学校までの12年間で、研究テーマの「伝え合う力」や「自立と共生の力」 がどのように育まれるのか。実際に、幼中・小中など異年齢が交流する活動や単独の授業の中で連携プログラムが実践され、その後の協議会で研究内容が明らかにされました。

拝見させていただいた授業はどれも素晴らしく、協議会での提案も非常にわかりやすく内容の濃いものでした。今回は拝見した授業の中から、国語の授業を中心に紹介したいと思います。

小学3年生の国語「新聞を使って学ぼう」では、授業前に1分間スピーチでウォーミングアップをしていました。

同校では、毎朝 全クラスで実物投影機とデジタルTVを使ってこの活動を行っており、本クラスは、これから行われる授業にあわせて、自分の興味のある新聞記事を紹介していました。

記事の内容や選んだ理由などをわかりやすく説明するのは小学3年生にしては難しいことだと思うのですが、自分のノートを拡大提示しながらだと、安心して行えるようでした。

記事を拡大提示して発表 興味を持った記事をノートにスクラップ

さて、いよいよ授業です。
本時は、新聞の見出しの役割について考える授業です。

まず、実際にいろんな記事を見て、見出しからどんな内容かをみんなで考えました。ここで使われたのは、実物投影機。素早く提示できる上に、1つの情報を全員で共有できるので焦点化も図れ、大変効率よく授業が進みます。

デジタルTVで新聞記事を拡大提示 気づきは先生が板書にまとめます

いくつかの記事を見ていくうちに、子どもたちは、伝える立場(新聞社)によって、情報の切り取られた方が異なることや、それらの表現方法がいくつもあることに気がつきました。

次に、実際の新聞記事(「アホウドリが聟島に里帰り」という記事)に自分なりの見出しをつけることに挑戦しました。

まずは一人で記事を読み、見出しを考えます。わからない言葉は辞書で調べ、気がついたことや自分の考えを記事やノートに書いてきます。

ここでは1つの記事を拡大提示で共有するのではなく、一人一人が記事を手元において活動を行っていました。このように、「手元で参照するものはアナログ」で、「全員で共有するものはデジタル」で、という使い分けも大変素晴らしいなと思いました。

1人で考えた後は3人の班で、1つの見出しを考えます。それぞれが考えた見出しを発表し、よりよい見出しづくりのために相談をします。おそらく10分もなかったと思うのですが、ここで一気に内容がブラシュアップされました。

<作った見出しの例>
・他のアホウドリはうらぎった?
・聟島にアホウドリ、おかえりなさい
・母鳥が「おかえりなさい。アホウドリ」
・聟島から帰ってきたアホウドリ。はん殖するか!!
・特別天然記念物 アホウドリ 里帰り
・ひさしぶり伊豆諸島         などなど

班ごとにつくった見出しは
ミニホワイトボードで発表。
全部が一覧できます。
 

疑問形を使ったり、感嘆符を使って強調したり様々な工夫がなされており、大変上手に見出しを作っていました。とても初めて挑戦したとは思えませんでした。

授業の最後に、見出しづくりの工夫や感想を子どもたちが発表したのですが、
「里帰りを他の言葉で考えると『おかえりなさい』になった」、
「3人のよいところをつなげて作った」
「3人で考えることで、よりいいものができた」
など、
見出しのつくり方の工夫だけでなく、協同する良さも学びとっており大変感銘を受けました。


発表している班のものは先生が手に持って提示。そうすることで焦点化されます。

その他にも、小学2年生の算数「はこの形をしらべよう」でも、ICTを上手に活用して授業を行われていました。

まず、はこが成立するために必要な条件(頂点や辺、面の数)を、子どもと一緒に、自作デジタル教材でおさえていきました。(①)このように色・動きなどを使って、わかりやすく説明できるのはICTのいいところですね。その後いくつかの展開図を見比べて、はこになるもの、ならないものをみんなで予測しました。(②)考えがあっているのかは、実際にはこを作って確かめます。(③)やっぱり実物を使って確かめることが大切なんですね。その後、もう一度、自作デジタル教材でそれぞれのパターンで、はこができるのかを確かめました。最後に、今日の授業で何を学んだのか?学習が楽しかったか?また、わかりやすかったのか?をそれぞれがシートに書き込み、1日の学習を振り返りました。(④)


○ 国語科 研究協議会
  情報の読み書きを通して、思考力・判断力・表現力を育てる
  〜新聞を活用した幼小中連携プログラムの創造〜

国語科では、幼小中の学びを貫くテキストとして「新聞」を選び、連携のプログラムを開発されてきました。

新聞を選んだのは、

  • 国語科における学習効果が期待できる
  • 社会的視野が広がる
  • 発達に応じて読み深めができる
  • 学齢を超えて協同学習をする際、話題が共有しやすい
などの理由からだそうです。

研究発表会では、幼稚園単独、小学3年単独、小学4年生と中学1年生の交流の3つの形態で授業が公開され、それぞれの取組みについて、当日の写真や今までの授業実践の動画などを交えながら、わかりやすくプレゼンテーションされており、このように先生たち自らが率先して、ICTを使いこないしているのが、大変印象的でした。

  

○ 全体会

全体会では、文教大学の嶋野道弘先生から「子どもの学び・教師の教え〜学びの基軸をした教育の改善〜」というテーマで講演がありました。

中でも印象的だったのは、「現代における有能性」についてのお話です。かつては、知識のある人が有能とされてきましたが、現代における有能とは「学び続けること」だとおっしゃられました。

また、「主体的な学び」とは、子ども任せにすることではなく、意図的に子どもたちが主体的になるよう、授業を設計することであると主張されました。

<主体的な学びが成立するための要素>
・「よくなる」ことを意図する
・「学びがい」を求める
・「自分づくり」や「自分さがし」が行われる
・学びを支える人々(学び合う友、学びの先達・教師の存在)

最後に、学び続けるためには「伝え合う力」が不可欠であることをお話されました。 感動・思考・理解・英知の触発・語らい、ときめき、愛を感ずる・・・・
すべては言語(コミュニケーション)があってこそ成立するものであり、だからこそ、言語力の育成をしっかりやっていかなければならないと締めくくられました。


当日は全国から約730名の方がこの研究発表会に参加されました。

京都教育大学附属桃山地区の三校園は、なんと15年前から研究連携をとってこられたそうで、今年は、同一の研究主題のもと合同研究を開始して10年目だったそうです。

「子どもの側から発想した教育観」に基づき、「自立と共生の力」をもった子どのも育成を目指してこられた桃山小学校では、すでに十分に「人間力の育成」について研究が進んでいると感じました。

今後は、人間力の育成にどのようにICTが関わっていくのか?2年目の研究で明らかになっていくのが大変楽しみです。


京都教育大学附属桃山小学校の今までの活動報告

京都教育大学附属桃山小学校の基本情報
平成22年8月〜12月の活動報告

財団職員によるレポート

「子どもの側から発想した教育」を参観(平成23年2月8日)
京都教育大学附属桃山小学校の授業研究会へ行ってきました(平成22年11月9日)
京都教育大学附属桃山小学校に行ってきました(平成22年6月28日)


2011年3月4日(金)UP (中田)

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