ビデオづくりのヒント

1.はじめに

2.企画について

3.現場での撮影や肖像権

4.撮影についてのコツ

5.編集について

6.「編集」と「仕上げ」

7.DVDへ書き出す際の注意事項について

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○機材を使って見よう!

日頃、縁のないような大きなカメラ―。
なかなかとっつきににくいと感じている先生も
少なくないと思います。とはいえ、皆さんに
配布しているカメラはフルハイビジョンが
SDカードに記録できる高性能モデル!
どんどん使わない手はありません。

実は、カメラの撮影はスポーツに似ています。
練習すれば上手くなるし、練習しないとルールも
分からないまま。最初は失敗に恐れず、どんどん
触ってみたいものです。

実際のストーリー作りに入る前に、クラスで
カメラに親しむ期間を設けてはどうでしょうか?

特にテーマを決めずに、子どもたちにどんどん
撮影してもらうと、子どもたちも少しずつ
カメラに馴染んでいくはずです。
そう、100本ノックのように!

そうするうちに、子どもたちは、大人以上に鋭い視線で、
様々なモノを捉えるはずです。

 

○ビデオ作りの環境を整える

さて、ビデオ作りを始めるに当たって、まずは
環境の整備をしてください。

まず、カメラを撮影する際に利用するバッテリー。
チャージが不十分だと、撮影途中で切れてしまう
可能性があります。常時フルチャージしておきましょう。

また、編集用のパソコンを整備する必要があります。
今回、利用するカメラはHDを記録できる特殊な
SDカードを利用しているため、パソコンに映像を
取り込む際、「HDwriter」というソフトを必ず利用します。

以下のページの「HDwriter」を利用するさいの推奨環境が
記載されていますので、ご確認ください。
http://panasonic.jp/support/video/connect/env/hd2_1.html

また、編集ソフトも準備しましょう。
無料のソフトとしては、Windowsのムービーメーカーや
Appleのi-movieなどが、PCに既にインストールされています。
またAdobe premiere Elements など、1万円台でも
細かな編集ができるソフトもありますのでよく検討して、
導入してください。


○企画~題材の選び方

企画は、ビデオ作りの中で、最も重要な作業の
一つです。

良く作品づくりが出来るかどうかは、子どもたち
がいかに主体的に企画に関わるかにかかっていま
す。

先生があらかじめ「環境をテーマに作品を作る」と
決めていたとしても、それ以外はなるべく子ども
任せてみましょう。
日常的に不思議だと感じていることや、取材して
みたいこと、表現してみたいものなどを自由に
出してもらい、その中で、子どもたちが最も
気に入ったアイディアを選ぶと良いでしょう。

これをブレーンストーミングと呼びます。
なるべく風呂敷を広げて、そして関連している
ものをいくつかのカテゴリーとして結びつけ、
最後に1つだけを選ぶのです。

その時に重要なのは「誰に伝えたいのか?」。
ただ漠然と「世界中の多くの人たち」というの
はいけません。

お母さんとか、田舎のおじいちゃんとか、
日本の政治家だとか、メッセージを伝えたい
具体的な相手が明確だと、その後のビデオ作りが
スムーズになります。
「その人がビデオを見て、何て言ってくれるかな?」
この気持ちが作品作りの原点なのです。


○企画書を書いてみる

企画が固まったら、企画書作りをします。企画書
づくりは、小学生にはまだ難しいかもしれません。
その場合は、先生が子どもの意見を集めて書いて
みます。

書くことは3つ。
1つ目はタイトルです。仮タイトルでも良いので
みんなで意見を出し合いましょう。
2つ目は企画意図。なぜその作品を作るのか。
理由や背景を500字くらいでまとめます。
そして3つ目は構成要素です。
どんな流れのビデオするのか、完成したビデオを
イメージしてながら取材先やその内容を書いてみます。

企画書はあくまでも、料理でいうとレシピですから、
買い物(取材)をするうちに、少しずつ中身が
変わることがあります。
ただ、書かないのと書くのでは大違い。
最初のイメージをクラス(クラブ)で共有し、
取材・撮影をスタートしましょう。

これで、取材に出る前の準備が整いました。
ドラマの場合は、これに加えてシナリオも必要です。
ドキュメンタリーの場合も、あらかじめ作成すると
便利ですが、かえってそれが縛りになるとイキイキ
とした内容になりません。
おおまかなシナリオだけを用意しましょう。

企画はとにかくじっくりと時間をかけてください。
また、企画内容やの詰め方や方向性に悩んだときは、
KNWのホットラインに気軽にご質問ください。

さて次回は撮影です!お楽しみに。


○撮影の準備

さて企画や構成が固まったら、次は撮影です。
といっても、あせってはいけません。

まず重要なのがカメラの準備。
(1)バッテリーが満タンになっているか
(2)SDカードの空き容量が十分か
(3)マイクの使用方法を理解しているか
(4)イヤホンを持っているか
(5)三脚の使用方法を理解しているか
など、確認しておく必要があります。

機材が高価だからといって、先生ひとりが
全ての段取りをする必要はありません。
生き物を育てたり、スポーツをするのと同じで、
機材のチェックや管理は、撮影を担当する
子どもも一緒に参加できると、カメラに
対する愛着や責任感がわき、より良い作品に
結びつきます。


○取材マナーと肖像権

ここ数年日本では、ビデオカメラで撮影されること
に対し、多くの人が非常に神経質になっています。
学校教育の場でも、インターネットや携帯電話に
関するリテラシーの観点から、「プライバシー」に
ついては教える機会も多いと思います。

ただ、「プライバシー」に敏感になるあまり、
撮影に際して自主規制したり、萎縮したり、
することは、あまり良いこととは言えません。
「肖像権」や「プライバシー」の侵害は、
泥棒や強盗、殺人などといった犯罪と異なり、
撮影対象や取材相手がどう感じるかによって、
相対的に起こってくる衝突です。

ですから、気持ちよく取材をするにはまず、
取材相手と信頼関係を築くことが大切です。
また、あらかじめ「取材のお願い」を
書面で用意するとよいでしょう。

学校の授業と聞けば、たいていの場合は
ご協力いただけると思いますが、KWNの場合は、
ネットで配信される可能性もありますので、
完成後どのように発表するかなども、事前に
伝えて、了解を取り付けたほうが安心です。
また公道や公的な場での撮影は、腕章をつけ、
取材者であることをきちんと知らせます。

ところで、このビデオ作りの機会に
子どもたちに伝えていただきたいのは、
「プライバシー」よりむしろ「表現の自由」です。
「表現の自由」とは、国家や誰からも制約されずに
一人ひとりの個人が、自由にものを考え、自由に
行動できる権利(精神的自由権)の一つで、
基本的人権の中でも特に重要な人権とされています。

ビデオ作りを通して、表現することの楽しさや
また伝えたいことを明確にする力をつけるとともに
取材や表現することには責任が伴うことや、
人を傷つける可能性があることに
子どもたちが少しずつ気付くことが、真の意味で
メディアリテラシーの力を高めていくことに
つながると思います。

取材の仕方や法的な問題で悩んだときは、
KNWのホットラインに気軽にご質問ください。

さて次回は撮影の実践です!お楽しみに。


○楽な姿勢をとろう

ビデオの撮影というと、とかくカメラを振り回し
たくなります。KWNの場合は、カメラが大きい
ため、きちんと三脚をつけて撮影している方が
多いようですが、たとえ小さなカメラで撮影しても
基本は「フィックス(固定)」であることを
覚えておきましょう。

三脚の使い方は、慣れないと時間がかかります。
もたもたしているうちに、肝心の獲物がいなく
なっては大変です!素早く三脚を扱えるよう、
撮影チームは、日頃から練習すると良いでしょう。

もちろん、カメラが落ちたりしないように、
常に細心の注意が必要です。

また三脚を利用せずに手持ちで撮影するときは、
足を肩幅に広げ脇をしめると、ブレません。
とにかく楽な姿勢が基本。
そばに、柱や机などがある場合は、体の一部を
添えるだけでも、安定感がぐっと高まります。


○音の収録

ところで、ビデオ撮影というと映像のことばかり
気にしていませんか?実は、映像と同じくらい
大切なものに、音声があります。

音声は当然マイクから集音されます。KWNで
貸し出しているカメラの場合、内臓マイクのほか、
外付けのハンドマイクを使用できます。

インタビューなどをするときは、必ずマイクを
使いましょう。音がぐっと引き立ちます。
マイクの接続方法は、以下で確認してください。
http://panasonic.co.jp/cca/kwnjp/manual/data/081113_mic.pdf

なお、貸し出しているマイクは単一指向性の
マイクです。単一指向性マイクというのは、
マイクの先の音のみを拾う特性があります。
ですので、マイクのはなるべく、音源から
垂直になるように向けて集音してください。

また、インタビューなど音を収録する場合は、
ヘッドフォンをつけて、必ずモニターしましょう。
生き生きとした音は、映像や作品を引き立てます!


○大切なプレビュー

編集は、撮影したビデオをカットごとに切り、
順番を入れ換えて、ストーリーを作っていく
作業です。どんなに上手に撮影できても、
この編集作業が行われなければ、
たいていのビデオはたいくつなものになります。

撮影から帰ってきて、まず最初にやることは
撮影してきたビデオをじっくりと見ることです。
これを「ラッシュ素材の試写(プレビュー)」と
呼びます。

もし作業する時間があれば、撮影してきた
素材を1カット1カット、紙に書き出します。
どのように撮れているかを細かく書き出して
リストにすると、後々の編集作業が格段に楽になります。


○編集環境を整える

ビデオ編集は時間がかかる、根気の必要な作業
です。編集を行う前に、まずはスムーズに編集
できるよう環境を整備しましょう。

編集を行う際に必要なものは、
(1)編集を行えるだけのスペック(性能)のPC
(2)付属の専用カードリーダー
(3)編集用のソフトウエア
(4)映像を保存する大容量のHDD(※)
(5)付属ソフト「HD Writer 2.5J for HDC」(※)
(※必要な場合)
以上の4点です。

今回、Panasonic社が提供しているビデオカメラは、
SDHCと呼ばれるフラッシュ・カードに画質の高い
ハイビジョン映像を記録することができます。

ただし、このように画質の良いHDを編集する場合、
非常に高いスペック(性能)のPCが必要となります。
自分の学校に配置されているPCで編集できるかどうか、
その確認もしてください。

編集ソフトには様々な価格帯の様々な機能の
ソフトウエアがあります。
詳細は以下のページをご参照ください。
http://panasonic.co.jp/cca/kwnjp/manual/data/081113_edit.pdf


○ビデオの取り込み方

まずは、素材をPCに取り込む必要があります。

取り込む場合は、付属の専用カードリーダーを
利用するか、またはPCと彼らを直接、ケーブルで
接続します。

使用するPCが、ハイビジョン映像を編集できない
機種の場合は、ハイビジョン画像をやや画質の劣る
SD画像に圧縮する必要があります。このように
HD画質からSD画質に変更することをダウンコン
バートといいます。

ダウンコンバートを行うには、付属ソフトウェア
「HD Writer 2.5J for HDC」をPCにインストールし、
変換作業をします。
詳細は以下のページをご参照ください。
http://panasonic.co.jp/cca/kwnjp/manual/data/081113_edit.pdf


○編集はまず構成ありき

編集は撮影した素材を切ってつないで、ストーリを
紡いでいく作業です。面白くするのも、つまらなく
するのも、ほとんどこの編集によるーといっても
過言ではありません。

では、どうつなげていくかー。

学校の授業でビデオ制作をする場合、撮影前に
立てた構成に最後まで固執してしまう場合が
少なくありません。しかし、これでは生き生き
したビデオにはなりません。

実際に撮れた映像の中から美しい映像や内容の
あるインタビューなど、印象の強い映像をきちんと
生かせるように、構成を見直します。

また長いインタビューが続きすぎたり、似たような
カットが続くと、見ている人が飽きてしまうので
変化をつけて編集しましょう。

1人で編集するのではなく、複数で編集したり、
あるいは、一度編集したものをみんなで見るー。
などを繰り返していくと、より良いものが出来て
いきます。


○音が大事

撮影でも音が大事ということはお伝えしましたが
編集においても音はとても大事です。

時々「現場の音」をすべて消してしまう人がいますが、
これはお勧めできません。臨場感が全くなくなって
しまいます。

ナレーション・現場の音・インタビューの声、音楽
これらの音のバランスをうまく組み合わせながら、
編集すると、メリハリのある印象の強いビデオ作品が
仕上がりますので、最後の音調整は丁寧にしたい
ものです。

ナレーションの原稿は、なるべく簡単で、簡潔な
言葉を選び、音読をしながら書いていきます。
はっきりとした声で吹き込み、他の音に負けない
ようにしましょう。


○音楽の著作権

音楽を使用する場合には著作権に注意する必要が
あります。

現在、YouTubeやニコニコ動画などのネットサービスは
日本著作権協会と包括契約をしているので、特別
権利処理をしなくても、自分の好きなCDを自由に
利用することが出来ます。

しかし、このKWNのように上映会を設けるような
場合には、著作権フリーの音楽を使う必要があります。

著作権フリーの曲を探すには以下の方法があります。

■1:クリエイティブコモンズライセンスの楽曲を利用する

クリエイティブコモンズとは、一定のルールの下で
著作権使用をクリアにするライセンス規定で
最近は、レコード会社のコロンビアがクリエイティブ
コモンズライセンスを設定しました。

◆コロンビアの楽曲は、非営利であれば自由に利用できます。
http://www.otorevo.jp/label/good+crew/

◆このほか、多数のクリエティブコモンズルールを利用した
音楽配信サイトは国内外に多数あります。

http://tkomine.com/
http://magnatune.com/

■2:WEBサイトからのダウンロード

◆クリエイティブコモンズライセンスを導入していなくとも、
1曲100円~150円、あるいは無料で利用できるという
サイトもあります。

例えば、
http://free-midi.net/
http://kya.art-studio.cc/download.html

■3:レンタルCD屋で探す。

レンタルCD屋さんにも、著作権フリーの音楽が置いております。
それを視聴して借りる方法があります。

■4:CDを買う

著作権フリーで比較的安いものを学校の図書館に揃えるというのも
良いアイディアかもしれなせんが、価格が高いので計画的な導入が
お勧めです。

音楽選びは大変ですが、子どもたちと一緒に探すと
それだけで、楽しい経験になると思います。


○DVDへの書き出し

去年、私は初めてKWNのプレ審査に参加しましたが、
残念ながら、いくつかの応募作品が視聴できないと
いう事態が発生しました。その理由は、DVDへの
書き出しがきちんと行われていなかったようです。

PlemiereLEやiMoveなど、編集ソフトでDVDへ
書き出す場合には、大きな問題はありませんが、
MovieMakerやPanasonicの付属のビデオ制作ソフトなどを
利用して編集する場合は注意が必要です。

せっかく撮影・編集しても、上映ができなければ、
審査の対象になりませんので、最後の最後まで
気をつけて作業してください。

1.ファイナライズ

ソフトウエアにもよりますが、映像をDVDにコピー
しただけでは、書き込みが終了していない場合があります。
きちんとファイナライズの作業を行ってください。

2、2000~03年頃のDVDビデオ作成ソフトは要注意

少し古いPC用のDVDビデオ作成ソフトは、正しい規格の
DVD-Videoに準拠していない場合があります。
PCでプレイができても、DVDプレイヤーでは視聴できない
ので注意が必要です。


○最終チェックをお忘れなく!

DVDが書き出せたら、必ず別のPCかDVDプレイヤーで
確認作業をしましょう。作業をしたPCで確認しても
全く意味がありません。

なるべく大きな画面とスピーカーを利用して、始め
から最後まで、クラスの子どもなどなるべく大勢で
一緒に視聴し、音のバランスや字幕が画面の中に
納まっているかなど、細かくチェックしましょう。

ちなみに、字幕は画面の75%よりも内側に入れないと
テレビモニターで見たときにはみ出してしまいます。
このフレームを安全フレームと呼びます。

最後に、DVDのディスク面は汚さないように気をつけ、
破損しないようエアパッキンなどに包んで応募すると
安心です。

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