先導的実践研究助成
小田 和美 東京女子体育大学 准教授

 新しい学習指導要領では、情報教育は、各教科の活動の中に埋められ展開されることになっている。先日公表された「教育の情報化に関する手引き」にもそのことが示され、情報教育の解説の章でも、各教科における学習指導要領の内容が再編成され提示されている。しかし、各教科での学習指導要領の項目は、あくまでも教科の活動の中での情報活用やICTの活用の部分であり、これを抜き出して例示しただけで、情報教育のカリキュラムの構成(特に「主体的な課題意識を持って問題解決のために、情報を収集・加工・まとめ、発信するプロセス体得の必要性)を、読み取るのは困難である。

 一方、PISA型学力など、OECDを中心に検討されている学力の定義や評価方法では、明らかに知識理解から、判断力や創造力、発信力、コミュニケーション能力といった能力に焦点をシフトしている。これから10年続く新しい学習指導要領の展開でも、その面をかなり意識し、教育現場に対し、求められる能力が何であるかを、啓発するとともに、実践を積極的に支援していく必要がある。

 申請者が所属するNPO組織「情報ネットワーク教育活用研究協議会」では、現場の先生方の参加をつのりながら、これまで10年近くにわたって、情報教育のねらいに即した実践をサポートするための教材や目標整備などを進めてきた。特に前の学習指導要領では、小学校では総合的な学習の時間において情報教育を展開することになったが、教科書や指導の手引きなどが公的には公表されなかったこともあり、現場でどのように授業を展開すれば情報教育でねらっている学力が身についていくのか、多くの現場の先生方にとっては手探り状態であった。そこで、まず情報教育の3つのねらいと具体的な学習活動を明らかにする目標リスト(作成には20名以上の研究者・現場の先生方が参加)を開発して公開した。また、地域で情報教育を体系的実践してきた現場の先生方の協力を得て、授業展開の事例をまとめたWebページ「総合的な学習の時間での情報教育カリュキュラム」「情報教育 教材レシピ100選(2002)」などをまとめ、公開している。しかし、これらは前回の学習指導要領における情報教育の枠組みに即したものであり、教科での展開を軸にした、新しい学習指導要領との枠組みには合わず、改版が求められる。

 一方、申請者らは、昨年「情報教育能力育成モデルカリキュラム(2010)」など、新しい学習指導要領に対応した情報教育の目標リストを開発しWebで公開した。また、過去3年間、文部科学省の先進的プログラムにおいて、コンピュータを利用した情報活用能力判定の実地テスト(e-testing)を開発し、利用できるようにした。 これらは、それぞれのプロジェクトで別々に開発され進められてきたものであるが、開発グループの主メンバーは、同じであり、協力者も重複している。

 そこで、本研究では、メンバーで協力して、今後の教育現場での情報教育の展開のために、教材レシピ、情報教育の新目標リスト、評価のためのe-testingなどを、目標を介して相互に利用できるような、新学習指導要領に対応した『情報教育の実践・評価のためのポータルサイト』の構築に着手したいと考える。

【お役立ちコンテンツ】
 情報教育の実践と評価のためのポータルサイト