先導的実践研究助成
永田 智子 兵庫教育大学大学院 准教授

 今次の学習指導要領家庭科の改訂内容を見ると、新規事項として2学年間の学習の見通しを立たせるためのガイダンスに関する内容が含まれた。家庭科は5年生の児童が初めて学習する教科であるため、家庭科に対する不安を和らげ、興味関心が持てる授業開きにあたるガイダンスの時間を大切にしなければならない。その他の学習内容は現行の学習指導要領に準拠しており、既存の学習指導案や教員の得意とする分野、他校の研究内容さらに、各教科書会社が開発中のデジタル教科書を参考に実施することができる。しかし新しく設定されたガイダンス内容については先行実施がなされていないため、適切な指導法はどのようなものなのかといった教員の不安の声があがった。それをうけ2学年間の学習の見通しを立たせるためのガイダンスに関する教材・教具や指導案の作成が急務であると考えた。

 ガイダンス教材に関しては特別な支援を必要とする児童はもちろん、家庭科を学習する全児童が家庭科をイメージしやすく、家庭科に対して関心を持ち意欲的に取り組めるものでなければならない。

 家庭科は5,6年生の担任もしくは家庭科専科にならなければ、関わりがなく指導力の向上を図りにくい教科である。しかし表1のように1,2年生の生活科を始め、他学年、他教科、総合的な学習の時間との関連が特に多く、既習項目の発展的内容を含む教科である。どの教科のどの単元が家庭科のどの課題へとつながっていくのかは、全教員が指導上知っておくべき基本事項である。

教 科 項 目  〈学年〉
国語 言語活動(文章表記、発表、話し合い、インタビュー、考える、調べる、)全般〈全学年〉
算数 量と測定〈3年〉
理科 沸騰〈4年〉日なたと日かげ〈3年〉もののとけ方〈5年〉空気や水の性質 〈4年〉葉の蒸散作用〈6年〉空気と温度〈4年〉植物の発芽、生長〈5年〉
社会科 食料生産〈5年〉ゴミの処理〈3,4年〉
保健 室内環境と健康〈3,4年〉
生活科 お手伝い・洗濯物のたたみ方・成長 〈1,2年〉
総合的な
学習の時間
環境領域、福祉領域、地域調べ、まちづくり、税についての学習、情報教育、買い物、郷土料理、食育、その他〈全学年〉

そこで、主になる教材にデジタル絵本を導入したいと考えた。絵本(絵と文章から構成された本)仕立てにし、家庭科の具体的な学習内容や他教科のとの関連を示す映像等の資料をリンクさせることで、視覚、聴覚の両方からイメージしやすく、わかりやすく提示することが可能である。教員にとっても理解を深めることが期待できる。また、この研究は新学習指導要領の総則(第1章4の2(9))各教科の指導の共通点である視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図る点に合致している。このことを、より具体的なものにするため本研究会が組織された。

 2010年度は、ガイダンスにおいての教材・教具、指導案の検討を重ね、試作をいくつか考案した。これを引き継ぎ2011年度の研究に3つの目的を設定した。

  1. 小学校家庭科におけるガイダンスのためのデジタル絵本教材の効果を検証しパッケージ化をする。
  2. このメディア教材を使用した授業実践の結果を研修会等で共有し、より有効な教材活用方法についての研究を進め、他校での実践へとつなげていく。
  3. このメディア教材を生かし振り返り教材の開発をする。

 このねらいに向け、研究メンバーと共に研修を進めていくことは、現場の教員に有益な成果物の提供ができる意義あるものと考える。

【お役立ちコンテンツ】
 家庭科かくれんぼ