先導的実践研究助成
榎本 聡 国立教育政策研究所 主任研究官

 本研究では,国立教育政策研究所が提供する予定の,教育情報ナショナルセンターで収集した学習オブジェクトメタデータ(LOM)に対して,簡易なハードウェアによって検索が実現できるシステムの構築をすることを第一の目的としている。また,LOMに収録しているデジタル教材の授業での活用方法を,指導案・実践事例として提供することにより「デジタル教材の使い方がわからない」といった教員の支援機能を持つことを第二の目的としている。さらに,第二の目的の延長線上にあるが,本システムで検索したデジタル教材を使った結果(指導案・実践事例を参考にしたか否かは問わず)を新しい指導案・実践事例として登録してもらうことにより,叡智の還元を図ることを考えている。

 平成22年8月に,文部科学省が発表した「教育の情報化ビジョン(骨子)」では,デジタル教材について「質の高いデジタル教材をデータベースとして集積・共有化していくことが重要であ」り,「各地域で作成された質の高いデジタル教材を効果的に収集・提供するために,全国レベルでの集積・共有化を検討することも重要である」とされている。また,一例として「現在,インターネットで提供されているデジタル教材の情報を掲載しているサイトである国立教育政策研究所教育情報ナショナルセンター(NICER)において(中略)専門家や教員等による評価の紹介(中略)を行うことが重要である」と書かれている。教育の情報化において,特に4月に施行される新しい学習指導要領においては,これらの実現は極めて重要なことである。しかしながら,昨年末に実施された政策コンテストにおいてNICER事業を含む政策パッケージはC判定となり,23年度予算案でゼロ査定となったことから,23年3月をもって,その機能を停止することとなった。したがって,各地域で質の高いデジタル教材を制作,あるいは収集・共有化しているか,Google等の一般の検索エンジンで効率よくデジタル教材を検索できる情報スキルを持った教員以外は,4月以降に全国レベルでの質の高いデジタル教材を検索,利用することは容易でないこととなった。翻ってNICER事業であるが,これは全国からのアクセスを想定し,ネットワーク回線や機器の二重化,負荷分散装置,動画像のストリーミングサーバ等,多種多様な機器から構成されており,検索機能だけを取り出すことが困難である。しかし,約10年をかけて収集した優良なデジタル教材に関する情報(=LOM)を廃棄するのはもったいない。そこで,国立教育政策研究所は,LOMの無償提供をすることとなった。LOMはデータベースだが,検索エンジンがないと活用はできない。そこで,本研究によって,従来のNICERのような複雑な機器構成ではなく,簡易なハードウェア(無償のウェブサーバソフトウェア・データベースシステム)で実現できる検索システムを構築し,提供する。

まずは,国立教育政策研究所が提供するLOMを検索できる仕組みを作る。また,300件を目標に,LOMに収録されたデジタル教材を利用した指導案・実践事例を収集,提供する。さらに,本研究所教育課程研究センターにおいて,国立教育政策研究所が提供するLOMの新指導要領・新教科書対応を次年度中をめどに実施する予定である。次年度内に対応付けができたものについては,本研究において検索できる仕組みにおいても,新指導要領・新教科書に対応させたものとする。これらの成果は,ウェブサイトとして提供するとともに,ダウンロードして自由に利用可能(無償提供)できるようにする。

【お役立ちコンテンツ】
 教育の情報化支援サイト