・文京区立第六中学校 /平成27年度1-3月期 |
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研究課題と成果目標 |
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[研究課題] 教科教育における言語活動の促進と実践事例の定型化について [成果目標] これまでの取り組みで確認できた有用性を軸に取り組みを発展させ、自他の評価から言語活動へ扱う範囲を広げて推進し、他教科、他校でも展開しやすい事例の定型化の取り組みを行う |
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本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応 |
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[取り組み内容] 1月
2月
3月
アドバイザーの助言と助言への対応 ・助言 教科ごとに育てたい力を明確にし、その過程としての思考方法について指導・支援の工夫を進めた方がよい。 ・対応 校内研修の一環として、各教員が「教科として育てたい力」、「具体的な単元の指導計画(具体的な方法)」、「言語活動例」、「ワークシートの工夫例」を提示し、意見交換を行うとともに、アドバイザーより指導・講評をいただいた。また、指摘いただいた点をもとに公開授業の指導案を見直し、再度アドバイザーに添削いただくなど内容を深め、公開授業を実施した。 |
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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など) |
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うれしかったこと 今後の研究の方向性など、各教科の教員から意見や質問が出るようになってきたこと。 苦心談 取り組みに充実感を覚えてきたが、行事や進路指導等で十分な時間が取りづらい時期が重なり、全員が揃った中での意見交換や思考方法工夫の検討、授業への反映が納得いくまで取り組みにくかったこと。 |
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成果 |
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教科における検討の深まり 育てたい力や具体的な手立てを各教科で検討したことにより、教員側の疑問点が明確になり、意見交換が進むなど、研究推進に効果があった。 授業における実践の定着 タブレットPCを道具としてグループでの言語活動に活用し、多面的なものの見方や表現の仕方を学ぶ授業が定着してきた。 授業公開 区の中学校教育研究会と併せて開催することで、他校教員や教育関係機関の方などより広い方々に取り組みをご覧いただけた。 |
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今後の課題 |
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・新年度開始からスムーズに研究推進する為、今年度取り組みと来年度方針をまとめる。 - 方針や取り組みの具体的内容 - 授業で使えるICT機器の内容と活用方法 - 異動を考慮した資料準備と研修計画 |
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今後の計画 |
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4月 教員向けICT研修①(電子黒板やタブレットPCについて) 研究計画についてのガイダンス(研究方針と内容、実践についての周知) 6月 教員向けICT研修②(校務支援システムについて) 7月 1学期まとめと夏季休業中の検討事項の確認 9月 2学期の実践についての確認 10月 授業研究・協議の開催 11月 授業研究・文京区教育指導課による指導・講評 12月 2学期まとめと冬休み中の検討事項の確認 1月 検討事項についての協議と授業における実践 2月 授業公開と今年度取り組みの成果報告 3月 2年間のまとめ |
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1年間を振り返って、成果・評価・感想(気づき)・次年度への思い |
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・成果 教科横断的な考え方と、教科の本質に関わる捉え方を意識して、育てたい力を再認識しながら授業の流れやワークシートの構成を見直す道筋ができた。 ・評価 年度はじめの段階から、研究の方向性や個々の課題に対する理解が明確でない部分があり、思うように研究が進まないことがあった。 ・感想 難しいテーマを設定したことで、教えることの奥深さを再認識できた。また、最新の動向を知ることもでき、生徒や社会の動きに対する教員全体のアンテナが高くなったと感じた。 ・次年度への思い 今年度の経験を踏まえ、各教科における思考力と表現力の育成について、実践を通して指導や支援のあり方を工夫改善し、生徒の確かな学力の育成に資する形にまとめていきたい。 |
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アドバイザーコメント |
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信州大学 教育学部 技術教育講座 教授 村松浩幸 先生 |
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第六中は,「教科教育における言語活動の促進と実践事例の定型化について」を研究課題に据えて研究を進めている。近年注目されている思考ツールが,教科を越えた汎用性に特徴があるのに対し,六中の取り組みは,教科の固有性を重視した思考法として取り組んでいる点に特徴がある。 1-3月期の活動では,年末の「宿題」として,「教科の本質的な思考」について考え,ワークシートを全教員が作成し,校内研修において,検討を行った。全校体制での取り組みが小学校に比べ難しいとされる中学校において,全教員が取り組んだということは高く評価できる。 こうした成果の一端は,1月の技術・家庭科技術分野の公開授業において見ることができた。CM制作の設計段階の授業であった。前年は,ワークシートに絵コンテを描いたり,制作計画を記入したりするなど,言語活動にも一定配慮されていた。しかし,「伝えるべきメッセージ」「伝えたい対象」といった基本的な設計の思考が不十分であったために,奇をてらった表現や類似の表現作品が多く見られた。今回の授業では,この基本的な設計の思考に重点をおき,既存CMをその設計の視点から分析した上で,「伝えるべきメッセージ」「伝えたい対象」を考えるというステップを踏んだことで,グループ毎に主張が明確で,工夫された絵コンテが多数生まれた。また,生徒らのこうした思考の過程をくみ取れるようにワークシートも構成されていた。 技術・家庭科での実践を参考にしながら,全教科で同様に展開していくことが2年目の課題である。教科の本質的な思考を明確にしたワークシートを開発し,ICT活用と連携させ,実践事例を蓄積していくことで,研究課題を達成することができると考える。 夏から秋にかけて,研究がやや停滞している感があったが,全教員で取り組む体制で研究を進めたことで,教員間の意見交換や研究の方向性についての意見等,研究の進展に効果が見られたようである。また,教科の本質的な思考法=教科での本質的なものの見方や考え方にじっくりと取り組むことは,生徒らに将来に渡って活用できる力をつけさせるためにも重要である。とりわけ多忙な中学校であるが,こうしたことに取り組める時間を工夫して生み出し,実践化につなげていって欲しい。 |
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