実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)
行事:成果報告会
分科会1/第34回(平成20年度)
第1部【分科会T】 12分科会で成果報告と協議
共通テーマをめぐって、校種別(小学校・中学校・高校・特別支援教育)に12分科会が開かれました。そのうち、A分科会での成果報告と協議の内容を要約します。(*B〜L分科会については、テーマ・校種・指導者名(敬称略)を掲げ、写真による紹介とします)
[A分科会]
 第34回特別研究指定校(活動期間:平成20年度〜21年度)4校ならびにオブザーバーとして第35回特別研究指定校(活動期間:平成21年度〜22年度)3校が参加。
 指導者の赤堀 侃司・白鴎大学教授、木原 俊行・大阪教育大学教授、野中 陽一・横浜国立大学准教授にアドバイスを賜りながら、1年間の活動を終えた中間時点における貴重な報告と質疑応答が交わされました。
(1) 富山市立山室中部小学校
 〜日常の授業における基礎的な学力向上のためのICT活用指導法の開発〜
  • 3つの視点(1.生活規律確立のための指導法、2.基礎学力定着のためのモジュール学習指導法、3.日常の授業改善を意図した指導法)から開発が進められた。
  • ICT活用事例集を作成した。
  • 公開研究会を開催した。
  • 残された課題が3項目(1.全校一貫の指導体制 2.個別指導の時間確保 3.効果的な指導法の研究)ある。
<山室中部小学校の発表に対する質問と回答から抜粋>
Q. 各教室のICT機器設置状況は?
A. 全教室(特別学級の教室含む)に実物投影機、スクリーン、プロジェクタを設置している。
Q. 生活規律の指導において留意していることは?
A. パタン化せずに担任の工夫を尊重しつつ、同時にまた特定の担任による ほころびが生じないよう、指導の一貫性に留意している。
(2) 三次市立三和小学校
 〜思考力・表現力を育成する授業の創造〜
  • 「考える」「表現する」「伝え合う」を軸に、授業改善の視点として次の4点に留意している。
      1.効果的なICT活用
      2.活動・単元の工夫
      3.個に応じた指導
      4.ことばの力の育成・活用
  • 研究の評価・改善サイクルの確立を図る。
  • 校内研修の工夫による研究の共有化と活性化を図る。
  • ”児童の学力向上”と”ICT授業活用力の向上”が課題となっている。
<三和小学校の発表に対する質問と回答から抜粋>
Q. 学期毎の研究授業はどのようにして実施しておられる?
A. ひとりの教師が年に3回(つまり学期に1回)実施している。ICTは何をどのように活用するのか提案してもらっている。
Q. 学力向上には生活習慣が関わってくるが、生徒指導は如何に?
A. 本校では研究部と生活部に分かれているが、生活実態を把握して、それぞれに課題解決を目指している。
(3) 坂出市立府中小学校
 〜個に応じた学習支援活動を通して、意欲の向上と基礎・基本の定着を図る〜
  • 同校教員に対するICT意識調査の結果が注目を集めた。その中で「ICT機器の活用は学力向上に有効だ」と考えている教員は、「まあまあ」を含め87%だった。ところが「ICTを準備するのが苦になるか否か」を問うと、「やや」を含め81%が「苦しい」として、次の5点を研究ポイントに挙げている。
      1.ICT機器活用のための環境整備
      2.ICTを効果的に活用するための研修の実施
      3.ICT活用マニュアルの作成
      4.研究授業での実践
      5.教師・児童の意識調査を通して成果を評価
<府中小学校の発表に対する質問と回答から抜粋>
Q. 意識調査をしてから後の教師の様子は?
A. 先生方も徐々にICTを使い慣れてきたようである。
Q. 特に個別に支援した点は?
A. 算数は4年生以上で児童の習熟度に応じたICT活用をしている。子ども達は、ICTを使って友達に教えたくなるようだ。
Q. 平成19年度に一般の実践研究助成を受けておられるが、研究の積み上げという点において2年間継続活動の特別研究助成との違いは何か?
A. 単年度助成を頂いた前回は、教師間でICTどころではないという雰囲気があった。しかし今回は、難しいことはやめて、皆が出来ることを少しずつ実践していこうというスタンスで臨んだ。
(4) 上越市立城北中学校 〜地域と進めるキャリア教育の展開〜
  • 「夢や目標を持って主体的に活動する生徒を育むカリキュラム」づくりとして、大きく二つの柱を立てた。ひとつは「道徳・特活・総合が統合したカリキュラム」であり、二つ目は「地域交流活動カリキュラム」である。
  • 1年生は「模擬店舗経営」、2年生は「連続5日間の職場体験」、3年生は「上級学校訪問体験」と、学年毎に異なった活動を体験させた。
  • 学校・家庭・地域との連携が不可欠な課題だけに、地域交流活動カリキュラムでは多彩な活動を展開した。
  • こうした結果、生徒の意識改革につながり欠席や遅刻が減少したほか、家庭や地域での変容が顕著になった。
      例.学校に生徒をほめる電話が増加した。
        保護者と生徒の合唱団が発展して、地域の合唱団が誕生した。
        小・中連携して、地域ボランティア220名の登録があった。etc.
<城北中学校の発表に対する質問と回答から抜粋>
Q. 生徒にHP作成能力があるのはどうしてなのか?
A. 技術家庭の授業で基本を学んでいて、個人的にもそうした能力に秀でた子どもが作成している。
[B分科会]
 テーマ:活用力
 校 種:小学校
 指導者:京都教育大学教授 浅井 和行
[C分科会]
  テーマ:情報モラル
  校 種:小学校
  指導者:宮崎大学教授 新地 辰朗
[D分科会]
  テーマ:言語力・読解力
  校 種:小学校
  指導者:首都大学東京准教授 北澤 武
[E分科会]
  テーマ:ふるさと学習
  校 種:小学校
  指導者:日本女子大学教授 吉崎 静夫
[F分科会]
  テーマ:情報モラル・教材開発
  校 種:中学校
  指導者:十文字女子学園大学教授 井口 磯夫
[G分科会]
  テーマ:キャリア教育・プロジェクト学習
  校 種:中学校
  指導者:山梨大学准教授 成田 雅博
*写真 IMGP3074
[H分科会]
  テーマ:教材開発
  校 種:中学校
  指導者:江戸川大学准教授 波多野 和彦
[I分科会]
  テーマ:キャリア教育・コミュニケーション
  校 種:高等学校
  指導者:聖徳大学教授 木下 昭一
[J分科会]
  テーマ:情報発信・教材開発
  校 種:高等学校
  指導者:日本私学教育研究所主任研究員 山路 進
[K分科会]
  テーマ:情報モラル
  校 種:特別教育支援
  指導者:明治学院大学教授 金子 健
[L分科会]
  テーマ:映像利用
  校 種:特別教育支援
  指導者:くらしき作陽大学教授 詫間 晋平